No.56

「ゲーム内のモチーフの話。」

つい先日、任天堂が「ゼルダの伝説」の最新作を出した。

正式には「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」と題されている。“Tears of the Kingdom”、直訳すれば王国の泪(なみだ)……という意味だ。

 

で、最近いろんな意味で暇がないにも関わらず、時間を捻出して、Switchで遊んでいる。遊んだ分、仕事や他の作業に追われる。そういう仕組みである。

 

さて、せっかくなので、いろいろとモチーフを見て、精神学的な視点で薄くながら、どんなデータに影響されてこのゲームの中の世界観が作られていったのかを観察していた。

 

このゲームの中では天空や地下の古代文明の遺物が重要な存在、アイテムになってくるようで、中でも秘石と呼ばれる不思議な力の籠もった石が何度もストーリー中に現れる。

見た瞬間「勾玉じゃん……」と思った。どうやら、ある種の魂や力の塊の象徴として使われているらしい。このあたりはちょっと呪術めいた雰囲気を感じる。

 

Switchシリーズ第一作の「ブレス オブ ザ ワイルド」では、一万年ほど前の古代の超技術による遺物が登場した。劇中では百年前、その遺物の兵器に魔王の怨念がとりつき、兵器たちの暴走を許したことによってハイラルという王国が滅ぶ。これらの遺物には共通して雲のような縄のような、特徴的な模様があしらわれていた。(一万年もひとつの王朝による王国が続くのかという疑問はあるものの、たぶんゲーム内の女神ハイリアの聖なる力が王族に働いていたおかげだろう。いろいろあって中世レベルまで人々の平均の生活レベルは衰退したようだ)

 

今回の第二作ではさらにそれより古い時代の文明が出てきて、遙か過去と現代が繋がる――というストーリー構造になっているようだ。のんびり進んでいるせいで、まだストーリーの全容が明らかになっていない上、あちこち謎だらけなのだが、おそらくそういう構造だと思われる。

オープニングでは、ハイラル王国は遙か昔、空から降りてきた超文明、ゾナウ文明の民と地上のハイリア人が交わって誕生した(という設定である)ことが明かされる。

神のごときものと人々、天と地の交わりなど、そういう神話的な要素も入っていることが読み取れる。(アマノトリフネという名前がさりげなく空飛ぶ舟に使われていたりする。その名前は……日本神話由来だろうけど、別の意味にも取れる……これもオカルト知識の賜物か……)

 

時間軸で言えば、このシリーズの第一作「ブレス オブ ザ ワイルド」が発表されたのは2017年。その時は縄文文明あたりがモチーフ?になり、その後6年後の2023年になって、突然世界観ががらりと変わって、宇宙人や地底人のようなモチーフの話が出てきた、というあたり、日本のサブカルチャーの歴史的時空もしっかり精神界のデータと対応している。

相変わらず魔王は何回も倒されたり封印されたりしているが、このゲームでは、魔王とは滅びの象徴のようなものなのかもしれない。