タケのバンクーバー通信

歴史から抹消してしまった国防と国益 46
-アメリカでの中華系移民の歴史(後半)-
<天安門事件とシリコンバレーは繋がっていた>

 中国人が、北米に人口増加していった経緯は幾つかの段階を経て増えていったので、急に増えたということではありません。歴史をたどると、中国人が北米へ流動が本格的になるのは1980年代後半からです。そこには、2つの大きな事件が関連しています。まずは、結論から言うと。
1つは、香港返還
2つ目は、天安門事件
 この変事が、中国人または中華系(中国人であるが、他国に住んでいる場合)が移住しやすくした政策になっていました。香港返還の前後に、多くの中国系移民を受け入れた話しは前回しました。今回話す内容は、いまアメリカで起きている人口流動のきっかけが、人道的なところからはじまっていることです。そして、いつしか人口流動は中国の侵略に変貌して、サイレントインベーションになってしまったということ。時代は1972年に戻り、ニクソン訪中の人員交流と文化交流からはじまります。当時は、少人数の優秀な中国人の受け入れからはじまりました。日本人は、文化交流というとすべてが善のように思っていますが、いまのアメリカを見ていると、そんな綺麗ごとの話しではありません。
 人材交流ではじまった文化交流は、知識人や優秀な人材の交換からアカデミズムの世界に入っていきました。そして、多くの中国人留学生も受け入れて文化交流と次世代の交流がはじまりました。80年代後半には、国別在米留学生数が1~2位になり、どこに行っても中国人留学生がいる状況になり、中国人コミュニティーを作っていきました。
 少し蛇足しますが、日本ではあまり意識していませんが、北米の留学システムは2つの側面を持っています。1つは、人道的・文化的交流。2つ目は、留学生をビジネス(顧客)として見ています。日本人でも過去に、北米やヨーロッパに正規留学や短期留学で、相当の金額を払ったと思います。半年や1年の語学留学でも、生活費を込みで150~250万円の費用がかかったと思います。(外国の留学システムは、学業産業としてやっていて莫大なお金が落ちる仕組みになっています。学費も高く街にも生活費を落とすので、大学には外国人を勧誘する課が設けられ、海外から生徒を呼び込む営業もしています。この産業は、観光産業よりも割がよく、安定したお金が落ちる仕組みになっているので、北米においては巨大な産業になっています。昔から授業料は、外国人留学生は正規費用の3倍がかかり、1年間に150~450万円かかるのが普通です。それに、家賃と生活費を加えたら年間1人だけで250~700万円はかかります。1000~1万人単位で見たら、とてつもない金額が動きビジネスになっているのがわかります。加えて、有名大学(例えば、UCB(カルフォルニア大)やアイビー・リーグ<ブラウン大・コロンビア大・コーネル大・ハーバード大・イエール大・プリンストン大・ペンシルベニア大>など)の裏口入学のネットワークも含めたら、日本に来ている留学生とは2~3桁違う金額が動いています。さらに、先に移民した中国人は、留学エイジェントや塾などを仕事場にし、経営などもして中国経済圏を作っていきます。(語学学校のオーナー、留学センターや不動産業など。)このようにして、中国利権を作っていきます。
 話しは戻しますが、1989年中国の優秀な若者が、渡米して学業にいそしんでいるときに、中国では大きな事件が起きます。それは、天安門事件(中国学生民主運動)です。この事件によって多くの中国人留学生が、路頭に迷い自分たちの人生の岐路に立たされました。中国に帰れば、共産党に縛られ自由がない世界に戻される現実。運動に関わった人たちは、帰国後には逮捕される現実があり人生の先がありませんでした。そのときに、アメリカ政府は1990年「中国学生保護法」を提案し、中国人留学生の残留と救済に動き始めます。この法は、1992年に発効しますが、発行されるまでの期間は特措法を設けて、中国人留学生や学者を残留させることをしました。そして、この法が発行されると、1991年4月以前に入国した10万人を超える在米中国人留学生や交換学者全員に永住権を与えました。これが大きなきっかけになり、アメリカのアカデミックな世界に中国人が増えていく転機になりました。
 当時のアメリカ政府は、2つの側面を持っていました。1つは、「自由と民主主義」を信じる人を助けたいという人道的な部分。もう1つは、優秀な人材をタダで手に入れるという移民ビジネスの側面。10万人以上の優秀な人材が、アメリカ国内で仕事をすることは、大きな国益にもつながると見ていました。結果、優秀な人材を永住させることで、知的優良な仕事をこなす人たちが増えたことで国益にもつながっていきました。しかし、月日が流れてアメリカの思惑とは違う方向に進んでいきます。この体制が大きく変わり始めたのは、中国人がアカデミーの世界に民族の利権構造を作りはじめたころから様子がかわってきました。中国人留学生を大量に入れた大学はチャイナタウン化しました。いま、北米の大学の殆どは、中国人の生徒がなくては経営が成り立たないぐらいに、中国人だよりになっています。
 天安門事件からアカデミーの世界に、中華系の人が増えたことによって、大学利権と学術利権を取り同胞の数を増やしていきました。そして、銀行や不動産や車のディーラーなどすべての職場に中国系の人を入れて、中国系の職場を作っていきました。民族の浸透というのは、綺麗ごとの話しではなく仕事や既得権を奪い合い、同胞の生活空間を広げていく側面(中国化していくこと)を持っています。
 さらに、話しはすすみますが。中国人の高学歴や優秀な人材が生れることによって、アカデミーの世界に進出したことで、その先に国家機関に携わる仕事にまで民族の権益を広げていきました。中国人にしてみれば、法とルールに沿って正当な手順で中華系の人間を政治家や官僚に入れることに邁進しました。90年代になると、クリントン政権はチャイナ・マネーにベッタリとした関係を作り、多くの政治家にはチャイナ・マネーが巻かれていきました。そして極めつけは、中国にWTO(世界貿易機関)の参加を認めたことです。これによって、どんどん西側諸国にチャイナ・マネーが流れる仕組みを作っていきました。本来はありえない、共産主義と自由経済主義を融合し貿易システムを作ってしまいました。これによって、すべての自由主義経済が壊れて中国の覇権が加速していきます。そもそもアメリカの狙いは、中国経済を太らせてマネーを米国に戻す仕組みにすることでした。言わば、中国という国を輪転機にすることでした。さらにアメリカは、中国はいつか共産主義から自由経済主義になっていくと信じていました。しかし、結果は大量の元を世界中にバラまき中国覇権だけが強くなりました。いい例が一帯一路であり、アジア・アフリカ・ヨーロッパに至るまでチャイナ・マネーに汚染され、中国人とセットで他国の間接支配をしてきました。本来、アメリカが目指した世界支配の構想とは真逆になり、チャイナ・マネーが独り歩きをして、どんどんアメリカの覇権を壊していきました。今となっては死語になりますが、パンダ・ハガー(パンダを抱く人:自国の国益を優先するよりは、中国の国益を優先にして動く親中派・媚中派の政治家や官僚をさす。)という言葉が出来るほど、チャイナ・マネーがアメリカの中枢に入っていきました。さらに、その関係はオバマ政権まで続きました。日本ではあまり報道されませんでしたが、オバマ政権時代には習近平主席との対談で「太平洋2分割案」が出るほど、米中でやりたい放題でした。

 次は、アメリカの産業面から見ていきたいと思います。90年代はアメリカの自動車産業が低迷期に入り、基幹産業が壊れはじめた時期でした。この時期から2000年にかけて、IT産業を基幹産業にしてアメリカ経済の立て直しをしていく政策に切り替えていきました。ここに敏感に察したのは、現地に居た中国人たちでした。アメリカの大学出の中華系は、中国からの投資をリンクしながら、IT産業に進出してシリコンバレーに巨大な中華系利権を作っていきました。彼らの構想は、中国で日本より安く大量に生産することで、日本製を撃沈してIT産業を中国で作り世界市場を取るという構想でした。そこに、WTOも相まって安価な商品を作り、シリコンバレーをチャイナ・マネーに染めていきました。その現状を全く理解していなかったのは、日本の企業でした。そして、日本のIT産業だけ没落していくことになっていきます。日本の民間企業は、グローバルの世界で何が起きているのかが、正確に理解していませんでした。中華系の移民のネットワークと人脈が、どれぐらい力があるのかが理解せずに、80~90年代の日本スタイル(モノが良ければ売れる)で世界をみていました。それが、日本でIT産業が育たたなかった原因になり、技術を持っていながら国家戦略として産業を育てなかったからです。

この図は、2018-2022年の台湾を除いた中国移民の合計数 245万2700人 (町ごとに人口数も乗っている。)
 https://www.migrationpolicy.org/article/chinese-immigrants-united-states

 図を見ても解るように、どれだけカルフォルニア州に中華系の人間が流れたのかが理解できます。加えて、人口だけでなくチャイナ・マネーも流れていることを想像すると、シリコンバレーという町はIT産業の街というよりは、巨大なチャイナタウンだったと見てもいいでしょう。

 

―中国移民・チャイナ・マネー・ホームレス―
<アヘン戦争の復習がアメリカではじまっている>

 中国人の民族移動は、人だけでなくチャイナ・マネーと既得権がセットになって動いているのが、これまでの説明で解ったと思います。いま、アメリカは物価高騰と失業問題もさることながら、ドラック中毒者が深刻な問題になっています。以前、どのようにホームレスになったかをかきましたが。西海岸からチャイナ・マネーが不動産騰貴をして、白人の若い人たちがまともな生活が出来なくなり悲鳴をあげています。パンデミック以降、異常な物価高騰と家賃の高騰によって、これまでの生活が出来ない人たちが増えています。さらに、ガソリン価格の高騰によって至るところで会社がつぶれて、職に就けない20~30代は多く、家賃を払えずに住まいを追い出されるケースが増えています。その結果、入居が出来ずにホームレスになっていく若者が急増しているのが、いまのアメリカです。
 北米では、夢や希望が持てずにホームレスになる若者のほとんどが、ドラックに手を染めて廃人になり路上を徘徊する人が増えて、治安の悪化にもなっています。手をぶらぶらさせながらゾンビのように歩くので、ホームレスのたまり場をゾンビ・タウンという名が付くまでになっています。しかも、その合成ドラックは中国産の「Fentanyl フェンタニル」というもので、大量にアメリカに入っています。
 いま、わかっていることは南米やメキシコを経由して合成麻薬が密輸されて、アメリカの全土にバラまかれているということです。中国の難民を装った人が、メキシコの国境から合成麻薬を持ち込み、ドラックのマーケットを作って中国ネットワークを使い、アメリカ社会を壊しにいっています。安価で即効性があるとされ、フェンタニルに手を出す人は多く中毒者を止めることができていません。YouTubeなどで、「Fentanyl Crisis」で検索するとアメリカでなにが起きているのかが理解できます。いま、カルフォルニアやロサンゼルスの繁華街で、中毒者になった人たちがゾンビの様な格好で歩き、異様な世界になっています。シリコンバレーで潤ったサンフランシスコやロサンゼルスは、これらの人たちで溢れています。
https://www.youtube.com/watch?v=GWBzxr3c29s

https://www.youtube.com/watch?v=Wnz1TJ0-L5M
フィラデルフィア 4月
https://www.youtube.com/watch?v=4Lk7ElpZvak
Seattle ホームレス
https://www.youtube.com/watch?v=BG70kTLfS7w

 いま、アメリカは国内がガタガタになっていて、かつての様な圧倒的な強い国家ではなくなっています。まだ、多くの日本人はその実態を知らずに、アメリカは強国のイメージでいますが、すでにアメリカは国内から壊れています。物価高騰と失業問題とドラック問題が、同時に起きている中で国そのものが崩壊し始めています。最新の情報では、フェンタニルによって亡くなった人は、1日200人というレポートが出てきました。驚くことに、18~45歳の死因のトップがフェンタニルによるもので、働き盛りの男女が、このような形で亡くなっているのが、いまのアメリカです。(前にも書きましたが、アメリカには戸籍謄本や住民票が無いので、正確なデータは取れていないので、1日200人以上は亡くなっていると見ています。少なく見ても年間に、7万2000人が亡くなっていることになります。)
 前回は、中国移民が多いところとホームレスが多いところが一致していたことをかきました。次は、フェンタニルの死亡者数と中国人の移民数が一致するデータが出ると見ています。これは、単純な移民問題でなくアメリカで逆アヘン戦争が起きて内側から壊れていっています。さらに、民族の生存競争がはじまっていて、白人が消滅し中国系や南米系が増えて、アングロサクソンの時代が終わろうとしています。
 先月、日本の首相がアメリカに媚びて忠犬ぶりをしていましたが、滅びゆくアメリカに追随して日本も破滅の道に進めようとしているのか? 世界は、アメリカとの距離を取り静観しています。むしろ、ロシア・北朝鮮・中国・イランはアメリカ覇権体制を、どのように壊すのかを狙っています。岸田首相をはじめとする多くの日本人は、周回遅れの政治をしていることに気づいていません。いま、日本がとる行動は日米同盟の強化ではなく、独立した国家を作ることです。加えて、日本では移民受け入れを進めていますが、移民はサイレントインベーションの卵であり温床です。必ず、帰化をして国家機関の中枢に入り、他民族の既得権を作って日本人を追い出します。
 いつまで日本は、「みんな仲良く」という思考でいくのか? 
 2024年は、近代民主主義の崩壊と自由経済の崩壊が同時に起きる幕開けになっています。そのときに、日本人はどのように国家観と人生観と死生観をもって国を動かしていくのか、1人1人に問われていると思います。