14の巻<人に教えて、人から教わる・・・1>

兄弟姉妹や恋人、友人なら、ろくでもない奴だと思える部分が多くても、すぐに付き合いをやめるというわけにはいかない。やめることができないというより、やめられないといえるかもしれない。多くの短所に勝る長所があるから、そこに惹かれて、恋人や友人になったからだ。兄弟姉妹は、恋人や友人とは異なり、もっと根の部分で繋がっていて、例えお互いにろくでなしだと思っていたとしても、最後には相手を気遣ってしまうものだと思っている。

初めて目の前に現れた人が、何ひとつ良いところがなさそうな人なら、できるだけ好意的に振る舞い、約束をせずに分かれる。
お互いに住んでいる世界が違うから、相手のことを評価できないだけで、目の前の人は、他の人にとっては、非常に有能な人なのかもしれない。同様に、ワタシも目の前の人からは評価されないが、評価をしてくれる人もどこかには居るのだと思う。
何年か経つと、住む世界というか層が同じになったり、近くなったりする人もいるはずなので、気持ちよく再会できるよう、できるだけ恨まれないように努めている。
初対面の人の場合は、これから付き合いをするかどうか、今のワタシの層で決められるからやりやすい。以前から付き合いのある人の場合は、付き合いだした当時のワタシの層に近く、今のワタシとは合わない場合が多い。

「昨日、Aくんと喧嘩したそうだね。」
「えっ?なぜ、ご存知なのですか?」
「君たちが喧嘩した直後に、Aくんから泣きながら電話があったよ。人が寝てるような時間帯に。迷惑なっ!」
「そうなんですか?それで、Sekiさんは何とおっしゃったのですか?」
「ハハハ。玉砕されたんだな。まあ、彼女の言っていることの方が正しいんだから、仲直りしたら?って言ったよ。謝ってなかった?」
「そうですね。飲んでいたお店から、怒鳴って出て行ったくせに、戻ってきましたね。謝られはしませんでしたけど。多分、Aさんは、ワタシの言ったことがSekiさんの受け売りだと思ったから立腹したのではないでしょうか。もともとSekiさんを知っていたのはAさんだから、Aさんの方がSekiさんのことを良く知っているはずなのに、ワタシが、AさんよりもSekiさんを知っていると思わせるようなことを言ったように聞こえたんだと思います。Sekiさんに対する嫉妬みたいですね。」
「まあ、そんなとこだろう。」
「それにしても、Sekiさんに無理やり会わせておいて、今更Sekiさんに近づくな、と言っても遅いですよ。そういえば、最近、Sekiさんの話題になると、喧嘩になるような気がします。それと、Aさんと異なる意見を言っても、喧嘩になりますね。理屈ではそうかも知れないけど、人間には感情があるんだ!なんて言われます。」
「ふーん。そう言われて、同じようにムカついて、喧嘩になるんだ。」
「だって、ワタシの方が10歳も年下なんですから、ちょっとは大人になったらどう?と思ってしまうんですよ。」
「まぁ、年下のくせに、偉そうに・・・というのが、Aくんの意見だろうけど。」
「それは、そうですけど・・・。」
「何かを伝えたいなら、同じ剣幕で言い合っていても、意味はないですね。」

同い年や年下の人になら、こちらが感情をコントロールして何かを伝えようとは思うけど、何で年上の、しかも10歳も上の人に、こちらが合わせないといけないんだろう。まぁ、10歳も上だと感じたことはないけど・・・。こんなこと言ったら、また傲慢だ、偉そうだって言われそう。まぁ、これも学びか・・・

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