ラズベリーリーフ

高校を卒業してから
七年間
日本料理やさんで
お運びさんをしていた

いろいろなこと
教えてもらった

おいしいご飯の名前
魚の名前
和食のあれやこれや
お酒の種類 作り方
着物も15分で着れるようになった

なんにも できない
なんにも 知らないから
たくさん 教えてもらった

そんな
わたしの青春時代

そのお店で
働いていた 女の子がね
ある日 教えてくれた

◯◯さん
霊感って信じます?

わたし むかしから 霊感あるんですよ~~
ふつうに 見えちゃうんです

それでですね
◯◯さんびっくりしないでくださいね

ちいさな男の子が
◯◯さんに
くっついて歩いてるんですよ~~

◯◯さんの
着物の裾をつかんで
ちょこまか後をついてまわってるかんじですね

大丈夫ですよ!
悪さするかんじじゃないですから!

それを 教えてもらったとき
怖さはまったくなく
うれしかった

なんか うれしかった

その 女の子は
個室で夜 声が聞こえるー
厨房でも 声が聞こえるー
人影がー
物音がー

と いろいろ教えてくれた

でも わたしの頭のなかは
そのちいさな男の子で
いっぱいだった

どんなお顔かな
楽しいのかな
悲しいのかな
お母さんをさがしてるのかな
さみしいのかな
わたし お母さんじゃないよ
ごめんね

その 想い出が
久しぶりに蘇った

ぼくちゃん
どうしてるのかなあああ
まだ
あの店に
いるのかなあああ

もしね
ちいさな ぼくちゃんが
生まれ変わりたいと
願っているのなら
よかったら
わたしのおなかへきてね

妊娠の予定なんて
さっぱりわからないけど
そういうことは おいといて

わたしの おなか あいてるよ
気がむいたら
いつでも いいよ

ちいさな ぼくちゃん
ひょっとしたら
もう 生まれ変わってるかもしれないね

それなら いいの
あなたが 想いを叶えていれば
それで
いいんだ

ずーーーーーーーと
忘れないよ
ぼくちゃんのこと

わたし 知ってる
いつか
あなたに 会えるって

あのお店で
いちばんの想い出を
ありがとう

コメントを残す