Vol.559

終末の扉

この二千十七年の七月、日本列島の時空が一段階進んで、民は民に対して立ち上がるという終末期の様相を呈しはじめた印象があります。

私は、これまでの戦後世界を秩序立ててきた、アメリカ文明の終わりを、トランプ大統領の出現に見たという立場で、精神界のスケジュールの伝達をしてきたのですが、ここに来て、日本の危機は一気に高まってきています。西欧近代の価値の中核にあった、国民国家と民主主義というものの弱点をよく研究して生まれたものが、共産主義というイデオロギーだということに気付けば、いま、この世界でほとんど唯一の共産主義国家となった、中華人民共和国による戦火を交えない戦争による世界侵略の正体が見えてきます。
愚かなアメリカ合衆国の指導者は、歴史的に中国大陸に一方的な親近感を持って、日本を無力化する目的のために、戦前は国民党政府に協力し、戦後はニクソン大統領、キッシンジャー補佐官のコンビによる米中の接近後は、共産党政府をこの反日戦線の同志に迎え入れました。
その結果が、現在の世界情勢なのであり、アメリカ合衆国は、自ら進んで、明治の大日本帝国が置かれた半島と大陸の地政学的な問題点に直面することになりました。
予言めきますが、この危機に直面したアメリカ合衆国の行動は、この地域からの退場に到るはずです。
なぜなら、資本主義と民主主義の弱点を学んだ中国共産党の戦略は、一貫して、アメリカ合衆国なり、日本国なりの政治的権力を、マネーによって奪取するというシンプルなものだからです。その政治宣伝戦の一環として、ハリウッドの映画産業は、次々と買収され、すでに、ハリウッドの未来はチャイナマネーとチャイナマーケットなしには成立し得ないものになっています。
同じことは、日本についてもいえ、沖縄を手に入れ、北海道を狙うことを、政府レベルで宣言したに等しい行動を続けていますが、これこそが、100%外資や、土地の私有制を一切認めていない中国共産党の対米、対日戦略において選択している侵略の姿です。いままで、見えなかったこの侵略が、一般の目にもわかるようになりつつあるこのタイミングで、メディアの反政権キャンペーンが強化されているという現実を見れば、これは戦火を交えないかたちでの侵略戦争だということがわかります。
残念ながら、このクニの三年間の民主党政権の時代に、半島勢力による日本経済の乗っ取り計画が現実に進行していたことを、マスメディアはほとんど伝えていませんが、この主役が、いまは、大陸の勢力に変わっただけなのです。
マス・ソサエティというものをコントロールするノウハウは、マスメディアに集中しており、このメディア企業群が、何者によって支配されているかということを考えないと、たとえば日本という民主主義国家の方向性を見誤ることになります。この分野における、日本国のシステムそのものが、自由経済とは縁遠い許認可行政のもとでつくられたことも、現在の社会的リスクの増大につながっていることを考えると、戦後のシステムは、すでに、機能不全に陥っているといえるでしょう。
幕末から明治への歴史的転換は、それまでの政治、または行政機能では、対処できない外的要因によってもたらされたともいえ、現在の昭和憲法下での国民の生命や財産を守る役割を現政府が十全にはたせない以上、このシステムの崩壊は時間の問題なのです。
ここに到った以上、このクニの内部で、民は民に対して立ち上がるということが現実化するかどうかが、この先の一年、もしくは二年の間のテーマとなります。
国内に、侵略者に呼応する勢力が存在しているということを、このクニが歴史上はじめて、意識化するタイミングが近付いています。
この対立が、民主主義のルールの範囲内で起き、収束するかどうかが、これから問われることになります。民主主義の弱点を知り抜いた敵からの攻撃に耐えきれるかどうか。一般の日本人の民度が試されるタイミングが、いまなのかもしれません。

二千十七年七月二十七日 積哲夫 記