vol.515

日本の行方

アメリカの大統領が11月の選挙で決まります。グローバリストのヒラリーとアメリカファーストのトランプの争いとされていますが、どちらもマネーの使徒であることには変わりがありません。
アメリカという国が建国以来、目指してきたのは、マネーの使徒による支配ではなかったはずなのですが、今回の大統領選挙でどちらの候補が選ばれても、世界の尊敬を受けることはないでしょう。それは、アメリカという国家の根幹をなす軍人たちの精神状態に、ある種の変化をもたらすはずです。
かつて、大統領の座を去るD・アイゼンハワーは、巨大化した軍産複合体のリスクを説きました。それが予言であるかのように、J・F・ケネディは暗殺されました。すくなくとも、アメリカ合衆国の真の主人が、アメリカ国民でないことは、多くの人間に気づかれています。これが、西洋型民主主義の限界なのです。
終りに近づきつつあるアメリカの時代を感知して、次のリーダーとして手を挙げたEUの時代も、同時に終わりとなる方向に世界が動きつつあるのは、たぶん、偶然ではなく必然なのです。
西洋文明の最後の鬼子となった中国共産党は、民主主義とセットだったはずの資本主義を分離することに成功したかに見えていますが、その結果としての巨大なリスクに直面しています。
アメリカは、国民の犠牲によって、リーマンショックの崩壊をくい止め、ドルの信認を守りましたが、同様かそれ以上のリスクを隠しているとされるヨーロッパの銀行群をECBが支え、ユーロの信認を保持できるのか。あるいは、3,000兆円を超えるとされる債務を返済可能な経済運営を中国共産党ができるのか。
日本という国家は、中心なき国際社会のなかで、どう行動すべきかがこれから真剣に問われなければなりません。この人間世界での事象に関して、精神界のプログラムは、もともと、はっきりしていて、この日本は原則「鎖国」というのが本来の国体なのだということを、くり返し伝えてきています。
アメリカの黒船で扉を開いた日本は、そのアメリカに占領支配を70年以上も受けてきましたが、アメリカの衰退とともに、また鎖国の状態へと戻っていくというのが、プログラムなのです。
この日本のプログラムの本質は、世界が日本を学びに来るのであって、日本が世界に出ていくことではないというところにあります。そのための最後のハードルが、西欧型民主主義を学び終えて、日本型民主主義の時代を創出することなのです。ほんとうのアメリカからの独立というのは、その先にあるものです。
すでに、日本には先行する文明がありません。学び終えていないものには、民主主義と資本主義の相関関係がありますが、これらの正体は、マネーによる世界支配のシステムの解明によって進むはずです。そして、それらは、必然的な崩壊への道を、その出発点の強欲のなかに宿していたこともこれからはっきりするでしょう。
不思議なことですが、世界最大の債権国である日本の国民がデフレで、年々、貧しくなってきた過去20年間の間に、巨大化した隣国には、大きな領土的野心と、軍事的冒険主義が台頭しています。アメリカという世界の警察官が退場するなかで、この国がどう生きていくのかを考えれば、国を閉ざし、国境を守るのが最も効率的な選択であることが、多くの国民には直感でわかっているはずです。
そのために、歴史をふり返るなら、この国に幕府が生まれたというのが、精神界の主張です。
幕屋を立てよ、という精神界の伝達は、戦う支度をしろということと同義です。
アメリカのドルは、かつて金という根拠を有していました。それを放棄しても、ドルとオイルの決済をリンクさせることでドル本位制を維持してきたのは、アメリカに石油が足らないという側面があったからです。シェールオイルによって、この資源のくびきから出たアメリカは、警察官である理由を失っています。日本もまた、その領土領海に莫大な資源を持つことが確認されています。
アメリカはモンロー主義へ、日本は鎖国へ、この流れが、世界の各国民の意識に大きな変化をもたらすはずなのだと、精神界は伝達しています。

2016年9月29日 積哲夫 記