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No.2

2018/10/15

「十年前の思考回路」

今起きている戦争の原因は、ほとんどが支配したい、という思いからきている。
敗者を虐げ、歴史は勝者が作り上げる。

高校生の夏のある日、電車に揺られて帰りながら、そんなことを考えていた。
プールの塩素水をたっぷり吸ったタオルの入ったバッグが重い。それを、のっそり抱えなおして考え込んでいる。
なぜ、これほど地球上は悲惨なのか。子供さえ、幼くして死んでいかなければならない。

世界史をなぞる。
百年前に起きた、血で血を洗うような戦いは、そもそも、植民地支配と帝国主義による利害のぶつかり合いがきっかけとなったんだったか。

我らの神に、すべて与えられた。

それが昔から、コンキスタドールたちの言い分だ。だがその奥にあるのは神の名を隠れ蓑にした支配への欲望だ。

人間は、人を、自然を支配すべきではない。奪うものであってはならない。欲望が生み出したこの時代は、決して真に人を幸せにすることなく、また先のないものであり、滅びゆく運命にある。

このまま、キリスト教的な、自然を人間が支配することが当たり前の文明では、この先はおそらく三十年もない――。

そう、素直に直感することができた。

唯一絶対の神をそれぞれ奉じて、ぶつかり合う、兄弟のような宗教の構図。

ただ、教えを少しばかり辿ってみると、始まりは共通している。

いつか『終わり』がやってくる。それまでに、目を覚ましているように。

何かいるな、と思った。
この『後ろ側』で、誰かが何度も同じ話を仕組んだらしい。

少なくとも、これを仕込んだのは人間ではないようだ。
全く違う時代、違う地域で、三度、四度、と同じ話を繰り返している。
全て根底で繋がっているのだ。
歴史が、世界が、意思をもっているように感じた。

『そこ』に――底に、何かがいる。

理が、神だとすれば。それは、何かの意思を持っている。

そこで違和感を覚えた。
世界を創造したという絶対神が、全知全能と名乗るには、あまりにも幼すぎる、という印象を持った、ように思う。

ビッグバンを起こした裏に、はじめに、言葉ありき、だとして。
理が、作られているとして。
この人間の進化が、偶然であるはずがない。

理そのものは、何かあまりにも巨大で途方もない存在を感じる。これほどに、世界を完璧で美しい数式で表せることそのものが、無神論ではいられないほど奇妙なことで。
最先端の科学者は、きっと神の叡智を思わずにはいられない。近づけば近づくほど、そこに神を見るだろう。科学と神の存在は、同居することができるのだ、と確信を得た。今は、科学が神を否定しているが、それは、やがて科学が歩みを進めるほどに難しくなるだろう。
ただ、人間のような感情を持つ人格神とは次元が違い、それは、無口だった。ただ、一つの意思を持っていた。

宇宙のはるか深み、理を覗き見ることは、自らの中の宇宙を覗き込むことと同じだった。
世界は私の内にあり、外にあった。
私は私の外側から、私の中にもう一つの宇宙、もう一人の私を見つけることができた。仰ぎ見れば、私の外側に外なる宇宙と境界となる自分を見つけることができた。

これは、なんだろう。
この仕組みは、なんだろう?

666は獣の数字。知恵あるものは解いてみよ、か。
……いや、解けないのだが。

神の矛盾は、当時の私には、解けなかった。
知識がなかったからだ。

ただ、宗教の問題を解決するためには、人はそれぞれの原点を超えなければならない。それは分かった。
宗教対立は、人がその元親となるものを越えねば、終わることがないのだ。

子供の頃、ブッダのように、イエスのようになりたい、と思った。
大きくなってからは、とても、できない、大それたこと、と、思っていた。
だが、ふと、こうも思った。

しかし、二人とも人間である。
――同じ人間であるならば、越えられないはずがない。

私はそうなのだ、と直感していた。
私は、この世界の、救世主なのだと。

人は誰もがイエスになれる。一人一人が救世主となれる。今や誰もが、世界の救い主となるものだ。

キリスト教が伝える御国は、イエスが伝えた教えは、すでに、日本の中に実現しているじゃないか。現代社会は、二千年の時をかけてここに到達した。
誰もがイエスとブッダを越えて、宗教を越えて、至ることができる時代になったのだ。
宗教は、もう、終わっている。
宗教対立による戦争は、もはや、無意味なものとなっているが、奇妙なことに、誰もその事実に気がついていないかのようだ。
私は、気が付いたのに。

なぜ、誰も、気が付かないのだろう。

知りたい。
この世界の本当のことを。

知りたい。
真理を。

そこに、行こう。
何年かかっても。
必ず。

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それが、2009年のことです。
(十年前は、いいすぎか。)

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