投稿者「TAKE」のアーカイブ

歴史から抹消してしまった国防と国益 44
-日米対談の失敗と嘲笑-

 今回は、号外として出します。
 岸田首相の渡米は、あまりにもバカげた対談の上に岸田首相の外交センスと国家観が露呈してしまいました。この対談を世界はどう見ているのか? 驚くぐらいに滑稽なショウでした。
 「国内支持率が悪い二人が、いまさら会って何を話すの?」 米国の高官もヨーロッパ諸国・ロシア・中国・北朝鮮も笑いながら見ていたと思います。いまアメリカ国内はガタガタで、不況が深刻な問題になりつつあります。さらに、11月の大統領選は民主党大敗が見えて、バイデン政治の消化試合をしているのがアメリカ政治です。日本でも同じように、多くの政策を間違え岸田首相の支持率は16%と低く不支持率が60%前後という、歴代の首相の中で最悪と言われている政治をしているのが日本です。
 国際政治は、すごくシビアでドライな関係です。G7などの首脳会談でも、来年はこの人はいないと解ったとたんに、他国の首脳陣はその人とはまともな話しはしません。あしらった対話と表層的なことしか言わず、肝心な外交はしません。なぜ、安倍首相が世界の首脳陣の中で中心になれたのか、その理由は明確で支持率が高く長期政権だったからです。外交交渉は、常に相手の弱点を見つけて、裏切りと約束破棄をすることが当たり前です。安倍外交が凄かったのは、その荒々しい中で他国の首脳が個人的な相談や意見を聞き彼を頼ったことです。加えて各国の政府高官が、力のある政治家と認めとたんに、分相応の対応をしたことです。これが、国際社会であり外交の冷徹な部分でもあります。
 今回の日米対談は、アメリカ国内でも冷めていて11月に大統領選があるにも関わらず、注目もなく民主党に流れを作ることなく空振りで終わりました。その2人に、まともに米国の政府高官が対応したとは思いません。9年以来の国賓待遇であるにも関わらず、出迎えは役人のエマニュエル日米大使のみで、大統領も副大統領も来ずの冷遇ぶりが証明しています。アメリカ政府機関も、大統領や副大統領の出迎える意味がないと判断したのでしょう。(大統領や副大統領が動くということは、行事の大きさを示し歓迎の度合いを意味します。加えて、セキュリティーを厳重にするため人やお金を動かすということは、国家プロジェクトとして重要さを意味します。それを安く簡易にしたということは、今回の岸田首相の歓迎度はどれだけ見下されたのかが伺えます。)
 本来、アメリカと日本が会うと言えば世界は注目して、両国の密約に関心がいき、敵国の脅威を与える1つのパフォーマンスでした。安倍首相とトランプ氏の対談時は、世界が注目して敵対国の威嚇にもなりました。今回は、これまでにない茶番で、ここまで価値のない日米対談はなかったと思います。
 さらに、岸田さんの国家観や民族観がどこにあるのか、日本人ははっきり理解したと思います。その1つは、エマニエル氏が迎えに来たということです。日本をリベラルにして、国体を壊した本人が堂々と出て来ても日本側から非難をしませんでした。これで、岸田政権は日本をリベラルに向かうことを宣言したようなものです。このLGBT法によって自民党は分断され、日本の民主主義も壊し日本の国体も壊しました。これだけ日本を壊した人に、堂々と会う神経は、よっぽど鈍感化なのか民族の誇りがないのか、彼の政治姿勢がよく見えたと思います。
 この対談のおかしなところは、日本人が求めていないことを岸田首相は民族観と国家観を捨て、アメリカに付随する属国を宣言したということです。加えて、自民党総裁が保守からリベラルに転向するということを示しました。エマニュエル氏は、アメリカ国内に於いても偏ったリベラル政治をする急先鋒の政治家です。(エマニュエル氏は、すごく極左的なリベラル思想の持ち主です。リベラル思想に極左という表現がいいのか微妙ですが、キャンセルカルチャー<伝統や歴史を否定して新しい社会を作る思想>の急先鋒であることは間違いありません。)

 連邦議会の上下両院合同会議で演説をしたことを、すごいことのように日本のニュースでは取り上げていますが、アメリカ国内はすごく冷淡な目で見ています。
 彼は、強固な日米同盟を連呼してパートナーシップを強調しましたが、現時点でアメリカに接近することが得策なのかと考えれば、違和感しか残りません。民主党は、すごくリベラルな政策をして、日本人には受け入れられないことを幾つも政策を挙げています。日本の外交を見るときに、よく理解していないと思えるのは各国の政治と政局事情です。どの国も政権が変わると、国がまったく変わってしまいます。アメリカも例外ではありません。民主党政権下でリベラルを謳っても、次期大統領はリベラルが政策の柱になるとはかぎりません。
 バイデン政権は、3年間リベラル政治を中心(移民問題・男女問題)の政策をして、失敗し続け経済を疲弊させてきました。来年、共和党になればリベラル政治は意味を持たず、モンロー主義に舵をきっていきます。そのときに、日本は防衛のところでもアメリカと溝が開くでしょう。当然、次のアメリカは自主防衛の強化を突き詰めてきます。
 あの演説で、彼が話したことは「アメリカが困った時には日本は助けます。パートナーだから!」ということを両議院で宣言しました。これは何をいみするのか、冷静に見てください。

 これから、アメリカが困ることとは何か? 下の2つが、アメリカの深刻な問題になります。
 1つは、マネーが不足することです。これからアメリカは、不況に入って国内・国外で資金調達が出来なくなります。
 2つ目は、アメリカの世界支配の失敗です。アメリカの覇権が弱まり世界秩序が壊れて、世界の治安維持(アメリカ流)が出来なくなっていきます。

 あの演説で、「アメリカを助けながら、足りないモノを日本は補います」ということを全米に向かって宣言をしたことは、アメリカ国内でどう伝わるのか。日本でパートナーと聞くと、仲間とか親しい中という綺麗なイメージですが、もう1つ大事な意味があります。それは、権限と責任の分担をする仲という意味です。パートナーがお金に困ったら負担し、パートナーが襲われ外敵(チンピラ・不良)に絡まれたら助ける責任を持つことを表明しました。グローバル・パートナーとは、アメリカの世界秩序を補佐するという意味です。
 これから、日本の血税を使ってアメリカのATMになり、アメリカの覇権侵略の失敗を日本人で補うということを、アメリカで表明して日本では何も言わないという茶番をしました。LGBT法の時(彼の独断で決めてしまうこと)と、まったく同じことをしています。日本のメディアや政治家は、非難せずにあの演説の英語のスピーチの出来具合(上手いか下手か)を取り上げて、内容の本質には触れていません。本来、首相の役割は日本国としてどの方向に進んでいくのかを、アメリカで語ることが首相の仕事です。それを、アメリカに追随することばかり言い、グローバル・パートナーという不気味な言葉で日本人を雲に巻いてしまいました。
 この演説で大事な肝が抜けているのは、日米軍事同盟の強化には限界があることです。加えて、憲法9条の問題に彼は触れることもなく、日本は独立国としてどのように国防をしていくのか明言していないことです。これが、今回の日米対談の正体です。

 この対談を嘲笑するように、対談直後にイランがイスラエルを攻撃しました。今回の日米対談が、どれだけ意味がなかったのかが伺えます。世界規模では、アメリカは世界を覇権する力が無くなり、世界の秩序を維持することはできません。これから中東は、収拾のつかない世界に突進していきます。長年の因縁である宗教・民族対立は、アメリカの抑圧によって、どうにか戦争を避けてきました。その制圧が破られ、アメリカの覇権が効かない社会が広がっているのが世界情勢です。戦後アメリカ政治は、イスラエル・ロビーとユダヤ資本によって国家が成立してきました。今回の岸田首相の宣言は、アメリカと「グローバル・パートナー」であることを宣言して、中東にも伝えてしまいました。このアメリカに付随する立ち位置を、中東でどう振舞うのか日本は岐路に立っていることは間違いありません。そもそも、日本はアメリカとは違う中東との歴史と関係を作ってきました。アメリカと共に「グローバル・パートナー」になるということは、アメリカと同じ中東政策をしていくことを意味します。日本は、アメリカの属国でない独立した立場であることを、世界に発信すべきだったと思っています。今回の訪米で見えてきたことは、日本の政治は世界情勢とは、5~10年の開きがあり周回遅れになっていることです。この1~2年で、世界恐慌と世界大戦が同時に起こる可能性が高くなりました。日本人は、民族観と国家観を取り戻さないと、また、得体のしれない首相を生むことになります。