タケのバンクーバー通信

歴史から抹消してしまった国防と国益 43
-悪貨が良貨を駆逐する-



 前回は、この図で西海岸にホームレスが異常に増えていることを書きました。今回は、「なぜ、西海岸とニューヨーク州周辺だけにホームレスが増えているのか?」について書いていこうと思います。
 パンデミックによって経済システムが壊れて、失業者とホームレスが急増しました。しかし、不思議なのは全国一律に増えるのではなく、西海岸と東の一部だけ集中し、偏った状況になっています。この不思議な現象は、いったい何なのか? その理由を知ることで、いまのアメリカを知ると同時に、今後の世界秩序を知ることにもつながると見ています。この因果関係を調べていくと、おかしなことがいくつも出てきています。そして、北米の有識者で明言する人はほとんどいません。大手メディアは、ホームレス問題として報道し、この図に隠されたことは話しません。どこかで大きな力が動いていて、事実を隠しているようにも見えます。このパンデミック以降のアメリカは、以前の大国ではなくなってきています。いったい、いまアメリカで何が起きているのか、岸田首相は正確に理解しているのか? 日本の政治は、日米同盟の強化を謳いアメリカに追随しています。この内容を読むことで、多くの日本人はアメリカの実体を理解すると思っています。
 
 「なぜ、西海岸だけホームレスが急増しているのか?」その答えは、中国人の流入と中華マネーが深く関係しています。これは、オバマ政権から中華マネーの流入と中国人移民(学生や投資移民)を多く入れたところからはじまっています。それ以前は、中国の移民を規制してほとんど渡米や渡加する人はいませんでした。中国系アメリカ人(Chinese American)の歴史を見ていくと面白いことがわかります。この30年のアメリカと中国の関係をみると、中国が経済成長するとアメリカは急接近し、多くの中国人を受け入れるようになりました。 
 この辺りから、西海岸側を中心にチャイナ・マネーが入り地元の経済とはまったく違う経済圏を作っていきました。特に、不動産は異常なほど高騰し、地元に住んでいる普通の労働者が買えないほどになりました。加えて、地元で育った若い人たちが、その町に住めない状況になっていきました。かつて日本にあったバブル経済は、日本人の手によって起こり、日本の若い人たちにも還元され、特殊な経済循環をつくりました。いま西海岸で起きている現象は、不動産が上がるというところまでは類似していますが、日本のときとは違い地元住民が貧困になり、外貨を持ってきた移住者が富裕になっていく、いびつな社会になっています。「移住の合法的な手続き」と「圧倒的資産の保有」によって、先住民より裕福な生活が保障され、移住者が優位に立てる逆転現象が起きています。
 その方法を知った中国人(大半が裸官:共産党幹部)は、西海岸に資産と家族を移し中国人の民族大移動がはじまりました。この原資でバブル経済を作り、中国人ソサエティ(民族村)に利益がでる経済循環システムを、時間をかけて作っていきました。さらに、一部の白人富裕層(エスタブリッシュメント)は、その仕組みに気づきマネタイズ(monetize:収益化する・現金化する:利益追求)自己利益だけに走り、甘い汁を共有してきました。そこには、国家観や民族観はなく同胞が貧困化していく社会を黙認して、中国マネーとの共存を選びました。
 外貨がもたらした経済循環は、地元の経済とはまったく違う循環になり、格差社会をより深刻にしていきました。前回も書きましたが、北米は住宅の売買は所得税がかからない仕組みになっています。これによって、中国から渡ってきた人が、一番はじめにすることは、外貨をどう資金洗浄(マネーロンダリング)するのか?です。彼らは、数千万から数十億という現金を、アメリカの銀行に直接入金が出来ないので、土地を買うことで表の現金化をしました。この資金洗浄(マネー・ロンダリング)は、北米の不動産バブルを生み北米のチャイナマーケット(中国人村にしかキャッシュフローしない仕組み)を作りました。その当時、日本では銀座や大阪でブランド品を爆買いして、中国人を歓迎していました。
 この大きな地殻変動が、日本の裏側ではブランドの爆買いの比にならない不動産の爆買いを西海岸でしていました。その買い方は凄まじく、西海岸の高級不動産を1軒だけでなく、2~3軒(マンションの1部屋も含む)も購入して中国人同士で転売する方法で中華経済圏を作って、中国人だけが富裕になる仕組みを作っていきました。カナダのバンクーバーもターゲットにされ、2000年前後から中国本土の人間が急激に増え、バンクーバーの高級住宅地は中国人に買われて、地元の白人の地主がどんどん減っていきました。いま、ほとんどの高級住宅地は中国人で溢れています。
 中国人の流入は、ありとあらゆる産業に繋がっていきました。不動産を購入するときは、中国系(弁護士・不動産屋・会計士など仕事)にだけ仕事が入り、他民族は参入出来ない仕組みを作って中華経済圏を作りました。その仕組みは、何世代も前に移住した中華系移民(彼らは、次世代には弁護士や不動産屋や医者や会計士などの資格を取る教育をする)が、中国語を武器にして顧客を増やし、ネットワークの下地を作っていきました。(次の図のサイレント・インベーションにも繋がっていきます。)
 移民ビジネスのすそのは広く、建築業界にもつながっていました。中国人が家を購入したときに、中古の家が立派であっても更地にしてから新築にする習慣があります。その理由は定かではないのですが、風水的なものなのか易的なものかわかりませんが、ほとんどの中国人は家を新築にします。北米のこれまでの慣習は、家を購入したら外観を残して内装をリホームして、現代風にすることが主流でした。しかし、中国人が流入してから景観が壊れ、画一的な家が多くなってしまいました。どこの家も同じような外観になって、風情もない街になってしまいました。

 話しを戻します。中国人が土地を購入すると、大工・水道屋・電気屋・ガス屋・建材に至るまで、幅広い経済圏とネットワークを作ります。そして、家電や家具や調理器具等の日用品にもつながり、とてつもない金額が動き、中国人がいないと回らない経済体質に街がなってしまいました。これによって、中国人頼みの経済と特殊なインフレ(賃金やテナント料や家賃)を作った結果、一番初めのホームレスの問題に繋がっていきます。
 大きな流れを書きましたが、地元民がホームレスになってしまう現状は、これらが背景にあります。その一番の被害を受けたのは、西海岸の人たちで不動産の高騰からはじまっています。ただし、ホームレス問題はパンデミック前から起きていて、表面化したのは武漢熱でした。パンデミックになり、職場の閉鎖や倒産によって職を失う人が急増したことで、住宅ローンや賃料を払えない人が出て、西海岸の街は変容してしまいました。これは、カナダも同じ状況でバンクーバー周辺でも大量の失業者が出て、テント暮らしや車で暮らしている人が多くなりました。
(上のグラフは、中国人がアメリカに移民した数字です。2000年から急激に人が増えているのがわかります。)
 このグラフを見ても解るように、海外に出ていく中国人が増えているのがわかります。ある報告書を読むと、この10年でアメリカに移民した中国人は、2000万人を超える数になったという報告もあります。
 私個人は、この数字は低く見積もった数字としてみています。理由の1つは、カナダで暮らしていてとてつもない数の中国人が2000年ごろから増えたからです。2つ目は、北米には住民票がないので正確な移住者の人数が解らないという問題。3つ目は、1人が移民で入ると家族や親せきを呼び、鼠算に増えていくからです。国やシンクタンクで取ったデータは、公的な手続きの数字でしかないので、グレーンゾーンの人やアメリカで生まれた子供たち(両親が中国人で観光や労働ビザで来ていた人たちが、アメリカで生んだ場合、子どもはアメリカ国籍になるので、原則中国移民としては加算されない。)は数字には加算されていません。データ上では、2000万人ですが2500万~3000万人は入っていると見ていいと思います。その数字は、東京と大阪の人口に匹敵し、たった10年で日本人がアメリカに移住して西海岸で新世界を作ったと考えたら、いったいアメリカで何が起きているのかが理解できると思います。これは、表面化していませんが民族の大移動がノースアメリカではじまっています。

 

―目に見えない侵略 <サイレント・インベーション>―

2010 年米国国勢調査における州ごとの中国系アメリカ人の割合

中国系の先住民(2世~)中国移民の人口分布図

 今回は、ウィキペディアの資料を使ってみました。「Chinese American」で検索したときに、一番はじめに出て来たのがウィキペディアでした。ウィキペディアは、嘘や間違った情報が多いので、基本あまり使わないのですが、今回は一番わかりやすい図だったのと、他のシンクタンクがだしている報告書も類似しているので使ってみました。
 まず、この図は2010年に中国系の移民の人口を国政調査によって出されたものです。見方として、住民人口に対して何%の中国系移民がいるのかを示したものです。ここでの移民の定義は、1世だけでなく何世代の移民(俗に、中華系移民やチャイニーズ・アメリカンと言います。)も含んでいます。赤の濃いところが、中華系移民の人口が多いことを意味します。この資料は、2010年によるものです。
   
 アメリカ全土  379万7379人  1.22%(アメリカ全土の人口に対しての%)
 カルフォルニア 134万9111人  3.62%(各州の人口に対しての%)
 ニューヨーク   58万8597人   3.09%(各州の人口に対しての%) 
 ハワイ      19万8711人   14.61%(各州の人口に対しての%)

 この図で驚いたのは、ホームレスの多いところと中華系移民の人口密度が多いところが、ほぼ一致していることです。この2つの図は、まったく違う機関が調べ、調査内容が違っているのに、驚くぐらいに合致していることです。しかも、2010年と2023年という時間的なタイムラグがあるにも関わらず、アラスカ以外は同じになっています。
「これは、ただ単の偶然なのか?」
 しかも、
「中華系の移民が多いところで、中華系ホームレスが大多数を示しているのか?」
 それらの疑問と現実を照らし合わせて話していきます。アメリカでもカナダでも、中国系のホームレスだけが増えたというニュースは聞いたことはありません。ニュースなどの映像に出てくるホームレスは、白人が多く次に黒人やスパニッシュ系です。Vancouverに住んでいても、中華系のホームレスはほとんど見たことはありません。 
 ほとんどの場所で、白人が仕事に就けずホームレスになっています。これまでの事実を、パズルのように組み合わせていくと、上で説明した内容が民族生存競争になっていて、アメリカ国内で合法的な侵略がはじまっているということです。これを移民問題として考えるのか、民族の侵略と考えるのかは、まだ定まってはいませんが、どこかのタイミングで、民族の侵略としてアメリカは動くと見ています。
 移民問題を考えるときに、単に経済発展のために人口と労働者を増やせばいいという短絡的なモノではないということです。国に民族の移植手術をするということは、どこかに副作用を起こし大きな弊害になって出るということを、北米社会は証明してくれました。外国からお金を持った人を流入したことによって、いままで普通に働いていた人たちが貧困になり、移住者が裕福になれる社会を国家が先導して作ってしまいました。働きたくても働き口がなく、真面目な若者や勤労者がホームレスになる国にしてしまいました。その流れは、白人層に広がり貧困化が止まらなくなっています。いま大手のメディアは、その事実を取り上げて報道をしていません。「目に見えない侵略」が、年月と人とマネーがリンクしながら、知らぬうちに自分達の生活が奪われサイレント・インベーションが起きています。しかし、多くの庶民はその事実を解っていません。これが、いまのアメリカの姿です。
 日本では、政治家の裏金問題が中心になり、アメリカで起きている実態を解っている政治家や役人はいません。世界は大きな勢いで変化しています。民主主義の旗振りの国が、内側から壊れ世界の秩序を維持することは出来なくなっています。アメリカの軍事同盟や核の傘下で、日本の平和が維持できる時代は終わったと思います。にもかかわらず、日本の首相は国賓として渡米し、アメリカに忠誠を示しに行くこの姿は滑稽そのものであり、民族の自滅の旗振りをしている人にしか見えません。そろそろ、日本人は戦後に作られた体制が壊れていることに気付くべきです。1人1人の日本人が、民族生存を考える時期に来ていることは、間違いありません。
 (次回は、どのようにしてチャイナ移民が増えていったのか、歴史をみることでサイレント・インベーションを理解できると思います。)