歴史から抹消してしまった国防と国益 66
―先人の英知と5つの観-
日本の先人たちは、いくつもの生きる英知を持っていました。北米での日系人の歴史や関所制度の仕組みなどは、まさに移民・難民問題と繋がっています。日本は、古くから外部の者に対しての危機管理をしていました。それが、グローバリズムとリベラリズムによって、日本が持っていた価値観を無にしてしまい、何が価値基準かをわからなくなってしまいました。
国づくりに必要な5観は、国家観・民族観・宗教観・歴史観・景況観でどれが欠けても国を正しい方向に導くことはできません。
いまだからこそ、歴史観に立ち返って先人の歴史から人知を学ばなくてはいけないと思っています。鎖国時代のことでありますが、あの関所が何のためにあり、何をしていたのかを理解することが、この難民・移民問題の解決につながります。さらに、戦前多くの日本人が世界各国に移民で出ていきました。現地の人間と日系人が、どのような関係であったかを理解できます。まさに、いま日本で起きている移民・難民問題に直結するヒントが隠されています。日系人の歴史は、ワーホリで来ている若い子たちが読んでも、海外で生きる英知が盛り込まれています。
日本人は、すぐに外国の体制を持ってきて白人の猿真似をしますが、日本には彼らより崇高な価値観と哲学をもって国づくりをしてきました。外国のコピー&ペイストをするのではなく、独自の価値観で国の指針を決めるべきです。
いまのこの国の姿は、オールド・メディアに象徴されているように、グローバリズムとリベラリズムが日本人の脳を壊して、価値基準がどこにあるのかわからなくなっています。北米は、ヴァンス副大統領の出現によって、グローバリズムとリベラリズムの決別と終焉を明確にしました。宗教観に基づいた価値判断と、1940年代の孤立主義の古典民主主義に戻ろうとしています。
いま、ヨーロッパも民族の価値基準に戻り、宗教観と民族観の取り戻しが始まろうとしています。日本だけが、壊れた脳の人たちがエスタブリッシュメントの地位に就いて、世界では終わろうとしているイデオロギーを続けています。その典型的が、オール・メディアとアカデミック界の知識産業でめしを食べている人たちです。
2025年から世界は、イデオロギーの地殻変動が起こり社会の仕組みが大きく変わろうとしています。
さらに、各民族は子々孫々を残すために、民族の大移動が始まっています。いままでは、土地と民族が生活空間を作り民族の文化の壁が、異文化や他民族を入れない居住圏を作って共存をしてきました。しかし、グローバリズムによって壊れてしまい民族の大移動が、サイレント・インベーション(忍び寄る侵略)に変わってしまい民族間の壁である居住圏が壊れてしまいました。大きな歴史的な時間軸でみると、文明の衝突がはじまっています。このグローバリズムの脳を持っている人たちは、民族生存競争が何なのかを理解していません。
いま、なぜ韓国人や中国人が日本に殺到しているのか?
いま日本で起きていることは、東アジアの「水面下の民族の大移動」が起きています。東アジア圏内で一番安定して、文明と平和な場所は日本以外ないからです。自分たち民族の子々孫々を残すには、最適の場所だということを彼らは解っています。他民族は、日本の領土がいかに安全で、経済的に安定していて、地政学的にいっても価値があることを理解して、民族の移動がはじまっています。残念ながらいまの日本人は、その意味が理解できていません。
この移民・難民問題は、人が毒を呑むのと同じで、一度体に入れてしまったら毒を外に出すことはできません。さらに、最悪な場合は死に至ります。その毒を国は呑み続けて、国民は異変に気づき始めました。しかし、エスタブリッシュメントの人たち(国を動かす人や知識階層)は気づかずに、人口増加と労働者の補充が特効薬と信じて、いまだに毒を呑み続けています。これが、いまの日本の姿です。これを続けていくと、国はあっという間に先住民の弱体化に追いやられて、民族の滅亡に向かっていきます。(そのいい例が、スウェーデンセスで5年前までは、民主主義国家のモデル国家でした。国家の幸福度世界ランキングでも、いつも上位になっていた国です。それが、数年前にはギャング大国になってしまいました。)
―ヨーロッパは歴史的分岐点-
テロや治安悪化は、ヨーロッパ各地で起きていて収拾がつかないところまで来ています。ヨーロッパの歴史は、統廃合の繰り返しで民族の移動と建国で民族の居住圏と国を作ってきました。1945年には、東と西に別れて人の行き来が出来ない、鉄のカーテンを作ってイデオロギーの壁を作りました。その後の1980年代後半には、東ヨーロッパが崩壊して新たな枠組みで、自由諸国のバランス・オブ・パワーを作りました。
いま、ヨーロッパは歴史的な分岐点に来ていて、新たな分断が起ころうとしています。各国の均衡バランスが壊れてしまい、いままでのヨーロッパの秩序では維持できないところまできてしまいました。この5年以内で、東ヨーロッパのときと同じように、ヨーロッパの大編成が始まるとみています。
2025年の世界秩序の崩壊は、民族の大移動によって「民族と土地と文明」の壁が壊れ、先進国が他民族に国が奪われる、とんでもない時代が始まろうとしています。
20世紀前の民族生存競争は、表面的で解りやすい侵略のかたちでした。植民地時代のように、軍人と武器を持って他民族の領土を略奪と侵略で先住民を滅ぼしてきました。しかし、2025年から始まる民族の生存競争は、グローバリズムとリベラリズムというイデオロギーで国が滅亡する、新しい地殻変動がスタートしています。
それは、「普通の庶民」が生活文化と宗教と人が移動することによって、先住民が駆逐されていく陣地取りゲームになっています。先日のミュンヘン安全保障会議では、ヨーロッパのエスタブリッシュメントの人たちは、異変には気づいてはいたけれども、どのように解決していくのか誰も答えを持っていない、不思議な安全保障会議でした。それは当然で、今までの安全保障会議は軍事が中心の均衡バランスで、軍事による各国の平和と調和の協議をしてきたからです。すべて軍事による、平和解決でした。いまの秩序崩壊は、軍事では解決できない新しい民族生存競争になって、この安全保障会議は何も意味を持たないことを、ヴァンス副大統領が示唆したにすぎません。
そうすると、日本の有識者はアメリカとヨーロッパは、「民主主義陣営の分断化した」という話しにしてしまい、パラダイムそのものを変えてしまいました。「トランプ政権の傲慢」と「ヨーロッパ諸国の健全な民主主義」というパラダイムにして、日本人にまともに考える場を作ろうとしていません。ヴァンス副大統領の演説の本質は、「ヨーロッパ諸国の存亡の危機になっている」という提言でもありました。
ヨーロッパの現状とヴァンス氏の演説を、バラバラにすると国際政治が見えませんが、この2つを並べて文明論と歴史観で国際情勢を見ると1つでつながるのが解ります。以前、コラムで書いた「ヨーロッパ諸国は、アメリカに追随する」という意味はここにあります。軍事による秩序の均衡バランスは、異民族の移動には何も意味を持たないということを、若き副大統領は見抜いていました。最後のトップ陣営の拍手が、あの会議のすべてであり、その温度差がすごくあることが解ったと思います。興味がある人がいれば、リベラリズムの終焉を見ると理解できます。
―壊れた民主主義の先-
日本は、いまだにその意味すら解らずに、エスタブリッシュメントの人たちは、自分の地位と小金を集めることに一生懸命で、国の存亡などは考えていません。いまの財務省をはじめ、各省庁と政治家の姿を見ていると、国家観と景況観がないのが丸わかりです。さらに最悪なのは、学問の世界(大学のアカデミック界)にも経済界(経団連・連合・医師会)にも共通していて、民族観も歴史観もないまま、自分たちの権益を守ることばかりに動いています。そこには、子々孫々が豊かになる「国づくり」にはなっていません。世界は、ますます民族生存競争を激化していき、各国は国内政治に集中をして国民の生活を守ることと、国防・国益を中心に我欲を剝き出しにした国づくりに向かっています。いつ自分たちの国と民族が、滅びるかわからないので危機の中で、国護りの体制に各国は動いていきます。いまアメリカは、どこの国に対しても高い関税をかけるパフォーマンスをしていますが、国内で完結できる経済循環にして、ブロック経済を視野に入れた国護りに、舵を切ったように見えます。これがはじまれば、ブロック経済がはじまり世界情勢は戦争か世界恐慌に向かっていきます。
トランプ政権の動きを見ていると、自国で完結できる国体に舵を切り、世界の覇権国をやめて孤立主義にどんどん国のカタチを変えていっています。そして、自滅する地域や国家には引きずられない体制にしています。ミュンヘン安全保障会議の演説で分かるように、「アメリカは民主主義国家で亡国に向かうところとは組まない」と宣言をした裏には、NATOの離脱も考えているようにも見えます。
日本は、ヨーロッパや北米の顔色を見て、国づくりをしていますが、自国だけで完結できる政治経済体制を作るべきです。少なくても、アメリカがNATOを脱退したら、大きなパワーバランスが変わります。今回のトランプ氏の行動は、米露の冷戦も終結させて新しいパワーバランスの時代を作ろうとしているように見えます。今回、NATO諸国を飛び越えてプーチン大統領と会談するのは、新しい秩序の構築だと見ています。トランプ大統領とプーチン大統領は、「ウクライナ戦争の終結」は大枠の合意ができて、ヨーロッパ圏の新しい均衡バランスの枠組みの合意も出来ていると見ています。
―先人の英知に立ち返れ!-
ヴァンス副大統領の言葉ではないですが、「外国の勢力が1番の敵ではなく、内側の問題が最大の敵になっている」と演説をしていましたが、これは日本でも同じことが言えます。何十年にも渡って、拉致被害者を取り返せない国の体制や、政治家が庶民を苦しめる「まつりごと」をしていることが、国家主権の民主主義なのか? 日本の本当の敵は、5観を持っていない人たちが、エスタブリッシュメント層を牛耳り国を動かしていることが、最大の敵なのかもしれません。
これから始まる動乱で、自国の中で完結ができる国は、世界で4~5ヵ国と見ています。アメリカ・ロシア・インド・オーストラリアで、人口動態と地政学的に言ってこの4ヵ国です。もし、政治がまともに機能すれば、日本が1番の自立大国になると見ています。
なぜなら、日本は勤労文化と技術と豊かな土地を持っているからです。世界のどこをみても、高い民度と生きるための英知(匠な技術)と水が豊かな場所が、3つ組み合わせた国はありません。
ただし、今の状況では、「移民・難民問題」と「エスタブリッシュメントのくだらない利権争い」とが、同時にリンクして自虐的民族劣化が加速していくでしょう。これが進んでいくと、民族の弱体化が他民族に領土と主権が奪わる結果となり、日本民族は奴隷として生きていくことになるでしょう。いま日本人の思考と社会は、本当に壊れています。まずは、正しい価値基準に脳や精神を正していかないと、未来に続く国づくりにはならないと思います。