武漢クライシスで見えてきた日本の課題と希望
-科学的データで武漢ウイルスを見る-

 武漢ウイルスは、いままで見えなかった日本の国の姿が、立体的に見るきっかけになったことは間違いありません。今回のことを手掛かりにして、1つ1つ経過をたどることによって日本人の弱点と日本人の進む方向が見えてくると思っています。まずは、科学的な数値と時間軸で見ることで、日本という国が不思議な国であることを理解することから始める必要があると思っています。このことは、オールドメディアを含め、ほとんどの人が言わないので、自分たちがどこに立っているのかが見えていないと思います。北米から見ていて、日本という国がいろんな意味で不思議な国に見えたことは間違いありません。そして、世界が求めているものが日本という国に内在しているということ。これは、日本国内にいては気づかないことだと思います。国際世界との対比をすることで、自分たちの国のあり方を見ていかないと答えが出ないと思っています。

 

―1月の初動の各国の対応―

 この半年を返り、事実と大衆の空気はどこに向かっていったのか? 情報と大衆扇動がどうリンクしながら、日本人の行動がどうだったのかを見ることで、日本人の習性や世界から見た日本の事実を見ることができると思っています。この武漢ウイルスを通して、日本人の一番弱点になっているところが明確になりました。それは、日本の狭い価値観で判断をして、情報によって踊らされて全体像を見失って、1億数千万人が、一体になって空転している状態になってしまったことです。冷静に判断し行動を取れば、何も変わらない生活が出来ていたにも関わらず、過剰な反応と情報のミスリードによって、自滅の方向に向かっているのがいまの日本です。正しい情報の上に、日本という国を載せて行動をするだけでよかったのですが、北米や欧州の情報によって勝手にけがをしているのが、日本だと思っています。(台湾やシンガポールの現状を共有するべきだった。台湾は、ほとんどロックダウンをせずに普通の経済活動をしています。)
 今回は、庶民の生活や政府対応を日本とカナダを比較しながら、現状や大衆扇動がどう違っていたのかを、書いていこうと思います。

 1月下旬の日本政府の対応は、どの国にも劣らないぐらい早い対応をしていました。しかし、中身は国家主導ではなく民間任せのグタグタの状態(ANAのチャーター機で、国家の特殊部隊が主導ではなかったこと。)からはじまりました。そして、日本人のほとんどはオリンピックに向けての空気と中国の春節の渡航客で、経済が上向くという空気に日本全体がなっていました。中国の武漢がロックダウンされたときにも、日本は大量の中国人を受け入れ、春節を日本で祝う状況でした。日本人の多くは、中国マネーを待ちわび期待をしていました。しかし、状況は一変します。2月に入り、各国は中国で異常事態が起きていることを察知して、中国からの渡航制限または禁止をはじめました。

日本   2/1 :14日以内に湖北省に滞在歴のある外国人及び湖北省が発給した中国旅行券を保持する外国人の入国を禁止。
アメリカ 2/2  :14日以内に中国への渡航歴のある外国人の入国を禁止
ロシア  1/30 :中国との国境にある検問所の閉鎖。中露の鉄道の運行制限
     2/2  :中国人に対する労働ビザや新たな労働許可の発給停止
韓国   2/4  :14日以内に湖北省に滞在歴のある外国人の入国禁止
台湾   2/6  :中国(香港・マカオを除く)に居住する中国人の台湾への入国を全面的に禁止
         中国大陸(香港・マカオを除く)に渡航歴のある外国籍者に対して,台湾への入境制限,査証(ビザ)管制措置を実施
シンガポール 
     2/1  :中国人および過去14日以内に中国訪問歴がある旅客の入国禁止
フィリピン
     1/28  :中国人に、フィリピン到着時にビザの発給を停止
オーストラリア
     2/1   :中国からのすべての人を入境禁止

 この状況の中でも日本全体の大衆の空気は、隣の火事としてとらえ我かんせずに、危機と感じず日常生活を送っていました。日本のニュースは、中国で何が起きているのか明確に報道をしてこなかったように思います。北米のニュースは、連日武漢内部での異常事態が起きていることを報道し、各国がどのような臨戦態勢になっているのかを報道をしていました。その大きな違いが、結果として日本人は武漢ウイルスの危機感を特別に抱かずに2月をむかえ、通常通りに過ごしました。日本の報道のほとんどは、中国の観光客が減り各地の経済が大変だということばかり、ニュースで取り上げていました。世界は、国家政策として軍が対応をしていたにも関わらず、ほとんどの日本人は実態を知らなかったと思います。特に、アジア・オセアニアの各国は、中国との距離をとり中国からの渡航禁止を徹底的にしました。2月下旬に入り、ヨーロッパでの感染者数と死亡者数が異常に増えました。それから、3月に入り北米が異常事態になってから、日本のメディアや政治家は動き始めました。国や行政が、国家としてまともに動き始めたのは3月になってからです。それまでの対応はどうだったでしょうか? 
 一部の地方自治体は、中国にマスクを送り。東京都は、マスクと防護服を中国に送っていました。何が起きているのかを実態を知らないまま、「隣国を救おう」という雰囲気に、日本という国は包まれていました。それを非難するメディアもなければ、住民の反対もないまま、その行為を許し行政のトップがミスリードをはじめました。
 その中で、バンクーバーはどうだったのか? 2月までは、多くの人が日本と同じように、自分たちの実態生活とは関係のないものとして捉えていました。国際ニュースで報道はしていたものの、全体の雰囲気は遠い国のこととして見ていました。その中で、中国系(香港系・台湾系・中国本土)の人たちだけは違っていました。この多民族国家の面白いところは、世界の縮図が肌感覚で体感できることです。問題が起きている民族や国民の行動を見ていると、何が起こっているのかが見えてきます。ここにいる中国系の人たちがまずはじめたことは、外出するときにマスクを着用しはじめました。(その当時は、ほとんどカナダ人はマスクの着用もしていませんでした。
この写真は、たまたま3月の上旬に撮ったものです。見てもわかるように、マスク・ゴム手袋にジャケットもナイロン系のモノを着て、完全防御をしていました。台湾系の情報なのか中国本土の情報かわかりませんが、すでに感染予防対策していました。カナダ政府が非常事態宣言をする以前から、彼らは異常事態がおきていることを知っていました。)そして、突如として中国人の外食が激減したことです。中国人は、大家族で外食をする文化を持っているので、毎晩中華レストランは忙しいのですが、2月に入ったとたんに客足がへりました。2月の上旬前後になると、例年は春節の関係でどこも忙しいのですが、今年はガラガラの状態のところが多かったです。
 同じアジア人として、ただ事でないことが起きていることは、日々の生活で実感しながら、私は日本にいる友人たちに日本の状況を聞くと、普通に通勤をしているという答えが返ってきました。この状況を察して、次は東京も武漢と同じような状況になると見ていました。ここで見る武漢のニュースは、ゴーストタウンになった映像が連日流れていました。日本の通勤ラッシュをしていれば、2月中に日本の各都市がクラスター状態になると世界の感染研究者や情報機関は誰もが思っていたと思います。感染者が急増して通常生活が出来なくなり、アウトブレイク(outbreak)状態になり、日本全体がパニック状態になり社会機能としては、機能不全になると見ていたと思います。突如として、「五輪が東京でだめならロンドンで」という話しが出たのも、イギリスの方で日本は武漢になると見ていたからです。
 そんな状況も知らないまま、日本国内では普通に通勤ラッシュをして、2月に入ってからも中国人の入国拒否をしませんでした。世界の国防の常識(軍地的なことでなく、外国からの疫病も含む)からすれば、この危機管理のなさと無防備さの中で、何をしているんだと思っていたと思います。いまでは3密という言葉が定着しましたが、日本の過密社会(通勤ラッシュや日用品の買い物)はまさにウイルスにとっては、爆発的な感染状態になる条件を備えていました。ヨーロッパ諸国のほとんどが見誤ったのは、日本が武漢のようになっていなかったので、その実例が初動の対応を遅れさせたと見ています。
 2月を振り返ってみると、日本のメディアを中心に騒がれていたのは、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の感染状況の報道でした。世界(アジア・オセアニア)で起きていることを報道せず、日本全体を間違った価値観に先導し、どうでもいい報道を連日垂れ流していました。そして、国会の一番の争点は「桜を見る会」を挙げ、不毛なことに時間にあてていました。日本の政治家やメディアは、この武漢ウイルスを真剣に取り上げたのは、3月に入り北米で感染者数が拡大してからでした。日本と北米の国づくりを見ていると、国の運営する価値観に大きな差があることに気づかされます。アメリカとカナダは、はじめから国防という非常事態から入りました。ヨーロッパの失敗も考慮しながら、国民の自由な行動規制と緊急助成金を1つのセットとして、人の自由往来を止めました。
 北米が、本格的に問題になるのはニューヨーク州がクラスター状態の3月になってからです。前回も書きましたが、カナダのトルドー首相非常事態宣言を発令したのは3月16日です。すぐに、カナダ全土でロックダウン状態(外出規制・非常事態宣言)がはじまりました。公衆衛生と緊急財政対策を同時に、その時に発表しました。日本は、2月の初旬に感染者が発見され、先進国の中では一番早く危機的な状況をむかえていたにも関わらず、武漢ウイルス対策をほとんどしないまま通常の生活と経済活動をしていました。安倍首相が、4月7日非常事態宣言を発令する2ヶ月もの間、空白の状態が続きました。3月上旬に、学校を一斉封鎖はしましたが。その時の世論は「子供の昼飯をどうするか。」や「学校に行かない間、留守番を子供だけにするのか。」といった、どうでもいいことばかりが日本の中の空気中に蔓延していました。国難という危機がないまま、緊急事態宣言に入っていきました。このプロセス自体疑問でしたが、日本人が持っている全体の空気感も世界の流れとは、どこかズレていると思っています。そもそも初動の時点で、震源地で何が起きているのかを的確に分析をして、日本国内で共有する一致点を作らないままに、欧州や北米の経済活動の自粛と3密の防止を強要させて、いままできました。初動の段階で、国家の専門と責任者を置かずに、全体像と何をしてはいけないのかを明確にしないまま、危険という空気だけが日本中に取り巻いていました。カナダと日本の大きな違いは、カナダ政府の対応はとてもシンプルでわかりやすく、国策と国民をしっかりと繋いでいたことです。政府の公衆衛生の代表を1つにして、毎日会見を開くスタイルを取りました。カナダの公衆衛生庁のテレサ・タム代表が、状況説明と何をしなくてはいけないかを、常にわかりやすく会見を開きました。そして、すぐに公衆衛生のメッセージを作りテレビやネットに流しました。
https://www.canada.ca/en/public-health/services/video/reduce-spread-covid-19-social-distancing.html
 それにプラスして、各州は地方自治の取り組みをはじめ、州の公衆衛生の代表(医者兼疫病の学者)を作り、ここでも毎日メッセージを出し状況を説明していました。ブリティシュ・コロンビア州(BC州)は、本当に丁寧な広報活動をしたと思っています。それに加え、経済活動の制限をさせるための助成金をあらゆるところに配りました。(家賃の補助金・子供に対しての給付金など)
 この大きな違いが、日本の民間活力を弱め国益を失っていると見ています。日本の国会や地方議会の2~3月の行動を見ていると、その違いがよく解ります。本来は、国づくりをする人はクリエーターでなくてはいけない。現状と未来をつなぐ、大事な仕事にも関わらず、外国の行動を真似することが「国づくり」の仕事と思っている人が多すぎます。そろそろ、北米や欧州についていく精神構造を抜け出し、日本の国独自の価値観を作らなくては駄目だと思っています。その根幹は、国益という価値がないまま来ている国づくりに大きな問題があると見ています。国益という言葉を取り戻すだけで、日本という国は甦ります。いま、実態を正確に掴むことができないことの要因は、分断化された古いシステム(古い既得権益・省益・学会構造)が大きな障壁になっていると見ています。このような国難には、個々に潜在している英知を1つに束ねて、大きな束に未来設計をすることだと思っています。いまの日本をけん引している政治家、医療機関、学者、経済界のトップがどれだけ、国益という単位で見ないか。そして、間違った未来に国を仕向けているとうこと。日本という国の大きな問題は、実体を正確に掴むことが出来ないことと、既存の古いシステムが未来を産み出す力が無いことです。

 

―科学的数字から見る―

 ここで、世界と日本の感染者数・回復患者数・死亡者数の比較をしたいと思います。たまたま、カナダに住んでいる関係上、カナダと対比することで面白いことが分かったので、日本の人たちにも見てほしいと思います。カナダの主要都市は、3州なのでここにフォーカスをあてて分析してみました。

基本的な知識

日本の人口 1億2650万人
カナダの人口 3725万人 オンタリオ州 1379万人
ケベック州 826万人
ブリティッシュコロンビア州 468万人

 補足:他の州は、人口が少ないのと地政学的に見ても日本との類似対比のデータにならないので省きます。オンタリオ州は、カナダの首都であるオタワがあり、経済の中心でもあるトロントという街があります。トロントは、カナダで一番の大きな町(630万都市)になっています。ケベック州は、フランス語圏になっていてカナダが2カ国語になっている所以の1つです。各州の土地面積に注目してほしいのですが、ブリティッシュコロンビア州(BC州)は、日本の面積の3倍であるにも関わらず、人口は大阪市と福岡市を足したぐらいの人口しかいません。人口密度で見た場合、日本とは比較にならないぐらいに3密にはならない環境であります。

3月21日

感染者1250 回復患者 16 死亡者 20 疑いのある感染者 45

 緊急宣言が出された直後は、西海岸のBC州が断トツ多い状況でした。西海岸でもあり中華系の移民が多いことも関係しているので、BC州はクラスター状態になると見ていました。3月時点では、カナダ全体のトータル患者数(感染者+回復者+死亡者+疑い感染者)が、1331人でした。
 それが、1ヶ月後には3万6777人になりました。この時点では、ヨーロッパと同じような状況になると誰しもが思っていました。状況の悪化は、西から東の方に移りケベック州の感染者数(志望者数を含めて)は1ヶ月の間に100倍になってしまいました。オンタリオ州も30倍になり、異常事態がはじまりました。カナダ全体が緊迫した状態になりました。しかも、この状態は非常事態宣言が出された後なので、外出する人もいない状況で日増しに伸びていきました。4月のデータを見るとよく解ります。

4月20日

感染者 22558人 回復患者 12534人 死亡者 1685人

 (この時には、感染者疑い数のデータは発表しなくなりました。意味がないとして公表しなくなりました。)
 この数値と異常事態が起きていることに、国民はだれもが政府に従い状況を静かに見守っていました。前回のコラムにも書きましたが、ほとんど街を歩いていない状況は写真からもわかります。感染者数と死亡者数が下がっていない状況に、誰しもが不安と危機を持っていました。未知との世界に不安を抱きながら、嵐がおさまるのをじっと待っていました。カナダの研究機関と政府は、必死にブレない公衆衛生管理を徹底して推し進めました。ソーシャルディスタンスという、きわめてシンプルな政策だけを徹底して、国民に供用をしました。そして、公衆衛生庁のテレサ・タム代表は「人からモノに移り、モノから人に移るという。」見解を出し、手洗いマスク着用と消毒を呼びかけました。マスクという文化を持たなかった人たちが、いまは当たり前のように付けるようになりました。特に力を入れたのが、モノから人に感染する状況を事細かに広報しました。それと、家族以外の人とは会うことは禁止しました。それを毎日、テレビの画面とWEBから国民に訴えてきました。それでも、日増しに増えていく状況は変わりませんでした。ケベック州とオンタリオ州の上がり方は、ヨーロッパと同じような上がり方をしました。東側の街は、感染者と死亡者数が同時に増えていきました。なぜ、同じ国であるにも関わらず、増えているのか? 死亡者数に関しては、違う図表で各州別にグラフを載せています。

5月20日

感染者 33335人 回復患者 40776人 死亡者 6031人

 図の数値を見ていると、トータル患者数が爆発的に増えて、とんでもない数値になっているように見えますが、ここが数字のトリッキーになっています。(日本のメディアは、よく合計感染者数ばかりを取り上げて、危険を煽るのですが、詳細の数値を伝えていません。)よく見るとカナダは、5月中旬から回復者数の数と感染者数と逆転がはじまりました。死亡者は、増えてはいるものの、どの年代やどの症状で亡くなっていくのかのデータがまとまってきました。徹底したソーシャルディスタンスをしたので、ヨーロッパほどの数値にはならずに医療崩壊にもつながりませんでした。BC州は、独自に公衆衛生の政策をうっていたので、非常に感染者数と死亡者数を低く抑えることが出来ました。この辺りから、カナダ政府は一部経済活動の枠を広げて、緩和をし始めました。

 この武漢ウイルスは、地域によって感染者数や死亡者数が多いところと少ないところの因果関係は何なのか? これから、徹底した研究がはじまると思います。カナダの数値は、日本は参考にするべきだと思っています。なぜなら、地域によって全く被害状況が違っている点が1つ。人種によって、掛かりやすい人種と掛かりにくい人種がいることが関係しているのか? 民族の食生活の違いなのか? 民族が持っている生活衛生の違いなのか? 多方面から見ることができるからです。当然、気候の問題もあります。これらのデータは、今後の日本の感染衛生や予防医学として使えるとおもいます。

下のグラフは、日本・カナダ・オンタリオ州・ケベック州・BC州の死亡者数の折れ線グラフです。
死亡者数

 見方として、縦軸は感染者数。横軸は感染者が出てからの日数。日本(黒色)が長いのは、はじめに感染者が確認されてからの日数に成っているので、一番長い100日間になっています。逆にカナダ(黄色)は、一番短いのは一番遅く感染が確認されたので、80日になっています。このデータは、感染者数の数値は1週間の平均値を1日のデータにしているので、グラフが滑らかな折れ線グラフに成っています。

6月3日
     日本        6人
     カナダ      108人
     オンタリオ州   22人
     ケベック州    81人
     BC州        1人

 日本の感染日数は、一番長いですがそれほど増えていないのがわかります。60日辺りから上がっているのは、4月下旬(ゴールデンウィーク)で数値が上がり、それほど大きな数値にならずに平行しはじめます。85日目からは、下降に向かっています。このグラフを見ると、日本で報道しているほど危険なレベルなのか? 経済活動を止めてまで、非常事態宣言の延期にするのか疑問にみています。この比較は、カナダの州と国のデータを入れているので、ちょっと不自然な比較になりますが、どれだけ日本が死亡者数を抑えてきたのかを知る意味で載せました。さらに、低く抑えているのはBC州です。

 今度は、イギリス・イタリア・カナダ・日本のグラフを見てみたいと思います。欧州国を選んだのは、公衆衛生や医療機関から見たときに、日本と類似国ということで選びました。人口数も日本とカナダの間なので、ちょうどいい比較になると思ったので、イギリスとイタリアを選びました。(注:ここで、アメリカをあえて入れなかったのは、あまりにも数値が大きいので比較の対象にならないので省きました。)このデータは、欧州疾病予防管理センターが出したものであります。

基礎知識 人口数 (日本は圧倒的に人口が多い)
日本 1億2650万人
カナダ 3725万人
イギリス 6643万人
イタリア 6055万人

感染者数のグラフ

 見方として、縦軸は感染者数。横軸は感染者が出てからの日数。日本(黒色)が長いのは、はじめに感染者が確認されてからの日数に成っているので、一番長い100日間になっています。逆にカナダ(黄色)は、一番短いのは一番遅く感染が確認されたので、80日になっています。このデータは、感染者数の数値は1週間の平均値を1日のデータにしているので、グラフが滑らかな折れ線グラフに成っています。

 6/3 感染者数 (日本が出しているデータは、1日の感染者数なので若干数値が違っています。ただし、1週間の平均値数の違いで見た方がきれいな放物線を描くので、現状を見るには適している。)

      日本    48人
      カナダ   823人
      イタリア  423人
      イギリス 1823人

 このグラフを見ても日本はどれだけ感染者数が低いかが解ります。人口比率から見ても、カナダは日本の1/4にも関わらず、1日の感染者数は17倍になっています。イギリスは、日本の半分の人口にも関わらず感染者数はいまだに38倍にもなっています。ただし、このグラフを見てもわかるように、各国収束に向かっているのはわかります。

死亡者数

 この数値は、死亡者数のグラフになります。どれだけ、他国の死亡者数が多いかがわかります。このグラフを見ると、世界がなぜ外出禁止をするのかが理解できると思います。今回のウイルスで注目するべきは、死亡者数だと思っています。

 6/3 死亡者数(日本が出しているデータは、1日の感染者数なので若干数値が違っています。ただし、1週間の平均値数で見た方がきれいな放物線を描くので、現状を見るには適しています。)

      日本    6人
      カナダ  105人
      イタリア  76人
      イギリス 324人

 日本(黒)のグラフですが、ほとんど上がることのない状態になっています。はじめのグラフで、日本とカナダのグラフを見て、カナダの死亡者数は多いと思っていましたが、イギリスやイタリアに比べるとカナダは、グラフは下になります。イタリア・イギリスのピーク時には、1日800~900人亡くなっている状況でした。この数値を見ても、自分たちの身近な人が、数人亡くなっている状況だと思います。
 日本の報道機関は、こういった事実を伝えずに、過剰に煽ること偏向報道をして、間違った認識を日本人の中に植え付けているような気がします。本来、オールドメディアが報道するのは、なぜ日本は数値が低いのかをわかりやすく解説をするべきだと思います。それに加え、非常に緩やかな曲線で数値が上がり下がっていることも報道するべきだと思っています。
 今回のことで世界は、「Japanese “Miracle”」と言われているほど、なぜ日本はこんなに低く数値を抑えられているのか、不思議な目で見ています。決して、政府の対応が良かったわけでもなく、日本人の日々の生活習慣で押さえられた、おとぎ話しのような現象が日本で起きているのです。当初は、医療崩壊するほど重篤者が出て社会がパニックになると心配されていましたが、日本に関してほとんどありませんでした。メディアをはじめ、情報で混乱を招いたことが日本人全体に大きな損害を与えたと思っています。欧州と北米の状況を見てから、ある北海道の大学教授は、4月15日に「この状態を放置した場合には42万人亡くなる」と発表しました。もし、その危険を煽るのであれば、2月上旬だったと思います。このグラフを見ていたら、そんな不自然なことが起こるはずがないのは、良識がある人ならわかるはずです。言葉や学識を職業としている人たちが、どれだけ無能なことをしてきたのか。言葉だけが宙に浮いて、大衆を煽っているなにモノでもありません。さらに酷いのは、いまだに東京都知事は「東京アラート」という意味不明な、自治誘導をしていることです。それに対して、誰も意見を申さない全体の空気には理解に苦しみます。数人の学者や学識者は、まともな意見を言っているにも関わらず、感情で判断をしている全体の流れがあるような気がしています。いまの日本人の特徴は、個人の損得勘定で社会の縮図を見ていることだと思っています。事実をロジックとして組み立てる、思考回路には成っていません。それに加え、感情の損得勘定にオールドメディアと政治家が乗っかり、大衆迎合をしている茶番が見えてしまいます。

 

―平成までの労働価値を捨て、次の労働観の意識改革へ―
  (ただちに、公衆衛生政策から経済政策へ)

 いまだに、公衆衛生だけを考えて社会システムを回そうとしている行政機関は、間違った政策でしかありません。安倍首相の非常事態宣言の延期にも疑問を持っていました。具体的な数値や武漢ウイルスの実態を、明確にしないまま日本政府は今日まできました。いま一番、日本人自身が関心を持たなくてはいけないのは、「2月になぜ感染者が広がらなかったのか?」ここに注目をするべきだと思っています。実は、一番世界が知りたいのは、「日本人は、なぜ感染者と死亡者が増えなかったのか?」というおとぎ話しのようなミラクルボックスの中身です。それを解明することが、日本のこれからの未来の形にもつながっていきます。なぜなら、これから世界はこのウイルスによって、地域が壊れて国難になる国がいくつも出てくるからです。そのときに、日本のミラクルボックスを自国に取り入れたいという国や政財界のトップの人が、必ず出てきます。そのときに、公衆衛生のシステム・医療システム・社会インフラ・食文化(日本食には、免疫を高める要素があると見ています。安心安全な食事をしたい人がいるので、中国産にかわり日本産が注目されるときが来ると見ています。)などのありとあらゆるものが、世界に出ていける大きなきっかけになります。中国は、一帯一路といういびつな巨大経済圏を作ろうとして、世界に大きな負債を作りました。いま世界は、中国によって壊された社会を、立て直すことに必死になりどこの国も模索をしています。そのときに、日本という国と民族が必ず注目され、世界の中心に立つ日が来ます。その時期に向けて、日本人が外国に行ける態勢に作り変えるべきです。早急にワクチンの開発や医療システムの輸出を含めて、日本は国づくりをするべきだと思っています。日本人が海外に行っても、安心して仕事ができる公衆衛生と医療システムを輸出し体制を作れば、邦人だけでなく現地の人たちにも使ってもらうこともできます。無駄な営業なくして、日本製を輸出することができます。医療なども国家レベルのプロジェクトとして取り組めば、システムと人材を各国の所望に応じて輸出することができます。その体制ができた先は、社会インフラの輸出だと思っています。水道・電気・道路・ごみ収集システム(清掃工場)の輸出にもつながります。
 最終的には、日本の労働文化(誠実・勤労・技術)を輸出する時代が必ず来ます。いま、日本の中で蔓延しているのは、勤労な労働者の絶望と自暴自棄という間違った思い込みと自虐的な精神構造で、虚構の世界を作っていることです。いまの日本では、これから日増しに増えていくと思います。そのマイナスの流れを脱するためにも、勤労という文化を持った人たちを、次への人生へつなげていくシステムを作ることが、早急の課題だと思っています。政治家や経団連の速度では、この時代の変革に着いていっていないのが現状です。であるならば、個人が空間をデザインして動くしかないと思っています。
 いま、日本にとって大事なことは、技術や勤労という財産を途絶えてしまうことです。これからの時代は、個人の実力で仕事空間を作っていく時代にはいったと見ています。古い既存のシステム(一括採用・終身雇用を中心にしている会社システム)に依存をするのではなく、個人で仕事の経済圏を作り自分の労働能力(技術)を売っていく時代がはじまったと見ています。
 日本のほとんどの産業は、世界でトップクラスの技術であることは間違いありません。日本国内で、自分の技術を活かせないからと言って、悲観するのではなく新しい思考転換に変えるべきです。いままでの日本人の海外での働き方は、日本サイドを見た働き方でした。いい例が、ほとんどの製造業は日本の大企業の下請けとして、サプライチェーンの一部になり海外進出をしてきました。大企業の狭い価値観での技術提供は、利益のない仕事と外国に技術を流出するという馬鹿な構造によって、日本人の労働単価を落としていきました。今回のような、大企業が倒産する可能性が高まる時代になると、いままでのシステムは通用しなくなります。これからは、現地の人たちに直接技術と労働を売ることが主流の仕事になっていくと思っています。車の整備士にしても、日本人ほど誠実に仕事をする民族はいません。それは、水道工事や電気工事に至るまで、個人レベルの仕事で日本人より早くきれいにする民族はいないと思います。
 いま、北米で起きている現象の一部ですが、日本の外食産業のコンテンツを中国人や韓国人がオーナーシップを買い、日本人のワーキングホリデーを雇用し利益を上げている実態があります。アメリカの回転寿司やラーメン屋では、外国人がフランチャイズ契約をして、現地の人たちを雇い日本の賃金よりも高い給料で働いています。日本のシステムが、外国人の高収入になっていることに目を向ける必要があります。そのポジションを、日本人にとって代わるだけでも相当の数の雇用が生まれます。
 それに、日本の投資家も次世代の日本の若者(勤労文化)に投資をするべきです。大きな時代の流れが、はじまりました。小学校から高校の12年間で、高学歴と安定雇用という大企業神話からの洗脳を脱却する時期に来ていると思っています。いま個人が持っている技術や能力を、冷静に分析をしてどこで時間をお金に変えていくのかを考える時期に来ていると思っています。平成までは、当たり前と思っていた会社文化や終身雇用という、「時間をお金に換える」システムが通用しなくなったことは間違いありません。