歴史から抹消してしまった国防と国益 89
「リベラリズムの虚構」と「多民族社会のレイヤー」(移民・難民を考える)下

間違った先入観が、日本人を弱体化させている
 日本にいると、大学を含めて「みんな仲良く信仰」の夢物語ばかりを唱えています。ダイナシティやマルチカルチャーは、誰もが平等で温和な社会になると信じ込ませています。加えて、誰もが権利が与えられて、幸せな社会になると信じています。しかし、多文化の共生は単純なものではありません。異文化と他民族の衝突であり、「取った盗られた」の世界であります。
 ほとんどの民族は、ダイナシティやマルチカルチャーを本音のところでは信じていません。むしろ、自分たちの生存権をどのように確保して、「異文化の中で生きていくか」を常に考えています。
 ほとんどの民族は、家族主義を大切にするので家族を増やし民族村を作ることからはじまります。(白人は、個人主義なので対象が違う。)そして、いつしか数の力で地域を異文化(民族村)に染めていきます。海外に出ていけば、人種・民族の「本音と建て前」があり、使い分けて生きていることが理解できます。

 移民が悪いとか良いという話しではなく、同胞が異郷で生きていく知恵であり、民族生存のための防御でもあります。かつて北米で、日本人も村を作り他民族が入ってこれないコミュニティーを作ってきました。それは、民族差別の闘いの中で日系人が生み出した英知であり、子々孫々命をつないでいく方法でもありました。(民族の壁を作って、言語と宗教と生活を守る防護です。)
 いま日本国内では、移民・難民が増えて民族村を作り、日本社会との隔たりを問題視していますが、それは必然性で当然のことであります。多民族国家に住んでいると、ダイナシティやマルチカルチャーという「理想と現実を使い分けて生活をすること」は、どの民族も普通にやっています。
 日本人は、単純に言葉だけを信じて、多民族社会の想像する力を持っていないだけです。イスラム教の土葬の問題や宗教施設の建設は、すべて「文明の衝突」であり、宗教観や民族観が存在しています。外国人を入れるということは、異教や異文化の生活を保障することで、日本の信念や情念の真逆な価値観を受け入れなくてはいけなくなります。
 この外国人問題は、日本自身の中で「共生社会のお花畑」を幻想して、民族間の闘争に気づいていないことです。さらに、日本の有識者(学者・政治家・メディア)は民族観や宗教観がなく、公共の電波や公共機関(大学・小中高)で虚偽を言って、日本人に正しい判断をさせていません。多民族との共生は、「苦痛と我慢と差別」をどのように調和して生きていくか、とても高度な生き方です。そして、常に闘争と衝突が付随しています。多民族国家の中で生きていくということは、民族観の綱引きで生きることです。敗戦後の教育は、机上のことしか教えずに、民族のガイドラインがない性善説の社会を広めてきました。
 
歴史から学び未来に繋げていく

 歴史は、古典で「過去の産物」と思っている人が多いと思いまが、過去を知らないと未来に繋がってはいきません。特に、国際関係を勉強するならば、日系人の移民史を知ることで、先人の生き様を知ることから始めるべきです。異文化の中でどのように生きてきたか、その歴史を知ることが次の日本人の生き方に繋がります。
 移民史を見れば、「熾烈な民族の生存競争」の中で、命がけの闘いをして日系村を作ってきました。けっして、単純なダイナシティやマルチカルチャーではないことが理解できます。いまでも民族の壁はあり、「本音と建て前を使い分けて多民族社会」が成立しています。水面下では、民族の生存権と既得権の綱引きがあり、表面化しない熾烈な奪い合いが起きています。
 かつての移民一世や二世の人たちは、他民族の差別の中で自分たちの技術と感性を磨き、人間力を高めて生きてきました。いま日本人が必要なのは、民族固有の人間力と精神力で「何も無いところから作る力」です。移民一世や二世は、この英知を武器にして、多民族の競争社会で生きてきました。
 これから世界は、穏健な秩序は壊れてカオスになって行きます。そのときに、他民族はリベラリズムを盾にして、日本の文明や文化を壊しに来ます。知らぬ間に、日本国内でジュノサイド(民族浄化)がはじまっていきます。

 これからの日本は、教育の段階から多民族社会を多重層のレイヤーで捉える学習をして、性善説の思考から脱することです。この英知を身に付けると、戦後教育のダイナシティやマルチカルチャーという言葉が、いかに虚構の世界であることを知ります。今の学校教育は、リベラリズムを中心にして、民族観と宗教観を教えていません。まずは、この問題から取り上げていかないと、移民難民問題は解決できないと同時に、国際社会を見ることはできません。

 海外で日系社会が縮小している要因は、いま日本社会で起きている要因と同じです。25年前からバンクーバーで起きたことが、いま国内の社会問題(中国人が土地を買いあさり、不動産バブルと固定資産税の高騰など)になっています。これからの日本を立て直すには、海外で闘える人材を育てることです。そして、多民族社会のレイヤーを見れる千里眼を持つことです。世界のロジックが見えると、サイレントインベーション(静かなる侵略)がどのように侵攻しているかが見えます。

 これからの国際社会は、先進国が移民によって亡国になる時代がはじまります。武器の戦争ではなく、異文化の民族大移動がその国の文明と社会を破壊していきます。欧州や北米では、すでにはじまっています。