歴史から抹消してしまった国防と国益 Ⅹ
―二兎追うものは、一兎も得ず―

 米・英対中の対立は、避けられない状態になり世界の政治・経済が一変します。国連は、意味を持たなくなり常任理事国の拒否権で、まったく機能しない機関になるでしょう。日本人は、国連が国際機関の仲裁機関であり、人道と性善で成り立った機関だと思っていますが、あの機関は常任理事国(米国・ロシア・中国・イギリス・フランス)の既得権と権力を誇示する場であります。そこに莫大な日本マネーを投じて、かれらの既得権と主張を担保して第二次世界大戦の戦勝国利権を守ってきた歴史に、日本人は気づく時期に来ていると思っています。
 2022年は、米国も中国も正面からの軍事衝突はしないでしょうが、中国の領土拡大と侵略はさらに進むでしょう。中国の覇権は、尖閣諸島を実効支配して次に台湾を香港のように実質占領をする行動に出てきます。これは、中国にとって核心的利益であり、彼らの建国からの理念であります。米中対立以前から、台湾を中国に帰属させるというのは彼らの国家観であります。そのときに、日本はどのようにして尖閣諸島(日本固有の領土)を守り、台湾から軍事協力を求められたときに、国家の指針を出せるのか? いまの状況でいけば、国を二分する問題になっていきます。
 独立回復後、日本が軍事と国防を棚上げにして憲法を改正せずに来た結果、中国が日本の弱点を突く作戦を実行し、明らかに国家体制では不利な状態に立っています。対中国に対してどのような軍事対応をして国防をしていくのか、日本の政治家は国家観が問われています。日本の政財界のトップを見ていて思うことは、いつになってもお花畑(平和ボケ)の空理空論の議論しかできず、血が流れる最悪の想定での議論が出来ないことであります。今年の北京オリンピック以降は、具合的な軍事ミッションや有事において意見が言える、国づくりをする人が出てこなくてはいけないと思います。その上で、目を背けてきた現実に日本人は向かわなくてはいけなくなると思います。

 日本は、もう1つの難局に直面しています。それは、経済的な自立の担保ができるのか?で、現在、大きな岐路に立っています。アメリカは、国策として産業を国に呼び戻す政策を続けて5年経ちました。去年の11月にYahooまでが、中国の撤退を表明しました。米国は、中国依存しない経済体制を加速させています。この状況を日本は、どう受け止めて経済と政治は見ていくのか、空間デザインをしなくてはいけない時期に来ていると思っています。前回も言いましたが、中国にサプライチェーンを置くことによって、物流が鈍化して品不足になり物が高くなるという事態が世界各国で起きています。その状況を脱するために、アメリカは自国生産に切り替えて品不足解消と自国の雇用拡大をすることで、中国経済を断絶する仕組みに変えています。
 これからアングロサクソン含めてキリスト文化圏は、中国経済と切り離し中国の国力の弱体化を本格的にはじめて、中国マネーの瓦解から国力の無力化をさせていきます。まずは、ヨーロッパや北米にある中国マネーを絞め出し、各国の国家権力を使ってアンダーマネーや個人資産を没収して赤字財政の補てんに使うでしょう。裸官(中国の官僚や家族が海外に資産を飛ばして海外亡命・移住する人)と言われている人たちの資産を合法的に差し押さえて、違法行為・マネーロンダリングとして摘発して財産没収をしていくということです。そのバラまかれた中国マネーは、悪貨になりありとあらゆるところに弊害をもたらしています。ある裸官の例ですが、Vancouverに家族を移住させて中国本土から十数億のお金をカナダに移しました。さらに、兄弟家族は数億円の資産をカナダに移し、本土には資産をほとんど残さず、一族の大移動を実行しました。
 少し蛇足ながら、中国人の民族観とマネー感覚の話しをします。彼らは、国家を信用していません。そして、国を愁い祖国という感情も持っていません。自分や一族の資産が担保できればいいと思っているので、日本人が持っている郷土を想う気持ちや国家観は持っていません。彼らは、自分たちが土地を購入したところから土着や歴史(独特の国家観・死生観)がはじまります。マネーさえ信じていれば、すべてが手に入ると思っている利己主義で功利主義を期とした民族観があり物質至上主義で成り立っています。
 そういった中国人(裸官・資本家)が、何億~何百億持った人たちが、世界にお金を流出させ、その数は少なく見積もっても日本の人口と同じぐらいの1億人といわれています。個人資産として何十億所有している層は、小物であり、上になれば何百億・何千億クラスはいくらでもいるとされています。そこから見えてくる世界は、いま日本人が持っている金銭感覚とはまったく別モノであり、とてつもない金額が世界各地にバラまかれています。いまVancouverで起きている一部の話しですが、20億を持った人が1000所帯移住したとします。(実際は、それ以上の人口とお金が動いている。) 最低でも2兆円というとてつもない外貨が、流入して突如街が好景気になります。日本の人口300万人の地方都市に、2兆円という資本が流れてくれば町全体が潤うのは当然なことで、すべて外国資本によって一部の民族が経済を支配するという構造がおきてしまいます。コロナ前までの日本が、中国人の爆買いによって繁華街や観光地が潤った現象と同じ現象です。北米は、さらに酷く不動産と高級車(イタリア車・イギリス車・ドイツ車の800万以上はする車ばかり、走る街になってしまった。)の爆買いがはじまり、永住権を持っているので生活の必需品が同時に購買力につながるという構造になっています。低く見積もっての移住者数であり金額なので、2兆円以上の額がVancouverに落ちていることはまちがいありません。いま、西海岸の大きな問題は、得体のしれないマネーによって不動産が高騰(過去20年間10~15倍地価が上がっている)して中国人が増えて、生まれ育った人たちが自分の町に住めない状況になっています。地元の若者は、不動産が高騰し地方に移住する現象になってしまい、都心部や閑静な高級住宅地は住民税が上がり白人が住めない状況になっています。その空洞化した場に、中国人が増えて居住しているという現象になっています。当初は、ITバブルによって西海岸は好景気を迎えたと見ていました。しかし、移民流入と不動産の関係を見ていて、あまりにも不自然なお金の動きに、やっとアメリカ人もカナダ人も気づきました。地元住民の空洞化は、移民してきた中国人によって、中国人だけの居住地帯になってしまう新たな合法的な侵略戦争がはじまってしまいました。
 この構造は、白人がアメリカ・インディアン(近年は、インディアンとは言わず、ファースト・ネイションとかネイティブと言います。)を迫害し環境の悪い場所に追いやられる構造と全く同じ構造で、21世紀は中国人によって北米本土が制圧されるという現実に彼らはやっと気づきました。
 その不自然な人流や経済活動に対して、白人社会は必ず反撃に出ていきます。今後は、お金の動きを徹底的に追及して違法マネーの没収をして、中国人を排斥していく方向に進むと見ています。今回のオリンピックの政治的ボイコットは、このようなところにも繋がってきます。

 アメリカ・カナダは、中国本土の経済活動を低迷させるために、中国で経済活動をしている外資系企業(ユニクロ・トヨタ・パナソニックなど)に対して、段階的に2つのことを要求するでしょう。まずは、中国からの撤退を世論誘導して来るでしょう。(アメリカがいつも使う手で、マスメディアや政治を使って国民世論を誘導してきます。プリウスのときは、アメリカ産の車を売るためにトヨタたたきをして、メディア・政治・司法が連携して世論誘導をした過去がありました。)国民世論に火を付けて不売運動に誘導して、中国に生産拠点を持っている企業をバッシングしていくでしょう。それでも撤退しなければ、議会で「中国で市場を作りたいのか?」「それとも北米で市場を作りたいのか?」二者択一の選択をさせられます。これは、日本企業が避けられない踏み絵で、中途半端な姿勢は許されないと思います。アメリカ・イギリス陣営は、中国本土の経済の弱体化をさせて、国力を落とす経済戦争を仕掛けていきます。この時に、日本の経済界はどのように選択をしていくのか? いままで中国に依存した企業は、二股貿易を続けることはこれから先続けられないと見ています。

 

―2022年は、歴史の変遷期―

 アングロサクソンを中心にした北米経済・政治のシナリオは、漢民族との戦いを経済から壊していくことをするでしょう。中国国内には産業の空洞化を作り、海外に出た得体のしれないマネーを没収することで、中国人の個人資産を無力化することで中国人を弱体化させていくのが狙いです。この独裁政権が倒れるまでは、自由主義陣営は中国で経済活動をしないという方針を明確にしています。日本企業が、中国寄りに立ち経済を支えれば中国の延命にも繋がり、習政権の権力を強めることに英米側は黙っていないでしょう。
 中国国内が低迷していけば、中国の貧困化がさらに加速して内部から政権降ろしがはじまり、国内の権力闘争へと移行して内部から分断と分裂がはじまるでしょう。自滅すれば、武力を使わず漁夫の利が得られるというのが、次のシナリオです。米国の共和党と民主党は共闘して、「中国の人権弾圧反対」という看板を大きく上げながら、中国潰しをさらに加速していくと見ています。あれだけ、中国にベッタリだった民主党が中国に対して強行政策をしていることを見れば、5年前のアメリカ政治とはまったく違うことが理解できます。
 この縮図は、日本の政財界が考えている以上に、ただ単の貿易戦争というレベルのモノではありません。英米を中心にした白人社会の国盗りの歴史に直結する問題でもあります。ここで、漢民族に支配される結果になれば、彼ら自身が弱小民族に落ちるという未来は想像しています。
 西洋の歴史を振り返れば、侵略と支配の繰り返しの中で西洋文明は、進化をしてきました。彼ら自身が、一番占領される怖さを知っています。その大きな歴史から見ると、日本はどの立場に立って日本という「国づくり」を進めていくのか、方向が出てくると思うのですが、いまだに何をしたいのかがよく見えません。経済だけの話しをすれば、この中途半端な姿勢は中国市場どころか、北米の市場も失います。
 そして、なによりも国際政治の場で先人たちが作り上げた民族の信用と信頼を失い、民族の弱体にもつながります。中国に依存するということは、覇権政治の下で(人道を無視した政治、民主主義陣営がジュノサイドを認定している国家)金儲けをすることであり、日本の子々孫々にとって民族の財産になるのか? かつて、日本はドイツ・イタリアとはまったく違う国家観にも関わらず、三国同盟を結んだ歴史があります。その結果、日本はどんな結末がまっていたのか、もう一度、振り返る時期に来ていると思っています。

 

―アメリカ人が持っている2つの価値観は、日本人に類似している―

 私の見立ては、中国に依存した経済体制をしていけば、日本の国益を守ることは出来ません。確かに、アメリカとの関係を見ていても敗戦後の日本は、アメリカに搾取と強奪の繰り返しの中で日米の関係を作り上げてきました。決して、アメリカ依存でこれからも日本はいくべきだという話しではありません。しかし、いまの国際情勢を見ていると中国に寄り添うよりは米国に依存しておいた方がいいというレベルのものです。多くの日本人は、気づいていないと思いますが北米(米国・カナダ)と日本の共通点が2つあります。

  • 勤勉・勤労であるということ。
  • 正直であること。

 意外かもしれませんが、日本と共有できる価値観を2つ持っています。勤勉・勤労の価値は、開拓移民精神です。仕事をしなかったら、幸せはつかめないという精神を持っています。「アメリカン・ドリーム」という言葉があるのは、一生懸命働いて自分の夢を現実に出来る。という精神構造を持っています。もう1つは、カーボーイ精神から来ている、正々堂々と真正面から決着をするという価値観です。西部劇で同時に銃を抜いて決着をつける場面は、銃を持たない人や後ろを向いている人を撃たないという暗黙のルールは、卑怯なことはするなという精神が根幹にあります。これは、武士道に似ている精神でもあり、正々堂々と戦う精神は卑劣・卑怯な行為を嫌うという国民性にも繋がっています。
 近年の中国は、開発された技術や産業を盗む行為を、平然として盗られる側の責任にして経済復興をしてきました。この価値観は、北米社会では決して受け入れられない価値観であり、2大精神を否定してことに繋がります。日本は、ここに共通の価値観と精神性を持ち民主主義の旗を挙げるべきです。中国マネーに依存しない社会を作ることによって、新しい日本を作ることが出来ると思っています。