Vol.800+30+26

ドルの退場劇

世界の基軸通貨には、特権があります。それは、世界に通貨としてのマネーを供給するために、ペーパーマネーを刷り続けることを、誰も止められないということです。
存在しないマネーを供給し続ける権利ともいえるでしょう。この権利をアメリカの前に持っていたのはイギリスで、第一次世界大戦と第二次世界大戦という戦いの結果、イギリスのポンドは、その地位を、ドルに奪われることになりました。
そのドルの価値は、ニクソン大統領の時から、一貫して低下してきましたが、アメリカはその軍事力を背景に、石油をドルでしか買えない仕組みをつくることで、ドルは基軸通貨であり続けることができました。それが、チャイナの台頭と、ロシアによるウクライナ侵攻で、ドルを使用しない国家間の取引が、急速に進むことで、ドルの影響力の低下が現実のものになりつつあります。
これは、歴史的転換点なのです。
精神界の情報では、この二千二十三年の四月から、アメリカの対日戦の勝利から、七十八年目にして、日本の精神界が、長らく用意してきた、対米攻勢が、ついに始まったとの報告があります。
アメリカの属州であった戦後史が、これから終焉を迎えることになります。
それは、アメリカという人工国家の崩壊と、戦後の日本で、利得者となった勢力の退場というものが、一気に進む、社会の大変動のスタートを意味します。残念ながら、いまの日本のすべての社会システムは、この変動に耐えることはできないでしょう。
いま進行中のアメリカの銀行システムへの不信感の増大の先にあるのは、FRBとECBによってコントロールされている、現行の通貨の根拠となるものが、空虚な幻想という歴史的事実の発見にほかなりません。この中央銀行制度の危機を感じている人間の中では、貴金属と仮想通貨に資金をシフトしようとする動きがすでにはじまっています。これに対抗するために、いまの金融システムを担っている中央銀行の側では、マネーを完全にコントロールするために、デジタル通貨の導入というもの目指しています。しかし、これらのことは、すべて崩壊への道につながるものでしかないといえます。
なぜなら、すでに金利の神は地球から去ったからです。
地球上に溢れている数字上のマネーは、いまやコンピューターのデータ上の数字に過ぎないことに、そのマネーを握っている大金持ち自身が気付いているのです。その彼らの一部は、土地を買い農業をしようとしています。さらに、一部の者は、金や銀という古い通貨の概念を支えたモノへ、そのマネーを転換しようとしています。それは、保身のためであって、人間の未来への貢献とは無縁のものです。そして、世界中に溢れたマネーを回収するための高金利の政策が長く続くことに、いまの世界の金融マーケットは耐えることはできません。
こうした、人間の業というものを反映した、現在のマネーのシステムは、それ自身の罪の重さで自壊すると考えるべきなのです。
地球全体の経済システムの崩壊という事象は、二十一世紀に入ってから、ずっと続いていて、二千八年のリーマンショックも、今回のコロナパンデミックへの経済対策に続く銀行危機も、通貨の供給量を拡大することで、問題を先送りしてきただけだったのです。この対応は、たぶん、これからも続き、それに耐えきれなくなるタイミングで、全体のクラッシュがはじまることになります。それは、千九百二十九年にはじまった大恐慌と同じように、時間をかけて進行し、最後は、戦争というステージにまで到るのかもしれませんが、これで、資本主義も共産主義も終わります。なぜなら、それらのイズムの出発点は、金利のシステムであり、金利の神の秩序が、なくなった結果として、いまのマネーのほとんどを所有している人間グループのマネーが、金利の負担に耐え切れずに、どんどん消滅するという歴史上はじめての事態を、人類は経験するからです。つまり、いまあるマネーは、どのようにしても守り切れるものではなく、別なタイプの通貨のようなものが、登場することになるからです。それを、私は光のマネー、または、日本語のお金と呼んでいます。そのお金を生み出す前に、古いマネーの仕組みは死を迎えることになるのです。その歴史が、この四月にはじまったと、ここには報告しておきます。

神紀三年(二千二十三年)四月六日 積哲夫 記