湧き起る感謝の心

「自分の心の中に光明を見出すための第一歩、それは感謝の心。」そう思った時、他の人はどうだろう?ふと立ち止まって考えてみる。あながたはまず何に感謝しますか?生きていることですか?美味しい食事ができることですか?友達がいることですか?家族がいるからですか?健康で居られることですか?しかし一つひとつ並べてみると誰もが感じている、当たり前のことなのです。過去の自分もそんな事当たり前じゃないのと、感謝しているつもりで高をくくって居ました。でも実際は違っていたのです。数ヶ月前のこと、まざまざと自分の反省を余儀なくされる光景が目に飛び込んできたのです。義母が朝早くから畑に入り、鍬で土を掘り返しながら、そばに植えている白菜にそっと手を添える光景を最初は何気なく眺めていたのです。田舎なら何処ででも見られる光景です。義母は何度も何度も繰り返し、そして腰を伸ばしてはまた繰り返す。眺めている私の頬にスーとひと筋の涙、当初は何の涙なのか理解していませんでした。でもその時不思議なほど義母の手が特別優しく感じたのです。作物にこんなにも愛情をこめて作ってくれていたのかと・・・それを私たちは今まで何にも感じないで食べていました。申し訳ないという気持ちで胸がいっぱいになりました。それからしばらく、白菜を食べるといつも義母の姿が脳裏に浮かんできます。その思いともう一つ義母に言わなければならない言葉を思い出しました。「ありがとう御座います。」の心を忘れていたのです。この義母の姿を忘れず心にたたみこんでおこうと思いました。感謝の心とは無理に思いなさいというものではなく、心の内から湧き起るものであり、自然にこみ上げてくるものであると実感させていただいた大切な出会いです。