4の巻 <奇跡?・・・2>

1999年に入ってすぐに、ベンチャー企業の事業化に対する国の補正予算を使った支援事業の公募があった。ワタシの会社が所属している同業者組合からの勧めで、それに申請することになった。組合の事務局で書類作成などを手伝ってもらい、期限ぎりぎりで申請できた。

会社を設立してから2年目。設立当初に行っていた事業に疑問を感じ、そのまま続けるか業態転換を図るか、転換する場合は何をするか、などと悩んでいたときに、AさんがSekiさんを紹介してくれた。初対面の状況は、1の巻に記載した通りだが、今から思えばSekiさんに会った直後に、これだと思うことが見つかり、事業転換への道に進みだしたように記憶している。当初予定していた資金を使い果たしたにも拘らず、期待通りには開発が進まず、倒産という文字が頭をよぎったときの、事務局からの提案だった。

今までに、補助事業などに申請したこともなく、どれくらいの確率で採択されるのかも分からず、ほとんど宝くじを買うのと同じような感覚で申請した。しかも、売上げの3倍ほどの金額の事業規模で。
申請することは、もちろんSekiさんに話していた。

ワタシ「補助事業に申請することになりました。これで採択されなかったら、もうワタシの会社は駄目かもしれません。」
Sekiさん「何のために、この申請書に書いている事業をするつもりですか?」
ワタシ「ワタシはこの事業でターゲットとしている業界の出身なのですが、システム化が非常に遅れた業界なのです。この事業により開発するシステムができることで、その業界にとって、コスト削減にもつながる便利なものが廉価で使用できるようになります。このタイプのシステムのユーザは、技術のある個人が大半ですから、廉価になることで、会社からの支給ではなく個人的に所有することもできる道具になります。それで、みんなの役に立つはずなのです。」
Sekiさん「丁度、A君、B君、C君がやろうとしている事業に組み込めそうだから、話しておきましょう。申請先からヒアリングの要請があったときに、このシステムの普及に協力してくれるところがあると言えるほうが、印象が良くなるでしょう?」
ワタシ「有難うございます。宜しくお願いいたします。」

その結果が、届いた。
採択することになりましたと書いてある。助かったー!これで、事業を続けられるー!
競争率10倍、しかも初申請の売上げわずか3,000万円の有限会社で?
これは奇跡だ!夢なら覚めないで!

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