12の巻<ゲンキンものと呼ばれて>

そんな呼び名を付けられるとは思いもしなかった。
少しはプラス思考だとは思っていたが、ワタシは、Sekiさんが感心(?)するほどのゲンキンものなのだそうだ。

「ワタシだって悩むことも、落ち込むこともあります。会社を経営している手前、人前では、ストレスは溜まらない人間なんですとか、いつもプラス思考なので落ち込むことなんてありませんと言っていますが、落ち込む時は本当にどん底まで落ち込みます。」
「そりゃそうでしょう。でも、回復するのが異常に早い。普通の人なら1週間悩むことでも、君の場合は一晩で済む。一時間で回復することもあるでしょう?」
「確かに、何かひとつでもプラス要因があれば、悩みの種が消えてなくなることは多いです。それは、あたりまえのことではないのですか?」
「普通は、落ち込み出したら、プラス要因までマイナスに捉え、更に落ち込み、自己の存在意義を疑ったり、病気になったりします。君がそうならないのは、それを緩和する脳内物質の分泌量が多いからでしょう。うつ病にはならない特性なんだから、それをうまく活かしてはどうですか。」
「うまく活かすといっても、ゲンキンものがいったい何の役にたつのでしょう。」
「病気にならないというのは、ビジネスをする上で最大のメリットになります。落ち込んでいるひとに希望を与えることもできるのではないですか。まあ、君の行い次第ですが。」

もともとゲンキンものの素質はあったのかもしれないが、Sekiさんからゲンキンものと言葉にして言われる前は、違ったように記憶している。
「一緒になって悩んでいたら、解決する話も解決しません。」
「でも、聞いてしまった以上、何もせずに放っておく訳にもいきません。」
「落ち込んだひとがいる層に降りていって、一緒にあがってこられるほど、君の能力は高くありません。高止まりする方法は知っていますね。下の層に引きずり込まれずに、高止まりして考えれば、解決策は見つかるでしょう。」
「引きずり込まれているようには感じませんが。」
「落ちていると、自分では分からないものです。でも、話し終えたときに互いに気分良くなっていますか?」
「とても疲れます。ひとと話をするのはそういうものだと思っていましたが。」
「君が疲れるということは、相手も疲れているということです。それでは、更に落ちて行きますよ。」
はぁ~、一体どうすればいいの?もう、ひとになんて会いたくない!
なんて、言ってると仕事にならないし・・・。

何度も同じことを繰り返しながら、それでも何年も続けているとできるようになるものだ。

最近は、それほど親密な関係でもないひとから、「実は○○なんです。」とか、悩み事を聞くことが多い。話終えた後に、「何でこんな話をしてしまったんだろう。」というひとがほとんどだ。特に気の利いたコメントをしなくても、大抵は、口にしてしまうと解決するのか、気分が良くなられるように見える。気分の良くなったひとを前にするとワタシの気分も良くなる。

いつでもこの状況を作れたら、ゲンキンもの特性を活かしていることになるのだろう。
まだまだムラはあるが、高止まりできていると感じるときは、仕事の受注も増える。気分の良い相手と取引する。あたりまえのことかも知れません。

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