タケのバンクーバー通信

歴史から抹消してしまった国防と国益 70
<移民の受け入れは亡国の入り口 2 >
―日本人経営者の弱点―

 
これからの5~10年先の日本は、いままでの日本社会とは全く違うものになっていきます。いたるところで外国人経営の企業が、出現して日本企業を乗っ取っていく時代が始まります。日本人経営者の多くは、世界情勢の視点でものを見ず、いまだにドメスティック(国内・内政)で世の中を見ています。そして、多くの経営者は国内の人口減少の対策をせず、さらに進む高齢化社会のモノが売れない時代に、企業体制を準備していません。
 これからの5年は、もっと購買力が落ち各業界の収益は落ちて、パンデミックの時とは違う、長期にわたる不景気が到来すると見ています。当然、企業の耐久力も落ちていきます。これからの日本の企業は、どこで自社の製品や商品を販売して、企業として存続していくのか問われていきます。
 
 ドメスティックのやり方で行けば、先細りになり存続させるのは厳しくなっていきます。そうすると、海外に進出ということになっていきます。
 カナダでビジネスをしていて感じることは、中国人や韓国人は何が世界で価値があるかを、どん欲に探しています。これまでのコラムにも書いてきましたが、彼らが海外でビジネスをするときに、日本のコンテンツ(ラーメン屋・寿司屋・スィーツなど)を持ってきてビジネスをします。日本には、いくつもの世界で通用するコンテンツが潜んでいるのですが、日本人経営者はそのコンテンツを外国人に渡して、世界に進出することはしませんでした。
 日本企業が世界に進出する場合は、外国人にノウハウを売るかフランチャイズ契約で、自分たちは国内にいて世界で何が起きているかをよくわかっていません。
 経営陣のトップは、ほとんど海外での営業をしたことがないので、自分たちの製品や商品が、どれだけの価値があるかを理解していません。そして、どこに自社のモノを売っていくかのマーケットも解っていません。この現状が、2000年以降ずっと続いてきて、国内しか見ない企業体質にしてしまいました。そこを、他民族は理解しているので、すぐに商売になるコンテンツを買って、世界でビジネス展開します。(包丁も外国人にターゲットにされました。)

―外国人に会社が乗っ取られる未来-

 これから起こる日本社会の現実は、日本国内で経営不振になっている企業を、中国人や外国人が買いあさる時代が始まっていきます。彼らが経営権を持ち、日本人に製造や開発をさせて、安い労働賃金と劣悪な労働条件にして日本人社会を牛耳っていきます。そうすると、いまよりもさらに低所得者層が増えて、年功序列賃金体制は崩壊して日本社会に中間層が生まれない仕組みになっていきます。
 経営者のほとんどが外国人なっていくと、日本市場よりも海外に輸出していく企業体制にしていきます。そうすると、外国で利益をあげて日本では利益が出ない仕組みにして、日本の税金を払わない体制にしていくでしょう。そうすると、税収は減り個人所得も減る社会になり、国が貧困化に進んでいきます。前回書いた、中国の奴隷社会という意味は、外国人に利益を搾取されて、日本人が貧困になっていく社会構造を自ら作っていく時代が始まろうとしています。「失なわれた30年」の時代が、また違うかたちではじまろうとしています。

 日本の企業は、世界で通用する製品や商品はたくさんあります。零細企業にいたるまで、世界最高の技術や商品を作る力を持っています。しかし、それを海外のどこに販売していいのか解っていません。この数十年の日本企業の経営者は、海外で市場を作っていく人材を育ててきませんでした。刃物業界を見ていても、酷いぐらい海外での販売センスを持っていません。これは、どの業界にも共通していることですが、企業体制が常にドメスティックな発想しかなく、海外展開をする土台を作ってきませんでした。

 その典型的な例で言えば、亀田製菓です。私は、何十年前から亀田製菓は世界に進出して、各国の大手製菓メーカーに負けないポテンシャルのある企業として見ていました。いまも、世界に通用する企業だと思っています。しかし、彼らの経営脳は典型的なドメスティックな思考になっています。世界に出ていくには条件があり、オール・ジャパンで世界に出ていく必要があります。

 なぜなら、日本人の味覚は世界トップクラスで、その味覚を柱にして企業のグランド・ストラテジーを作って世界を設計しなくては、海外進出は厳しいからです。「味覚を中心にして企画」することは、日本人しかできないからです。
 亀田製菓の最大の財産は、この味覚という無形資産です。「食」という文化と文明の衝突を世界で起こして、マーケットを作っていく民族文化の戦いでもあります。亀田製菓の最大の問題は、一番大切な企業価値を理解せず、北米型のグローバル・スタンダード(画一的な大量生産・販売)で自分たちの商品を市場に載せようとしているからです。
 日本の経営陣が大きな間違いをしているのは、日本の文化や文明で世界を設計することをしなくなっていることです。その意味を理解していません。亀田製菓は、日本人の味覚という財産(食文化)をインド人に委ねて、異文化の人に文明の衝突をさせていることです。これでは、企業のグランド・ストラテジーも作ることはできません。現場で、異文化と日本文化の衝突を見ることで、自分たちの商品価値や企業の未来を見ることができます。その現場を日本人の感覚で見ないと、どこに市場があり民族の食文化の実態も知ることはできません。
 いまの日本人経営者の問題は、内弁慶で海外に出ていく勇気がないことです。海外に進出するときには、外国のエイジェントに委託して、現地での実態を外国人に作られた安っぽい報告書を読んで、わかった気でいるのが日本人経営者の実態です。これをし続ける以上、日本の製造業はどんどん廃れていきます。いま必要なのは、Sonyの盛田昭夫氏やHondaやToyotaの海外で、マーケットを作っていった先人たちの無骨の精神です。そして、自社でその精神を育てる企業内での教育です。
 
 先日、次世代のリチウム電池「全樹脂電池」を開発していたAPB社が、経営不振で休業と全従業員リストラという記事を目にしましたが、それらの事業は日本を狙う彼らにとったら最高の宝です。
 これから日本は、経営が不振になっていく会社はいくつも出てきます。その時に、必ず現金を持って経営権を買いに来ます。
 さらに、彼らはお金の為ならビジネスをすぐに手放して転売します。日本人のように、仕事と精神がつながっていません。日本人が、A氏に経営権を渡したとします。半年後には、A氏からB氏に経営権が移ることが普通におきます。当然、労働条件も変わり、はじめの日本人経営者の労働条件や待遇とは、まったく違うものになっていきます。日本の産業と労働者は、多民族の食い物にされていく時代が始まっていきます。

―日本を標的にしている中国-

 間違いなく、中国はこれからのターゲットは日本に切り替えたと見ています。
一体一路の失敗や北米進出の先行きは不透明になり、日本侵略を本格的に進める方に舵を切ったと考えていいです。カナダやアメリカは、中国からの資本(アンダーマネー)を徹底的にブロックを始めました。そして、中国人の受け入れを厳しく規制を始め、中国人は行き場を無くしています。その行先を失った連中が、日本をターゲットにしました。第一陣(2000~2020年)の資産を持った中国人(高級官僚や資産家)は、北米やオセアニアに資本を移しています。いま、日本に来ている中国人は資産もランクも低い人たちです。それでもいまの日本人よりかは、資本を持っているので土地買収や企業買収をしています。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001415139.pdf

 いま、北海道をはじめ各地方の土地は買われて、中国人所有になっています。これは、どんどん加速していくと思います。なぜなら、日本は外国人に対しての規制がなく、不動産価格が異常に安いからです。いま、東京の地価格が上がっているのは、中国人投資家が殺到しているからです。
 そして、西海岸で起きていた不動産バブルと同じように、中国人同士で売買をして、中国人だけにお金が回る経済循環を作っていくと見ています。それをすると、ほとんど日本にはお金が落ちないシステムが作られます。
北米で成功した実践を、日本でも展開しています。
 これを数年続けると、25年前に始まったバンクーバーの状況と同じになり、都心の中心には中国人が住み、日本人が地方に追いやられることになっていきます。

 さらに恐ろしいことは、地方の高齢化になった人の漁業権や農地を買って、食料の供給元を中国人に握られることです。それをされると、東京都の火葬場ではないですが、日本人の資産を搾取する構造が出来上がり、食の安全保障を中国人に握られることになります。そうすると、中国人にはものを言えない社会構造になっていきます。(次回は、東京都の火葬場がサイレント・インベーションになっていることを特集します。)
 いまの政治家を見てもわかるように、日本人は中国に対して何も発していません。尖閣問題や太陽光パネルにしても、日本人は何もアクションをしません。この無関心こそが、中国のサイレント・インベーションの最高の条件になっています。自民党政権の腐敗も酷いですが、日本人の民族観と国家観の価値判断にも、大きな問題があります。自分たちの子々孫々が、他民族の属国として奴隷制の中で生きることを望んでいるのであれば、亡国の将来しかありません。しかし、多くの人は祖国の存続と子々孫々の繁栄を願って先人として生きています。その魂を、どこかで蘇らせないと日本は滅亡していくと思います。2025年からは、待ったなしの時代が始まります。政治が出鱈目ならば、民間レベルで日本独自のグランド・ストラテジーを作っていかないと日本民族として生きてくことはできないでしょう。これは、一企業にも同じことが言えます。

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