あそび、むすび

“あそぶというのは、あらは(顕)れる、ということですから。
かみあそび、ことばあそびで、どうでしょうか?

……不敬、って、いわれませんかねぇ
それをタイトルに掲げるのはさすがにどうかと(名前負けしそう……)

物語も、言葉も、約束も。どれもあらわれては、最後には結ばれるもの、です。

ひそひそ、と、こんな会話から決まったタイトル。

そんな「誰か」との会話と、自分の何かを、つづるところ。”

No.54

夜中。

気分がすごく悪くなって目が覚めた。

胸焼けがするようなムカムカした感じ。

ホワイトに確認してみると、病気とかではなく、波動の影響だと思う、と返事が返ってくる。

「審判の層まで、行くといいよ」

とりあえず、浄化と上昇。

胸のムカムカに光を当てると、それは、誰かの精神学に対するアンチテーゼの感情だった。

翌朝に控えた大阪セミナーに向けての、反射的な攻撃反応のような。

聞いている私の心は平坦だった。

そういう囁きで、動揺させようとでもいうのだろうか?

そもそも――そういう囁きや反応としてエネルギーを解析できていること自体、精神学の成果なのだが。

人の感情や恨みつらみ、悪魔からの憎しみなんて、腐るほど取り憑かれ、向けられて聞いてきた。

(いまさらこんなことで何も揺るぎはしないのに、ご苦労様なことで……

あまりにいじらしい努力に、ゆるく遠い微笑みさえ浮かぶ。

相手も必死だ。

毎日のように手を変え品を変え、感情を裏から操作しようとしたり、人を殺せと命じてきたり、私に対して攻撃を加えたり、人に私を呪わせたり、する。人の間に滑り込んで、怒りを上手に煽って、関係を割ろうとしたりする。

意識してないだけで、私を使って誰かを苦しめようとしたかもしれない。そういう時は、私は自分の中の邪悪な部分をすかさず特定して、闇の自分か、悪魔を殺しに行くのだけど。

(精神界で、親しい人の姿でナイフを持たれて刺しに来られると、どうしていいか困るよねえ

もちろん、悪魔であることは分かりきっているので、ある程度あしらって様子見したあとは、最後には剣で倒してしまうのだが。

もしかして生き霊であった場合も、申し訳ないが処理をさせてもらうことになる。そうでなければいつまでも心臓が痛い。体が苦しい。

無意識のうちに向けられるエネルギーは人を殺せる。認識の上で処理できているから、大事に至らないだけだ。鬱にもできる、癌にもできる。注意や手元を狂わせることだって。

相手に情けをかけたりしない。精神界の戦いは、時々そういう覚悟が必要だ。殺し合いになる。

本気で害しにくる相手によっては、光のために、と、祈りもするけど。大抵は、相手にする気も失せる。

毎回言われるのはこんな言葉。

「裏切り者」「裏切り者」

「やろうとすればできるのに」「宇宙の王にもなれるのに」「放棄した」「放棄した」

「信じられない」「裏切り者」「半端者が」「殺してやる」「死ね」「死ね」「死ね」――。

だいたいそんな殺意満載の罵り言葉ばかりの相手に祈る気になれるだろうか。私はちょっとなれない。

毎回こんな文句か誰かの愚痴を聞いているので、うんざりもする。

だいたい宇宙の王なんかなるものではない。

誰かがそんなものになって何が起きた。

滅ぶだけだ。

何回も見た。

もううんざりだ。

長く存在したせいで、水平線の向こうまで、ずっと白く海を埋め尽くす、死体の花筏なんて――冗談みたいな滅び方を、見下ろす羽目になった。

きっと何十億年も旅をしたのだ。滅ぶばかりの愚かさなんて、とうの昔に飽き果てた。

こんな愚かしい宇宙の面倒を見る重責を理解もせず、好き好んで王なぞやろうとするものの気がしれない。

こんな地獄、早くやめてしまいたいのだ、私は。

命の書で契約したって――人間をするのも、争いを見るのも、もう疲れた。

ホワイトコードは終わりたがっていると、いつかのセミナーで言ったけど、この「最後の一度」で一番終わりたがっているのは、きっと私なのかもしれない。