歴史から抹消してしまった国防と国益(参議院選挙前の号外3)
今だからこそ、アメリカ史から学べ。
そして、日本の未来が見えてくる。

日本では、トランプ政治を悪の主軸として報道をしていますが、北米では支持と不支持2極化が進行中です。日本で報道しているような民主党側の政治と、トランプ大統領が進めるアメリカン・ファーストという政治の真っ二つに分かれています。第一次トランプ政権を見ていても、1930年代のアメリカに戻そうとしている節があります。
 戦前のアメリカは、モンロー主義(孤立主義)をしてきました。アメリカの歴史を見ていると、大きく変わったのは1940年代に入ってからで、第一次大戦と第二次大戦の間で、国際舞台に出てアメリカの国づくりをしたところから大きく変わっていきました。
 それまでは孤立主義を柱にして、どことも同盟や国際協定をしてきませんでした。それは、「国際連盟」を見てもわかるように、ウィルソン大統領が国際機関を作ったにも関わらず、アメリカ議会が反対してアメリカは加盟しませんでした。それぐらい国際社会と距離を置いて、アメリカは国づくりをしてきました。その当時の歴史を見ると、ヨーロッパ社会と距離をとり、なるべく関りを持たないようにしていたことが分ります。

 いまあるアメリカは、戦後に突如できた成り上がり国家であり、歴史や文明の中からできた国家ではありませんでした。即席の人造国家が、巨大な覇権国家になり世界を制してきました。そもそもは、アメリカは後進国であり、田舎者の集まりで出来た国家でした。それは、ヨーロッパの閉塞社会から脱出して新しい社会を作るために、ピューリタンリズムからはじまった新世界でした。新大陸での試みは、開拓(勤労精神)とピューリタンリズムがアメリカの国家観になり、国体そのものは1940年前までは「引きこもり」国家で、世界の覇権をする国とは程遠いものでした。

 先進国のヨーロッパと距離を取ることで、自国を護り地場産業の育成と保護をしてきたのがアメリカの国づくりでした。孤立主義をしながら、ヨーロッパの産業や国際政治とは距離を置いて、国内で循環できる仕組みを作ってきました。後進国で、幼稚産業しかなかったアメリカがヨーロッパと対峙するために、多くの移民を入れて人造的なマンパワーの国家を作ってきたのです。その時に、優秀な人材と技術と芸術を世界から積極的に入れて、ヨーロッパに対抗できる国策が、アメリカの原型になりました。
 その後、ヨーロッパが大戦で大きな傷を負ったことで、戦後復興に時間と労力がとられて、各国の国力が低迷していきました。それとは逆に、アメリカだけが無傷の状態で戦勝国になりました。いままで、引きこもり国家だったアメリカが一躍注目をあび世界の舞台に出始めたのは、ヨーロッパの衰退とアメリカの繁栄の逆転現象が起きたからです。戦争という大きな機会によって、アメリカは激変した国家に生まれ変わりました。世界の優秀な人材は、海を渡って新天地で自分たちの希望を実現して、アメリカンドリームという魂がアメリカの柱になっていきました。技術革新とマネーが、古いヨーロッパの産業構造を上回ったことで、大国にのし上がり世界を制する覇権国家を作ることに成功しました。そして、人類始まって以来の世界を制する国家を誕生させました。戦後は、ドルを基軸通貨と軍事力を背景に、80年に渡って世界をコントロールしてきました。しかし、2025年トランプ大統領の再選によって、アメリカ社会が大きく変わりました。
そのトランプ大統領の本質的な疑問として、
 虚勢を張って世界を支配する意味がどこにあるのか?
 彼の素朴な問題意識が、アメリカ国民の心に刺さりました。
 アメリカの国富を、世界にばら撒いて世界支配しても、アメリカ国民が貧困になっていくことが、アメリカの未来なのか?

 敗戦後続けてきた、アメリカの国づくりを真っ向から否定して、トランプ流の政治のプロレスがはじまりました。はじめは、誰もが半信半疑でした。しかし、二期目のトランプ政権は安倍政権の二期目と似ていて、戦略的かつ思慮的な政権に変わっていきました。
 今回の高関税の外交を見ても、ブロック経済をして対中政策と、国内の弱体化した産業復興をしようとしているのがトランプ政権の政策の柱になっています。それは、1930年代を見習って孤立主義に戻り、産業を復興して自国の中で回そうとする国家体制にしようとしています。
 さらに、敗戦後続いてきた覇権制から手を引いて、外国にチャチャを入れるよりも、内政に力を入れて国民が豊かになる国づくりに舵を切りました。(不法移民の排除やフェンタニルの排斥は、これが背景にあります。)
 これまでは、外国に工作活動をしてアメリカの覇権を維持してきましたが、これを、全面的に否定しているのがトランプ政権です。
 その代表なのが、USAID(米国国際開発庁)の解体で、DOGEによって、古いアメリカの既得権を壊し、新しいアメリカに作り替えて、戦後続いてきた戦勝国の利権を壊しています。さらに、トランプ大統領は日本・ドイツを軍事面の封じ込めを解いて、新しいグランド・ストラテジーを作ろうとしています。
 そのいい例が、第一次トランプ政権時に安倍首相に向かって

「日本も核武装をして、自国で守ったらどうだ。」

と提案をして、これまでのアメリカ従属を否定したことです。そして、最近ではNATO諸国に5%負担を請求して、「ヨーロッパは自分たちで自立しろ」と言って、アメリカはNATOからの脱退も匂わしています。
 民主党や古い体制によって出来上がった、アメリカの覇権制の既得権が瓦解しています。
 
 これまでのトランプ大統領の行動を振り返ると、1つ1つの政策とトランプ氏が描くグランド・ストラテジーが繋がってきます。その1つは、グリーンランドの買収です。一見、出鱈目に見えた不動産買収劇でしたが、NATOを脱退したときにアメリカの安全保障は、グリーンランドが大西洋からの防衛ラインになり、

「NATOに莫大なお金を入れているよりも、グリーンランドに米軍基地を作った方が安い。」
というシミレーションをしています。無駄な出費を減らし、最大限の国防体制は何かを、ゼロベースから見直しています。
 さらに、ユダヤロビーによってアメリカは、中東問題をユダヤ人によって振り回されて、多くの税金と若い兵士の血を流してきました。そこに、終止符を打ちたいというトランプ氏の国家観があります。適度にユダヤ商工会議所と付き合い、その裏ではアラブ町内会ともつながり、
「いままでのように、ユダヤ側に付いて工作活動をすることはアメリカはしない。」ということを、アラブ側には示しています。
 
 ロシアとウクライナの関係においては、これまでのアメリカは、ウクライナの側に立って軍事支援をしてきたのです。バイデン政権と西側諸国は、ウクライナに武器支援と国際世論を作って、ロシアを封じ込め国際社会から抹消しようとしてきたのです。しかし、トランプ政権は真逆のことをして、ロシアに歩み寄ってウクライナを突き放しました。この政策を見ていくと、冷戦構造を終焉させNATOを脱退して、ヨーロッパの政局とは距離を置こうとしています。
 トランプ大統領は、アメリカが自ら「戦後のレジューム」を壊して、孤立主義に向かってアメリカの立て直しを本気で考えています。そして、冷戦を終結させて、米露が軍事同盟を結んで世界地図を大きく変えたいと考えている節が所々に見えます。アメリカは、それを視野に入れて国際社会のレジュームをしようとしています。
さて、日本は?

 石破政権は、過去のアメリカの民主党政権の子分をいまだにしています。まったく、日本の国益につながることをしていません。せっかく、アメリカの自滅によって日米の空白な状態が出来ているにもかかわらず、安倍首相が作ってきた、「戦後レジュームの脱却」の光の扉を、石破首相は自ら壊し日本の未来を閉ざそうとしています。

トランプ大統領は、喧嘩屋なので堂々と正面から来る人とは向き合い、面と向かってぶつかることを好みます。

 先日の選挙演説で、
「日本をなめるな」
と遠吠えをしている姿を、多くの日本人は、こんな人が日本の首相かと「虚しさ」と「恥じらい」に感じたと思います。そろそろ、言霊を作らない人間は退去させて、国づくりをしないとこの国は滅びます。政治家を含めエスタブリッシュメント(学者・メディア)が、言葉遊びをして自分よがりをしている余裕は、いまの日本にはありません。日本社会も大きな地殻変動が起きて、日本人の精神社会(日本人の価値判断)が動いています。その精神社会は、ひとつひとつ組み立てていくものを作るときの精神社会と同じで、言葉と行動を一致させて前に進める社会です。
 
 いまアメリカは、庶民の生活(開拓精神・勤労精神)を守り、エスタブリッシュメントの言葉遊び(きれいごとを言って、うそ出鱈目を言っている知識階層者)をしている人間を排除する「国づくり」をはじめました。巨大になりすぎた覇権システムを壊し、1940年前のアメリカに戻そうとしています。そこで、アメリカの正義を取り戻したいというアメリカ人の魂も動いています。
 果たして、日本の政治は何を価値基準にして、どこに向かおうとしているのか? 日本人一人一人が、「政(まつりごと)」と向き合う大事な時期であることは間違いありません。前の岸田政権から続いている、エセ保守を排除して民族が繋がる国づくりに舵を切らないと、世界の動乱に日本は呑み込まれていきます。

Takefuyu|note