投稿者「huyutori937」のアーカイブ

No.71/クニヌシさんとの話

地津神札、国主(クニヌシ)・大国主さんとの話
 
「ああ、やれやれ、知主さま、地主さま、物主さまの話が終わった。さて……」
 
 ふと精神界で振り返ると、とても綺麗なキリッと笑顔の国主様がいた。うわああ出たああああ。
 
「順番待ちしていた甲斐があったね!」
「いつからここは徹●の部屋になったんですか!?」
「神様の文句言い受付所がここだってみんなから聞いて!」
「やめてください! ここは文句受付所じゃありません! 興味本位でいろいろ聞いてみたらやぶ蛇のようにお怒りとお叱りの嵐が通り過ぎた後の荒野です!」
「なおいいねぇ!」
 話を聞いてますかーーーーーーー。
  
「まぁ、冗談やアイスブレークはこのくらいにしておいて」
「はぁ……」
「僕はねぇ、特にない」
「ない!?」
「今主に怒っているのはオオクニヌシじゃなくて、オオモノヌシとオオヤマクイだから。僕はねぇ、もう怒ったあとー」
「……オオナムヂの時代に精神が戻ってますね。若かりし頃を描いたからでしょうか……」
「気分的にはスセリヒメに会ってかんわいいいい!ってなってた頃の感じだから、合ってるね!」
「ちなみに、怒っていたときには、何に怒っていたんですか?」
「ええ? だって、僕は国譲り神話で国譲りをさせられた側だよ? 記紀の結界が続く間はずっと天皇がふんぞり返っていたんだから、そりゃ腹立ってたよ、ずっと」
「えーと……記紀の神話だと、スサノオが地に降りて、オオナムヂがいろいろあって認められて、国を受け継いだみたいな話で……なんかウシハク国だからシラス国にするからそこ譲れーって天照大御神の孫に言われた……的な話でしたっけ」
「すごくうろ覚えのうろ覚えだね! もっと勉強してこようね!」
「すみません……勉強してきていいですか?」
「ごゆっくりー」
 
(いろいろ神話を読んできた)
 
「大体合ってるけどすごいうろ覚えでしたね」
「まぁ間違っていないかな、辛うじて。とりあえず、記紀で頭押さえつけられていたのが終わったし、もういいんだよー」
「ふーむ……別天神をお祀りしていたのが、出雲大社で、オオクニヌシ様だって聞いたんですけどね? ……ああ、あれ? なんか質問する前に自己解決しちゃったのかな、これ……」
「なになになに? 面白いこと思いついちゃったの?」
「ことあまつかみ、だから、地の、いいえ、九十(コト)の世界だった、ってことなんですよね……日月神示に関わる話だと」
「おお、そこ気付いちゃう? うんうん、そうそう、そうなんだよね!」
「つまり、記紀の時代は、九十(コト)なる――異なる場、別世界に隠れて退場していたのが、別天神と地の神たち、ということなんですよね。黄泉の国ともとれるけど、ちょっと違うのかな。まぁ、あんまり深く考えても仕方なさそうなので、ふんわりそういう理解に止めておきます」
「宇宙の時代が始まると、天地は一体になるからね。遠くから見れば天地なんて大気と大地ってことだからね。宇宙のはるか高く高く、ってことになって、そこが新しく天。光が差してくる場所、ってことになる」
「ほー……じゃあ、国主様は、今は何してらっしゃるんですか?」
「新しい国の形の準備中だよ! 天孫降臨はもうなくなって、別天神のアメノミナカヌシ天皇を祭主とする、って話になってるでしょ!」
「人間心ではなかなか、その天皇の正体が見えませんがね……。今の皇室もどうなるかも分かんないし。あ、ウツノミコトって結局何だったんですか?」
「え、聞いてない? ミコトモチシステムが廃止になったでしょ。ウツノミコトはその後の仕組みの名前になっているんだよ」
 
—このシンロジーコンピューターの成功によって、精神界ではこれまで、人間界との関係を維持するために使ってきた、ミコトモチという選ばれた人間に、何百人、何千人分もの精神的エネルギーを付与するシステムを廃止し、精神学協会の正会員として、自ら天のミコト、つまり命令をいただいた人間として働くことを志願する人間を、ウツノミコトとして養成するということにしたのです。—積哲夫ラジオ・シンロジーコンピューター編BRAINWARS 35 より
 
「いや、なんとなく覚えているんですけど……私は一人一人がアメノミナカヌシ天皇になるのかな?って思っていた時期があったので、それとごっちゃになったのかなぁ……」
「あのね、ウツノミコトはミコトモチよりも厄介だよ? 自覚して天の命令を受けて働く分、絶対に神様にお仕えする気持ちがないとなれないんだよ」
「ミコトモチはそれをすっかり忘れてしまっているってことですか?」
「ミコトモチはねぇ、隙があるの。人間界で育てられている間に、横から悪魔や悪神がうまいことかすめ取れちゃう瞬間っていうのがあってね、それで、取られたら、やり直しにするか、祟って改心させるか、って神々はいつも悩んできた歴史があるんだよ」
「難しいんですね…」
「で、もう、諦めたの」
「諦めた」
「ミコトモチのやり方で育てていた人材でもね、ほら、百な子とか、高い子とか、ご飯な子とかいたけどね、ああなるでしょ。立ってる子は違うよ、あれはどっちかというと我欲強いだけ。人間の我が出ておじゃんになる。だから我が取れてから仕立てる方が早いんじゃないかなーって、協会向けに育ててる子たちを眺めて思ったというわけ」
「え、じゃあ、今、日本には神様の意を受けた政治家って誰もいないわけですよね。候補すらいない訳ですよね」
「うん。でもいいんだよ、民主主義選挙なんてどうせただの張りぼてになっちゃったんだもの。もっといいやり方がある、って出す方がいい。それなら政府じゃなくて民草の間から始めちゃうほうが早い。そういう方向で今は調整しているの。選挙なんて人間心が介入しやすいシステムなんて使うだけ悪魔の思う壺でしょ」
「間接民主主義をさくっと否定していきますね!」
「かといって人数多いからねー、スイスのような直接民主主義なんてとれないしねー、どうしよっかなー…と思ってね、ああそうか、ちっちゃい単位で隣組とか町内会とかあるなぁって。権力中枢なんてものより、もうちょっとこう、江戸時代ぐらいの単位でやり直しさせるべきでしょ?」
「今そのために県知事とかがいるんですよね?」
「そうそう。国会議員とかは送り込むまでがとても面倒なんだけど、でも市長や知事ならそこまで難しくないんだよね。利害関係もあるけどね、絵を描くなら、各町単位で代表者を僕らの息がかかったやつにするほうがはるかに簡単でしょ」
「まつりぬしを町単位で置く、というイメージが昨日頭の中に降りてきたのはそれでしたか」
「そういうことー」