投稿者「hibiki」のアーカイブ

わたし

二つの記憶があります。

ある人に手を引かれるまま、壁のない真っ暗な部屋に連れて行かれ、泣きじゃくる小さな私。
『大丈夫。必ず迎えに来るから』
と抱きしめられ、ドアがしまる。恐怖で泣き続け、
『迎えに来ないじゃない。嘘つき。』と繰り返すうち、いつしか『ここから出たら見つけ出して殺してやる』
と強い憎しみに変わっていた。
もう一つの記憶は、小さな私を高い高いしながら、頬を擦り寄せ
『生まれ来たね、ありがとう』と愛で包んでくれる眩しい記憶。その人に愛をもらい、私もその人を愛した。
どちらも、現実に起きた事ではない。しかし、いつも頭の中にこびりついている。
どちらの記憶も相手は同じ。先日、顔がわからなかった相手の存在をしった。殺したいと思った相手も、愛した相手も自分だった事を知った。
殺してやりたいほど憎んだ相手は自分だった。
三人の私はいつも一緒にいた。全部わたしだ。
知ったから、もう大丈夫。