十合目の鬼神

の一部か本体かはわからないけれど、私の中にいるらしい。

自分の中にいるものがなんなのか、ずっと訳もわからずに逆撫でされるような気持ち悪さが続いていたけど、ああ、これなんだとやっとわかってきた。

悪魔と会話をしていると、酷く頭が痛む。気持ち悪くて、頭が締め付けられる。悪魔の毒で、脳を蝕まれるような嫌な感覚がざらりざらりと頭を撫でている。

悪魔との会話を一部抜粋すると以下のようなものがある。

 

悪魔『へえ、自分の中を探って僕の本体探してるの?でもまだ君じゃ無理でしょ?』

私『一部は所々覗けるけど、波動が酷すぎて気持ち悪くなるわ。蛍光グリーンとブルーの入り混じったような、強烈なカラーセンスは何なの?』

悪魔『あはははは!最高でしょ!君には大きすぎる相手だね。でも、君にはそんなふうに見えるなんて、よほど嫌いなんだね!

…ところでさ、君この天球(私の頭の中の天球)をどう思う?』

私『どう思うって…………』

悪魔『ふぅん?そんなふうに見えてるんだ?へぇ?でもさ、ざーんねーん!』

悪魔が壁紙を剥がすように、天球の景色を剥ぎ取って見せたものは、闇の黒と血の赤に塗れた悍ましいもの

悪魔『これ、ぜーんぶハリボテだぜ?こんなんで、神格とか言ってるの、ちゃんちゃらおかしいんだけど。』

頭の内側を剥ぐような激しい頭痛に襲われる

悪魔『一度悪魔に魂を売った人間は、簡単には許されないんだぜ?わかってるだろ?』

私『わかってるよ。』

悪魔『お前に残されている道は2つしかないんだよ。クリアするか、死ぬか。お前はこれまで、ずっとそう設定してきている。さっさと終わらせて、その魂をどうするのか決めてほしいもんだねぇ。お前につけられているその霊だって、悪魔に魂を売ったようなもんだし。』

私『それは違う。この人は私と違って魂を売ってはいない。悪魔の力を利用したことは間違いない。だから自死に追い込まれた。それでも、過去の私とは違う。』

悪魔『庇うねぇ。まあ精々頑張ってみなよ。タイムリミットは近いんだから。あーあー、こんな役回りめんどくさくてやってらんないよー。たまには遊ばないとさー…』

 

人の生き死にすら遊びにして揶揄う奴なので、ご用心なんて心構えでは対処できない。悪魔の存在に気づいてからは、ずっと頭痛が続いている。でも、これが多分一番めんどくさい相手だから、何とかなれば多少は人としてまともに生きられるかなー?って思う。