Vol.599

五月危機

いま日本列島は、大きな変動期を迎えています。それに呼応するかのように、戦後日本の根幹となっていた、旧大蔵省の権力の暗部が多くの国民の眼にさらされることになりました。戦前のスーパーエリートは、陸軍大学、海軍大学の卒業者であり、官僚でいうなら、旧内務省のやがて知事になる勅任官のグループだったといわれています。GHQが、内務省を徹底的に解体した結果、この国にはいまも国家警察がありません。国軍もない、国家警察もないという、不思議な体制が今日まで続いてきたのは、日本を永久的に属州とするという戦勝国アメリカの意志に従属するグループが、この国の政官財プラスメディアの中枢にいたためなのですが、不変と思われたアメリカの対日政策が、ここへ来て明確に変わりつつあるようなのです。
トランプ大統領が、国務省のかつての政策責任者たちを、排除し、自らが構想する外交を進めているのを見てもわかるように、ジャパンハンドラーズと呼ばれる人間グループの利権は急速に消滅しつつあります。何が起きているかというと、アメリカでは、トランプ大統領とフェイクニュースの各メディアとの戦いが、さらに拡大し、日本でも、安倍首相と大手メディアの戦いが深刻化しています。
これまでの民主主義国の歴史のなかで、メディアの権力は、敗北の記憶を持たないことと、報道の自由の法律の保護によって、国民の意識は、自分たちの目標にコントロールできるといまでも信じているはずです。
ところがいま進行中のことは、国民の意識がメディアのコントロールに従わないという新しい時代の到来を示しているのです。
いまのメディアで働く人間が、ジャーナリストという職業倫理を持たず、自分のイデオロギーで、目的のために工作するということをくり返してきた結果、メディアの権力に対する反権力運動がはじまりつつあるといってもいいのかもしれません。
日本の歴史をよく調べれば、戦前の軍部よりも軍国主義的だったのは、朝日新聞に代表される新聞メディアでした。いまも、GHQのウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムに忠実な歴史番組をつくり続ける日本放送協会は、当時の国策遂行のための宣伝機関としてつくられたものが、そっくり、GHQの宣伝機関としていままで生き残っているのです。
それらの巨大なメディアが、これから死に向かいます。
すでに老人にしか権威を認められていないマスメディアの権力が、これから国民サイドに移行していくはずなのです。
私が、これからはしばらく政治の時代が来て、次の時代の経済成長は新しい政治システムが見えたときまではじまらないといっているのは、明治維新と同じようなことが、世界規模で起きると考えられるからです。
一般的に日本にとって、真の敵だと思われている中国共産党は、民主主義の手続き上の弱点につけ込んでマネーその他の利得の提供をすることで勢力を拡大するというやり方の限界がすでに見えているので、主たる敵ではありません。
いまのアメリカと日本が、もし、現行の民主主義の手続きによって、真の勢力を国民が取り戻したとすると、そこから、新しい世界の歴史がはじまるのです。
アメリカの国務省は、日本悪人論で染め抜かれていますが、太平洋で戦火を交えた国防省は、日本軍の真実の姿を知っています。朝鮮戦争で、中国共産党の義勇軍に勝てなかったのも、ヴェトナムで敗北したのも、実は旧帝国陸軍が圧倒的なアメリカ軍の物量に対抗する戦術として確立した地下で戦うという戦法によってでした。それらの歴史を、光ある存在としての英霊たちはすでに知っています。アーリントン墓地に、薩軍と靖國の英霊の一群が行って、アメリカの英雄たちにはたらきかけたのは、かつて、アメリカのアイゼンハワー大統領が訪米した岸元首に、いったとされる、我々は戦うべき相手を間違えた、という言葉の意味なのです。
アメリカの軍人が、アメリカを支配する人間グループのために戦い続けるという歴史が、終わりに近づいています。

二千十八年五月三日 積哲夫 記