Vol.558

メディアのクーデター

この二千十七年の日本は、マスメディアの倒閣戦線が、勝利するか。
これまで羊として生きてきた、日本人の意識が、その活動の背後にある悪意を感知して、国民のレベルで、このクーデターのような動きを阻止するか。
という、戦後日本の大峠を迎えたということが、一般の日本人にも認識されはじめたエポックメーキングな一年となるのかもしれません。
現行の私が昭和憲法と呼ぶものは、GHQによってハーグ陸戦条約を破るかたちで押し付けられたものです。それを根拠に、昭和憲法の無効を宣言するということもできなくはないのですが、敗戦記念のこの憲法を、そこで規定されている改憲手続きによって改正した方が、しらすクニとしての、日本の国体を全世界に知らしめる効果があるはずだというのが、人間としての私の立場です。すでに、精神界からは、このクニの憲法として、たった三ヵ条のものが、人知の側に下されています。
ここに改めて、その三ヵ条憲法を掲出しておきます。

一、 日本国ハ、国土(領土、領海、領空)ヲ、国祖ノ、みからだトス
二、 日本国ハ、天皇ヲ、みこころトス
三、 日本国ハ、国民ヲ、みたからトス

精神界は、ヨーロッパの物真似をしたに過ぎない明治憲法も、アメリカのニューディーラーによってつくられた英文を翻訳したに過ぎない昭和憲法も、卒業すべき西欧文明のもので、その出発点が、支配する者と支配される者の対立構造にあることに気付かなければ、いつまでも明治維新の時につくられた意識の枠から解放されないということを、私を通して、くり返し日本人の意識世界に伝えてきました。
いまの日本人の意識を、この明治維新の時につくられた、西欧文明の優位という思い込みと、敗戦後につくられた、アメリカ帝国の属州としての立場をわきまえた支配階級の一員が、日本のエスタブリッシュメントの条件であるという刷り込みによって、コントロールし続けてきたのが、マスメディアだったのですが、ついに、その正体をあきらかにする行動をはじめてしまいました。
一般の日本人にも、政権打倒のワイドショーにおけるキャンペーンが、異常に見えるようになり、戦前は国民と軍部を戦争への道に進むように煽りたて、敗戦後は押しつけの憲法を平和憲法と呼んで、対米従属を批判しながら、日中友好を国家目標のように、推進させるバックアップをしてきた、その主張の背後にある暗黙の合意に、世界中のマスメディアの共通点があることもおぼろげながら、わかりつつあります。
民主主義の権力の根拠は、投票による選挙ですが、メディアの権力には、何の根拠もありません。マスメディアは、情報を操作することによって、民主主義という理念を私的な利益に誘導するひとつのビジネスモデルに過ぎないのです。
アメリカ大統領という世界最大の軍事力を行使できる立場の人間が、フェイクニュースという言葉を使ってマスメディアの情報操作と戦わなければならないほど、この世を支配している人間グループの確執も深まっているというのが、現実の世界だとしたら、それは私たちの意識に蓋をしてきたものが、とれつつある予兆だともいえるのです。
私は、西欧近代というものが、精神界の存在を否定する唯物主義によって、人間の持つ邪悪な欲望に正当な根拠があるような人間の頭から生まれたひとつの思考実験の姿だと考えています。
この人間を根拠にしたひとつの社会活動の行き着く先のひとつの姿が、いまのアメリカであり、もうひとつの姿が共産中国だと理解できれば、それは誰も幸福にしないクニの姿だということが日本人ならわかるはずなのです。
いまこのクニを、マスメディアが導こうとしている社会の正体こそ、そうした異様なものたちが支配する時空といえます。
日本列島は、その他の世界とは違うナカツクニであるという自覚が、このクニの危機を救うことになるはずです。

二千十七年七月二十日 積哲夫 記