Vol.539

マルウェア

オリバー・ストーン監督の映画「スノーデン」で、日本のインフラにはアメリカのマルウェアが仕込まれていて、日本が同盟関係でなくなった場合には、電力や通信などの社会インフラが大打撃を受ける可能性があることが、明らかにされました。
元NSAの専門家であるスノーデンという人物は、世界中の通信をアメリカは監視下に置いていることを告発しましたが、同時に、同盟国であろうと、潜在的な敵国には、あらかじめイザという時の工作を日常的に実施していることもよく知っていたようです。
こうしたことは、国際関係を政治と外交と軍事という、多面的な発想で捉えることができれば、当然のこととして理解することは可能です。
また、大昔のことですが、もともと戦前の特務機関と関係の深かった日本船舶振興会の笹川良一の周辺の人物から、日本列島の電力網をイザという時に何個所かで遮断できるような秘密工作がなされているという情報を私個人も伝達されたことがあります。それが、アメリカの工作によるものなのか、この国のインテリジェンス組織の工作なのかは、わかりませんが、民間企業であっても、こうした国際的な謀略とは無縁ではないということです。
こうした情報に関して、この国のマスメディアは、一般の国民に知らせないことを暗黙の了解のようにして活動してきましたが、時代がここへ来て、はっきりしつつあるのは、彼らもまた、そうした監視下にあるらしいということです。
マスメディアというものが、世界をコントロールする人間グループの代理人であるらしい、というのが、一般のアメリカ人や日本人の理解するところになりつつありますが、日本のメディアの人間は、もしかすると、上から下まで、世界中の情報機関にウォッチされ続けているという自覚のないまま仕事をしているのかもしれません。あるいは、明確な自分自身のイデオロギー的信条に基づいて、情報を操作しているのかもしれません。このように考えていくと、この日本という国では、コンピューターに悪意のマルウェアが仕込まれることにも免疫を発揮できないように、国民のひとりひとりの頭のなかに、人間世界の邪悪さに反撃しないような、思考パターンを刷り込んだ者たちの仕事が成功したことがわかります。たぶん、いまのマスメディアは、戦後教育の出発点であった、戦前の日本はすべて悪、というものが生み出したモンスターなのです。この構造がわかると、隣の国々が、徹底的な反日教育をした結果として、現在の緊張をつくり出したメカニズムも理解できるようになります。
現代の日本人と、戦前の日本人と、江戸時代の日本人の精神性をくらべてみてください。私たちは、世界に逆行して劣化しています。
その他の世界、とくにアメリカの白人とくらべれば、彼らが、インディアンの虐殺者であった頃から、黒人奴隷を使い、奴隷制度をやめて、人種差別をしない方向に動いてきた、ほぼ同じ期間に、この日本では、犯罪者は激増し、親が子を殺す社会にという文明の退歩が起きたことを実感できるはずです。
私たちの日本文明は、西欧文明と出会って、それを吸収することで、植民地化は免れることはできましたが、同じ時期に勃興したアメリカとの競争に敗れ、歴史上はじめて、完全な占領支配を受けた結果、自分たちの文明というソフトウェアに、悪意のマルウェアを仕組まれたといってもいいのでしょう。このマルウェアの除去が、これからの日本人の課題なのです。そのマルウェアのもとにあるのは、西欧文明とアメリカ文明の闇の奥に潜む悪魔的なエネルギーです。
これを自身の身体を使って、除去できるニュータイプの日本人を生み出すのが、精神学なのです。この三月より、私の頭には、「日本は地球の救世主」という言葉が降り、その出番を待っています。

二千十七年三月九日 積哲夫 記