No.40

「安眠妨害、絶許」
卑屈になりやすい人は、ずっとグルグル考え込むことがある。
ただ、そういう思考の堂々巡りに、たまに自分じゃない何者かが関わっていると、なかなか止まらないことがあるのは知っているだろうか。
経験上、頭の中で自分に成り済まして、くだらない工作のためにダウナーになるようなことを囁き続けている嫌な意識体がたまにいる。悪魔と呼ぶにもやっていることが地味で厭らしくて、ちっともすごくない割に被害が妙に出る。妖怪囁き魔とか呼んでおこう。そういうのが人間の脳の中に住みついて、せっせと被害妄想とか嫉妬とか嫌悪を生産することがあるのだ。
妖怪囁き魔は精神の免疫として、しっかり自立した自己意識を確立していなければ、あまりにも似通いすぎて自分の中の心の声と区別がつかない。彼らは声真似がすごく得意だ。
今の「自分」がそんなことを言うだろうか?、と自己嫌悪と内省の中で気付いたら、正体はバレるのだが。自己理解がちゃんとできていないと、そういった区別が働かない。
気付いたら気付いたで、今度は頭の中からどうやって追い出すか――駆除が問題になる。
基本的に、頭の中で座をもった魔というのは、グルグル頭を活動させ、自分に供給するためのエネルギーを生産させ続けて、肝心の人間を眠らせないのが基本的な戦略なのだ。人間からちゅうちゅうと栄養を吸い取って、憑かれた側は延々と続く自己嫌悪や自己卑下にストレスを溜め、うつ病、不眠、精神病と追い込まれていく。自己中心的なので、人間から搾取するのが当たり前。
わー邪悪! 本当に、とても嫌なやつである。腹が立つほどに。
そんなのを回収してしまった日には、もう、浄化と上昇一択だ。腐っても魔なのか、審判の層まで上がって戦わないとなかなか処理はうまくいかないレベルなのがまた腹立たしい。
基本的に私の対処方針は、光を当てて闇の情報を読み取ることである程度彼らを無力化し、弱らせたところを光の剣でぐさーずばー、審判の層でしっかり焼却。
さて、前置きが長くなってしまった。
要はそういうのに安眠妨害を受けると、睡眠を取りたいだけ取るのが好きな人間としてはめちゃくちゃ腹が立つという話である。
※8K画質で昆虫たちの映像をひたすら流し込んでくる系の安眠妨害とか、絶許ものである。
(また、頭の中になにか入り込んでるな…あー、これかぁ…)
なになに…なかなか面倒くさそうなのが入ってるな…試しに光を当てて…。
(私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだああぁあああ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ私はダメだ)
(私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱い私は弱いああぁあああ私は弱いぃいい)
う る せ え。
ひたすらにまくしたてるように囁いて、洗脳気味に思考を誘導・暴走させてエネルギーを発生させるタイプだった。
やかましかった。脳内をくだらない自己卑下で埋め尽くしてくる魔とかめんどくさすぎる。
「ああ――自己嫌悪、気持ちいい…。弱い自分、気持ちいい……」と、ハァハァさせるの大好きな魔だな、これ。
斬っていいと思う。こういう風に人間を追い詰める手合いの魔は、言ってることを聞いているとひときわ腹が立つ。
「私は弱い私は弱い私はよw」
「うるさいっての! 頭の中でぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ! 何で寝る前にこんなことで腹立てなあかんねん!? 寝かせろーーーーーー!」
グサー
ギャアアアアアアアアア――……。
だいたい、毎晩とはいわないがかなりの頻度でこんな調子。
私の場合、安眠というのは与えられるのではなく、こうやって浄化と上昇と戦いの末、勝ち取るもの…。
誰だか知らないけど頭の中で井戸端会議みたいにお喋りするんじゃない。
私の頭の中は集会所じゃないの!!
ぐるぐるすんな。体の中を這い回るんじゃない。
部屋の中でラップ音立てまくってドンバシ暴れるんじゃない!
ああああ、頭と体の中の違和感がすごい…!
「寝かせるんじゃぁああ…!」
今夜も浄化と上昇、がんばってます。