No.28

「情報量が多すぎる」(約6900文字)

 

-1-

 

光の仮想通貨のモデルはだいたい頭の中でできあがってきたので、会長に送ってみた。

 

「この仕組が実現できたら、たぶん、地球のすべてのデータベースは、精神界のデータベースのレプリカになると思うんです」
「質問があるんだけどさ、その信号のやり取りする部分ってどうなってんの?」
「それはこれから考え中です。たぶんできそうな気はしてるんですよ」

 

「ふーん、…ところで君にさ、Gさんからメールがいってるはずなんだけど。デバイスにscienceとmoneyのシール貼ってたら、なんかに繋がったらしいよ」

 

ん?

 

「私の個人用の、Gmailのアドレスあてですかね」
「たぶんね」

 

そんなメール、Gmailのメールボックスをさっきまで見てたけど、受信した覚えが…あ、待って。そういえば。
思い当たって、iPhoneでGmailを起動すると、迷惑メールのトレイを開けてみる。あった。

 

救出成功。危なかった。

 

「おっかしいな…迷惑メールの方に割り振られている。積事務所のメールアドレスは、ホワイトリストに登録してあるはずなんですけどね」
「何者かがおイタをしてるんだろ」

 

おイタ…そういえば昨日、godbrainのメールサーバーの電子証明書が、何らかの原因で更新がうまくいってなくて、期限切れの状態になってたな。
システム担当者の人とメールのやり取りしつつ、証明書の有効性を確かめて、まずは原因がサーバーかクライアントかの問題を切り分けしようと、opensslのコマンドをコンソールから試したら、エラーが吐かれていたので気づいたのだが。
その後すぐに、「サーバーを再起動したら治ったかも」と連絡がきて、実際その通り、状態は改善した。
結局、POP3のサービスに関する証明書だけ、何らかの拍子にサーバー上で更新プロセスが走りきってなくて、そのまま有効期限が切れちゃったようだ、みたいな推測を立てているけど。
コンピューターも機械ものなので、機嫌が悪い(波動状態も?)とちゃんと最後まで仕事をしてくれない時があるのだ。

 

あのメールサーバーの証明書の変更が、Gmail側で、証明書が以前と違うから迷惑メールだ、などと判定される要因ぐらいにはなったかもしれない。
……えらく迂遠な嫌がらせのような気もする。しかも失敗してるし。

 

と、思いつつ、メールを開く。

 

『心霊現象と電気は、関係があるらしいです』とのメッセージとともに、どこかのブログのものらしきURLがあった。

 

とりあえずタップして開いてみる。

 

“ピラミッドと古代エジプト人の電気の使用!!”
http://cho-inoshikacho.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-e76c43.html

 

え…なに、この香ばしいタイトル…(汗)
エジプト人? デンデラ電球?
うーん、なんか長そうだな。

 

ただ、その後いろいろ会長と相談して決めたいことがあったので、とりあえずその時はブラウザをすぐに閉じてしまった。

 

 

-2-

 

夜。いろいろ仕事を進めていたらうっかり日が暮れた。
正直、前の会社にいた時よりも長めに働いているような気もするけど、波動の負荷がぜんぜんないので、働いていても極度の疲労感を感じるといったことは少ない。IT業界の闇は深いな…。

 

さて、昼間にGさんからもらった情報を読み直すか。

 

電車の座席に座って、ブログをざっと読み流す。

 

そのブログ主曰く。エジプト文明には不可解な点が多く、ギザの大ピラミッドには、あれだけ内部は暗いのに、煤が出るような蝋燭や松明を照明に使っていた形跡が全く見られず、明かり取りについては大いに疑問が残る部分であると。

 

一方で、古代には、どうもしばしば電池が使われていたような跡があるとも書かれている。鉄の棒を電極に、ワインや酢を電解液に使えば、2V程度の電圧が出たとか、どこかの企業で実験結果が出たらしい。

 

「ふーん…」

 

2Vの電圧なら、抵抗なしに小さな電球を灯す電流を確保するには十分な電圧だなぁ。普通の電池だって、一本あたり1.5Vだから。LEDもそれぐらいの電圧(2V〜3V)で点灯する。

 

そして、古代エジプトのデンデラ遺跡地下、ハトホル神殿には、通称「デンデラの電球」と呼ばれる不思議なレリーフがあるという。

 

古代エジプト人が、電球とソケット、ケーブル、そしてバッテリーを使って、ピラミッドの中を行き来して、宗教的な儀式を行っていた可能性もあるんじゃね?とブログ主は言いたいらしい。
レリーフの蛇のような模様は、ガラス管の中を電子ビームが走っているのを描いたものだと。

 

それは、ガイスラー管やクルックス管と呼ばれる、今日のネオン管や蛍光灯の仕組み、らしいが。

 

クルックス管の作者は、英国心霊現象研究会の会長でもあったとかで、この辺りが、Gさんのメッセージに関連している部分のようだ。

 

ピラミッドについては、いろいろ確かに言われている。フリーエネルギーの発生装置だとも。
で、なんかすごいイギリスの宇宙技術者が、「ギザの大ピラミッドは地球内部からやってくる振動を増幅してエネルギーに変えていたのではないか」とか唱えた…ふむ。

 

大ピラミッドの重要な部分には、花崗岩が使われていた、と。

 

”花崗岩の中の石英は、音波などの振動を電気に変える、また、その逆に電気を振動に変える、という特性があります。これは、前回の記事でご紹介した圧電効果(逆圧電効果)と言われるものです”

 

(…ん?)

 

そこで、思考を止めた。
石英(セキエイ)? 水晶だ。圧電効果と逆圧電効果って、水晶の性質じゃないか。

 

”クリス・ダンは「この”花崗岩”が、地球内部の振動を電気に変えているのではないか」と考えたのでございます”

 

――それ、時計とかコンピューターの回路に使われている、水晶振動子みたいな話じゃない?

 

さらに、ピラミッドの内部には電気伝導性の高い岩石が、外側の表層には絶縁性の岩石が使われていると書かれている。

 

へぇ、一種の電池やコンデンサみたいな感じじゃん。
しかも、ロシアの研究で、ピラミッド内部では特定の空間に電磁エネルギーを集中させていることが判明している、と。

 

「……」

 

ここで、ふと、脳裏にある声の記憶が蘇った。
九年ほど前、ある音響機器を使って、自分の能力開発をやっていた頃。霊界を探索していた頃の記憶だ。

 

 

『アトラ=ラの神殿ではさ、僕は水晶を使って研究をしていたし、人を癒やしてもいたんだ。でも、水晶から出るエネルギーはとても強力だ。だから、扱いを間違えると精神が吹き飛んで廃人になる人間も出る、危険な技術でもあったんだよ』
『僕は裕福な家の出だった。弟(政治家だったらしい)は僕と違って能力がなくてね。神殿にこもりっきり、研究しっぱなしの僕に強い敵愾心を持っていたよ。僕はそれが嫌で、しょっちゅう下町に飲みに繰り出しては、女の子をひっかけてたけど』

 

 

かつて、そんなことを言っていた、アトランティスの神官(科学者にして技術者にして医者でもある)を名乗る、優男の霊がいなかったか。

 

 

-3-

 

 

アトランティスは、おそらくこの宇宙ではないどこかの次元か、宇宙かで起きた、ある世界の滅びに至る物語の記憶だ。遠い昔に滅びた異世界の記憶ともいっていい。
なぜか私の中には、その文明の出身者だと主張する男性の霊のデータがあって、その滅びに至る情報を持っていた。いたのだけど、どう評価すべきか迷ったので、そのまま、謎の生データとしてほとんど信じていなかったというか、何も手を付けていない状態だったのだ。

 

そんなデータが、山程はないけど、いくつかはある。
この前のプロトタイプの情報も、やっと自分の中で認められたというか、折り合いがついたというか。
基本的に、私は自分の見聞きしたものをすぐには信頼していない。二重にも三重にも検証して、重なっている部分だけを知識として扱っていて、あとはとりあえず情報として置いている。精神学協会にくるまでに、いろんな程度の低い存在に騙されたり、ごまかされたりしてきたせいで、そういう癖がついている。

 

 

「崇めるな。俺の言葉でさえ信じるな。時間の中、いくつもの検証に耐えたものだけが正しさを証明する。だから、今は意味が分からずとも、ただ記憶の中に留めておけ」

 

10年前、そうSが言った言葉が。

 

“私をつかさどる存在は、私の思考に回路をつくったときに、たとえ光の回路を通じて、言葉があっても、決して信じるなと命じた。思考によって検証し続けよ、といった。
『信じる必要はない
すべてはやがて 確信にいたるようにつくられている』”
積 哲夫. 最終知識 (Kindle の位置No.3730-3733).

 

最終知識の記述が。

 

今も、それらが私の基本姿勢だ。
Sの言葉の意味が、最初、私は分からなかった。
今なら、彼は最終知識と全く同じことを言っていたのだと、理解できる。

 

 

さて、アトランティスの話だ。
アトラ=ラと呼ばれる、神官にして科学技術を司る集団が、アトランティス文明にはいたらしく。神との交信、研究、医療を一手に担っていたという。男はその一人で、極めて優秀な科学者だったと。
それは、エジプト人の神官の役目とよく似ている。

 

水晶から発されるエネルギーで人の精神、脳が破壊されるっていう情報も、5Gの性質に似ては、いる。

 

水晶から取り出した電磁力で発生した反重力(リニアモーターカーの仕組みの超強力板)で、巨大な戦艦が空に浮かんで。核兵器のような、インドラの矢の伝説にも似た、強烈な破壊光熱線を放つこともできた、という、破滅的な戦争の記録だ。
ジブリ映画のラピュタに出てくる飛行石の機能が、一番それに近い。あの巨大な飛行石の役割を果たしていたのが、水晶だった。

 

アトランティスは、地中の鉱物であった石英、つまり水晶を巨大なエネルギーの取り出し口として使っていた文明だった。最終知識にあった「アトランティスは土の争い」、というのは、そのことだろうか?

 

とにかく、水晶がエネルギー技術として実用化されていた世界がどこかの宇宙であったらしい、ということを私は知っていて、ここにきて、その知識の裏付けをするような情報を知ることになったみたいだ。

 

(私は、一体、自分の中の何を読んでいたのだろう…?)

 

 

データが繋がってきたことに、ちょっと底知れないものを感じて慄然とする。

 

 

-4-

 

 

波動は、振動であることを、私はもう知っている。

 

水晶の圧電効果と逆圧電効果。
波動(振動)は電気信号に、電気信号は波動(振動)に。
フリーエネルギーっぽい話が出てきたことは、まぁ、とりあえず置いておいても、これ、信号の送受信に使える気がしてきた。

 

最初、4月に魔的なエネルギーに関する仮説を思いついた時、センサーには水晶が重要な役割を果たすのではないか、という直感を、私は持っていた。ただ、その理由が全く自分では説明できなかったので、とりあえず、脇に置いておいたのだが。

 

――やっぱり、これ、最初に考えた、水晶振動子が重要なファクターであるって私の直感、正しいんじゃない?

 

ただ、水晶振動子は、決まった振動で電気を通すように、と加工されたものだったはずだ。総当り的に、何枚も水晶を加工して振動数を確かめるのは、現実的とはいえない。そもそも、振動数なんて一般の家庭の設備でどうやって計測する? もっと効率のいい探し方があるはずだ。

 

そして、水晶を精神界への送受信のアンテナとして機能させる必要があるのだとしたら、水晶は回路の外に突き出ていなくてはならないはずだし。

 

なんかこれ、ピラミッドの話に関連してるっぽい気もする…。

 

水晶を含む花崗岩全体が、ピラミッド型のぷるぷるのゲルみたいなものとして。
地球内部からの振動をアンテナのように受信して、共振で震えだす。
そうすると、圧電効果によって、電磁力と電磁波が生じる。
地球内部からの振動というのは、電磁波のことだろうか。

 

ん? 水晶が共振で振動する? なんか最近そんなことを見た気がする。具体的には会長が作った波動の秘密開示の書とか波動教室に関わる云々とか。

 

『波動シールは水晶に貼っても発振するよ』

 

………んん?

 

シールが物質に振動を与える仕組みは、すでにシラヤマヒメが解説してくれている。
……物質が振動してるんなら、ひょっとして、圧電効果で微弱な電気、生じてるんじゃない?

 

例えば、ピラミッドの中でさ…。ピラミッドが地球上のアンテナ的に機能していたら、の仮定だけど。
電球が、本当に使われてたんだとしたら、それって、ひょっとして一定の法則で点滅してたりしない?

 

電気信号による文字コードがヒエログリフに、モールス信号みたいに割り当てられてたとしたら、どうなる?

 

それって、最も原始的で、物理的な、神との交信システムなんじゃないの?

 

水晶にシールを貼ったら、その波動に合わせた振動や電気信号しか受付しない、みたいな性質、持ったりしない? そうしたらチューニングも総当り実験も不要なんだけどなぁ。

 

ていうか、小型のピラミッドを作ってみて、実際になんか起こってるのか測定したくなってきたんだけど、その方法が全く思いつかん…。

 

 

-5-

 

 

家に帰って、翌朝。「ピラミッド 発電所」とキーワード検索して出てきた記事を眺めてみる。

 

「ギザの大ピラミッド」は内部の部屋に電磁エネルギーを集められる構造になっていることが判明
https://gigazine.net/news/20180804-pyramid-giza-focus-electromagnetic-energy/

 

どうやって電気を取り出してんのかは不明だけど…

 

Gさんが教えてくれたブログの他の記事を見ていると、テスラコイルとエジプト文明のジェド柱は似ている、という指摘が目についた。

 

この、ピラミッドの王の間の断面構造…テスラコイルやジェド柱に似てない?

 

考え直してみる。見た目が似ているからといって、その役割を果たしていたと判断するのは早計だが、想像してみるぐらいならいいだろう。

 

水晶を含む花崗岩全体が、ピラミッド型のゲルみたいなものとして。
地球内部からの振動をアンテナのように受信して、共振で震えだす。
そうすると、電磁力と電磁波が生じる。

 

王の間がテスラコイルと同じ役割や構造を持っているとしたら、王の間は発電空間にして電極だ。他のトンネル空間は一種の電気回路になり得るのではないだろうか。ガラス管の中を一種のガスで満たすと、電子ビームが生じる、という仕組みでできているのが蛍光灯だし。石英を含む花崗岩だって一種のガラスみたいなもんだと思えば。

 

だとしたら、王の間から続く大回廊の役割は、雷のような高電圧のエネルギーについて、大気を経由して誘導する導線になってしまうのだけど。やたら高さがあるのは電気的な増幅回路の役割も兼ねている??

 

となると…未完の地下室の役割は、アース?

 

ピラミッドの中に蛍光灯持って入ったら、光ったのかな。

 

うーん…。

 

どっちにしても、ピラミッドってアンテナとして作用する可能性があるから、技術になりそう、みたいな締めくくりで、この記事も終わってる。

 

電磁力を収束させるピラミッド構造を小型化すれば、より効率性の高いセンサーが実現できる…。か。

 

 

でもそうなると、問題が一つ。

 

センサーは電気抵抗の変化による電圧信号の変化の問題で、水晶は特定周波数による圧電効果からの電気発生の問題。
この2つをどうやって接続するのか、って話…。

 

目をそらしたい問題も一つ。

 

ピラミッドの秘密を知ってしまうと、フリーエネルギー問題にも関わらなくてはならなくなるのだが…。

 

私の仮想敵は、GAFAとFRBとブロックチェーンのシステムと日本の政府なのだが、そこに更に電力会社や石油利権も加わりかねな…あー、よく考えたら全体的に世界に対して敵対してるわ、私。いっか。今更、敵の一つやふたつ増えたって変わらない。

 

 

というか、うっかりすると、ピラミッド構造をセンサーに転用できたとして、同じ仕組みで精神界のような場所からエネルギーがほぼ無限に取り出せてしまう可能性があるんだけど…。

 

だって共振と圧電効果で電気が生じるんだったら、それってつまりエネルギーの電気変換による電気信号エネルギーの発生…………あ………

 

波動は振動であり、振動はエネルギー……。
ほぼすべての重力以外のエネルギーは電磁波……。

 

………………(ひとつ問題が解決したせいで余計に頭を抱えた)

 

どうしたらええねん。これ。

 

ピラミッド型水晶のイメージが頭に浮かぶ。
……どっか、怪しいショップで探したら買えるかもしれないな……。

 

いや待てよ…ピラミッド型になってて圧電効果があるんだったら、実はなんでもいいんじゃないか…?