Vol.578

植民地文明の末路

今回のサンフランシスコ市と大阪市の姉妹都市の解消という問題ではっきりしたのは、すでに中国人の民族意識を持ったアメリカ国民というものが、アメリカ合衆国の内側で、本国の意向に従って活動しているという事実です。
かつてアメリカは、日本人による、そうした活動を怖れるあまり、戦争中には、日系人だけを強制収容所に送り込むという蛮行を行ないました。
悪の権化のように、教え込まれている戦前の日本が国際社会で訴え続けたのは、人種によって差別しないという、今日では世界の標準になっている、人類共通の理念でした。これを阻害し続けたのが、有色人種の住むエリアの植民地支配によって利益を得ていたヨーロッパの白人国家群とまだワスプが支配していたアメリカ合衆国で、植民地支配に出遅れたドイツが、第一次大戦の敗北から立ち直る過程で選択した国家社会主義という、共産主義の兄弟イデオロギーで、東側のスラブ系の国々を自らの植民地にしようとした時に、決定的な白人同士の世界の支配権をめぐる戦いがはじまりました。
大日本帝国の指導部が天皇の意向に反して、そのナチスドイツと組んだ結果が、現在の姿を生んでいるのですが、この愚かな選択によって、日本も植民地を求める強欲な帝国の一員という歴史的な評価が定着しています。
第二次大戦後の世界では、植民地によって繁栄したかつての強国は、みな没落していきました。戦勝国という意味では、旧ソ連邦も、没落し、負けたけれど現在のヨーロッパを支配しているのは、ドイツです。
そのドイツの支配グループが、中東シリアの難民を受け入れることで、ドイツという国民国家は崩壊し、多民族化して内部において、宗教対立と民族対立という新しく危険な社会が生まれようとしています。
ドイツという国家は、東ドイツのイデオロギーで教育されたリーダーを選んだ時点で、国民国家ではなくなる道を選んだといえるのです。こうして、最後に残った国民国家が、わが日本です。
アメリカ合衆国は、移民にアメリカ国民としての自覚を持たせることで、これまで求心力を発揮してきましたが、それは、ヨーロッパからのキリスト教の歴史を共有する白人グループが主体であったからにほかなりません。
そのアメリカは、大日本帝国に勝利したことにより、半島の人間と大陸の人間に移民の門戸を開きました。そうした民族グループは、国家に忠誠を持つということがないということを、これからアメリカ社会は学ぶことになります。
二十一世紀に入って、アメリカ合衆国をこれまで支配してきた人間グループが、国家と国家の戦いという過去の仕組みではなく、テロとの戦いという正体不明の相手との戦争に、ふみ込んでから、いまの状況は予見できたはずです。
その先にあるのは、アメリカ国内が戦場となる、民族と宗教の戦いの日のはじまりです。
同じことは、やがて、共産党の支配する大陸においても、はじまるはずです。
富の偏在は、妬むものとされている現行の人間のたましいに、強烈な戦いのモチベーションを提供するからです。
日本も、この社会への道を進んでいるというのが、私が知らされているこのクニの危機の実相なのです。いまの学校で、あるいはマスメディアでくり返し教え込まれている、価値観は、日本という世界より一段上の精神的エネルギーの場に生きているはずの人間を、一段下のステージにつき落とすものにほかなりません。
精神界からのデータが、このクニの国是は、昔から原則、鎖国と伝えてきているのには、こうした根拠があるのです。
日本人になりたい異邦人には、これほど寛容なクニは世界のどこにもありません。学びに来てもいいのです。ただ、この日本列島の精神的エネルギーの場を破壊するような民族や宗教、イデオロギーに扉が開かれることはありません。
実は、この二千十七年の十二月には、日本列島そのものの地場がその方向に強く動きはじめているのです。

二千十七年十二月七日 積哲夫 記

————— お知らせ —————
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詳しくは、左側リンクの、ヴァグリエのホームページでご確認の上、お申し込みください。

十二月九日のトークは、定員となりました。
十二月十六日も残りわずかです。ご希望の方はお早めにお申し込みください。