Vol.541

神なき国とゴッドブレスなき国

日本人は、日本列島と日本国の価値を地球上の誰よりも小さく思い込まされることで、自分たちの自立と覚醒を遠ざけていることにそろそろ気づくべきでしょう。
現在の中国共産党の指導部の何パーセントが、共産主義という言葉そのものが、日本語であるという歴史的事実を知っているか、どうかは別として、明治の日本人が西欧近代のシステムや概念を、日本語に翻訳したものを教科書として、近代中国がスタートしたというのがほんとうのところです。
歴史という言葉も、日本で生まれた組合せ漢字であり、それを知るまで、中国大陸には、英語のヒストリーに対応する文字は、史しかなかったとされています。いまの中国共産党が戦っている歴史戦というものは、自分達の出発点を、日本という国に置くことができない、屈折した感情から生まれたものと理解すれば、それに対する戦略も自ずと見えてくるはずです。
神なき国、共産党の支配する中華人民共和国は、まさに妬むものとして、日本国の歴史の豊かさを自分の所有物として欲しているといってもいいのです。彼らの狙いは、国家の明確な意志として計画され、まず尖閣諸島、次は沖縄、その次は北海道というように進んでいくはずです。
しかし、中国共産党のはるか前に、この日本列島に着目し、現実の戦争という手段によって、日本国を一種の属州としたのが、アメリカ合衆国です。
ペリーの黒船以来、一貫して、アメリカは日本を自分たちの版図に組み入れようとしてきましたが、自力では成功しないことを知るや、イギリスや国民党の中国とスターリンのソ連邦と組むことで、当時の大日本帝国を打ち倒し、その領土を分割しました。
アメリカが、日本打倒のためのオレンジ計画を策定するのは、満州の利権を日本が、日本との共同で、というアメリカ側の申し出を拒否した直後とされていますが、もともと、アメリカの内部にはハワイの次は、日本という暗黙の了解があったはずです。
この歴史の流れともいえる、悪意の対日戦略に、なぜ日本があまりに安易に乗り、判断を誤まり続けたのかを、人知の側でも、きちんと検証しない限り、現在の状況は変わりようがありません。
この現実の世の姿は、私たちの意識と認識の投影に過ぎないからです。歴史を見ればわかるように、すくなくとも日露戦争までは、この国には日本の神々の助けがはたらいていました。
それがなくなるのは、私がくり返しお伝えしているように、日韓併合という白村江の戦い以来の国体を変化させた政治的決断以降のことです。
それから、神国でなくなった大日本帝国は、一千九百四十五年の敗戦に向かって、転落していきます。
日本の神々のサポートを失った大日本帝国と、当時は、まだゴッドブレスというキリスト教の神格からの追い風を受けたアメリカが、太平洋という戦場で戦った一千九百四十一年から一千九百四十五年までの戦争は、見るも無残な負け方で、現在まで、日本人の精神面は立ち直れずにいます。
しかし、そのアメリカもキリスト暦二千年の次の年、二千一年の九.一一の事件によって、ゴッドブレスという追い風を失いました。
アメリカは、普通の国になったのです。
これを見ていた中国共産党は、自分たちも欲しくてしょうがなかった国、日本を再発見します。
アメリカと太平洋を分割することができれば、日本列島は、自分たちの影響下に入るはずだと、地政学的には考えることができます。
ところが、アメリカのゴッドブレスの消滅は、敏感な日本人にも、感知されており、その中国共産党の悪意の正体も見抜かれたというのが、この二十一世紀の日本列島を取り巻く姿です。
神なき国とゴッドブレスなき国の間で、神の光を取り戻しつつある国が、これからどう行動するか。これが、最後の一厘のプログラムというものの発動ということなのでしょう。危機は迫っていますが、それは、覚醒のチャンスでもあるのです。

二千十七年三月二十三日 積哲夫 記