既存の民主主義システムの限界

 いよいよ来月には、アメリカ大統領が決まりますが、アメリカ国内も情報操作と空理空論で社会が回っています。かつて日本は、11年前に鳩山由紀夫氏を代表とする民主党に国づくりを任せ、3年間暗黒の時代がはじまりました。何が国益で何を柱に国家が成っているのか、国家が精神分裂をおこしている状況にまでおちいりました。多くの人は、あのでたらめな政治に悪夢を抱き「毒牙にかかった」と後悔した人が多かったと思います。それと似たような状況が、いまアメリカで起きています。今回の大統領選は、アメリカの国家を分裂させるきっかけになると思っています。いままで見たことのないアメリカがあり、何が真実で何が政治なのかを国民が迷走し、どこに自分たちが向かおうとしているのかが、まったく解らなくなっているのが本土で起きています。アメリカの大統領選は、世界の方向を大きく変える選挙であり、各国にも影響する選挙であります。その選挙で、アメリカ社会そのものが民主主義と自由主義が崩れ、「何が国益」で「何を望んでいるのか」アメリカ人自身が自分たちの立ち位置が解らず、世界を振り回していく時代に突入したと見ています。11年前に日本国が精神分裂をおこしたように、いまアメリアでも国家が精神分裂を起こしてバラバラになろうとしています。日本の報道を見ていると、バイデンを支持する報道ばかりが目立ち、アメリカの国内状況を映さない報道ばかりしていますが、実際のアメリカ本土は自分たちの代表を決める厳格な儀式に威厳すらなくなってしまいました。間違った情報は、日本人に事実を伝えずに、大きなかじ取りを出来なくしています。オールドメディアは、実態を見ないで偏った報道ばかりして、日本人に情報操作をしていることに違和感を覚えると同時に、かつての第二次大戦前と同じような状況を作っています。日本の人にとって見れば、他の国の代表選に関心を持ってどうするのか? という人も多いと思いますが、アメリカの大統領だけは日本の将来にも影響する大事な選挙であることは理解しなくてはいけないと思います。(日本だけではありません。全世界の仕組みが変わるからです。)
 今回のアメリカの選挙は、日本人には見えない大きな闇の世界が隠れています。それは、民主主義と資本主義の崩壊がアメリカ内部からはじまっていることです。民主主義とは、多数決の原則に立ち、公平・中立に自分たちの意見を言う場を保障するというのが一番の根っこのところです。しかし、いまのアメリカ社会はトランプ大統領の支持を表立って支持することは出来ません。トランプ大統領を支持するものならば、身の危険にさらすことにもなります。多くの人たちは、隠れてトランプを支持して、まっとうな意見の対立の場を失ってしまいました。一番アメリカが大切にしてきた、言論空間の保証がない社会を作り暴力や銃によって、地域社会がカオスになってしまいました。ある意味、民主主義そのものが壊れてしまっています。
 前回も書きましたが、アメリカにはイミシエという民兵という概念があり、銃社会をもとにして国家が成り立っています。この選挙で、イミシエと民主主義が対立して崩壊に突き進んでいます。トランプを支持したとたんに蔑まれる目で見られ、場合によっては家に銃弾が撃ち込まれるほど、危険な状態になっています。自分たちの考えを守るためには、反対する意見を暴力で脅して、自分たちの正当性を威嚇することで、イミシエ思想がマイナスに働いています。アメリカの銃社会の根底には、国家だろうが自分たちが正しければ、銃を持って国とも戦う権利があるというイミシエ文化があります。この選挙でいびつな形で民主主義とイミシエ文化ぶつかり、アメリカの分断が起きていることを日本人は知らなくてはいけないと思っています。(アメリカ文化の中に、民主主義よりもイミシエ文化の方が中心にあるような気がしています。)
 前回の選挙で、トランプ氏とヒラリー氏が戦ったとき、ほとんどの人が共和党の代表にトランプ氏が決まるとは思っていませんでした。その当時、共和党ではほとんどの人は、小粒で甲乙つけがたい候補者ばかりでしたが、少なくても共和党の議員の中から代表が出てくるものだと思っていました。しかし、共和党内部では分裂を起こし、前例がない素人のトランプ氏が勝ってしまいました。この常識はずれのいきさつに、一番驚いているのはアメリカ国民だと思っています。そして、いまなおかつトランプ氏に対してのアレルギーを持っています。
 今回は、民主党も内部分裂を起こし得体のしれないバイデンという人を神輿に担いで、トランプ大統領にぶつけていきました。果たして、バイデンもまともかというと、そんなことはありません。CNNを中心にアメリカのメディアや著名人は、バイデンを支持していますが、本当にバイデンが大統領になることがアメリカにとってプラスなのか? アメリカの大統領は、核爆弾のスイッチを押す権限を持っているアメリカ国民の唯一の人です。そんな人に、任せることが出来るのか? バイデン・ファミリーは、外国資本にまみれ外国の既得権益の立場をとってきました。米国の国益を重要視しない外国の思想が入り、外貨によって財産を作った人を大統領に押しているのが、民主党の現状です。民主党の外国との癒着は、クリントン大統領の時から外国資本によって汚染され、民主党そのものも国家観を持たない国づくりをしてきました。結果、オバマ大統領の8年間に中国を金の亡者にさせて、アメリカの内部まで中国のスパイが入り、アメリカが乗っ取られる一歩手前まで来てしまいました。
 今回、トランプ大統領がアメリカの分岐点になったのは、中国まみれの国家体制の決別と、もう1度アメリカの国益がどこにあるのかを問うた大統領でした。そして、アメリカ国民自身が解らなくなってしまったアメリカを、素人の人間に国づくりを任せたというのが、アメリカの実態だと思っています。
 素人がゆえに既存の体制や既得権益をぶち壊し、不動産的な彼のビジネスセンスは、損得勘定だけでアメリカの国づくりをしてきたのがトランプ大統領の本質です。その素人ゆえの前例のない行動に、ワシントンDCは戸惑い、彼の型にハマらない行動に、誰も抑止できずどうしていいのか解らないのが、ホワイトハウスの実態です。彼の行動は国内だけでなく、世界の首脳も戸惑い政治家のセオリーがない彼の行動は、どのように彼と接していいのか解らない各国の首脳陣が頭を抱えているのが世界情勢です。(その中で唯一耳を傾けた人は、安倍晋三さんであることは、もっと日本人は知らなくてはいけません。オバマ大統領のときは、中国重視で日本の立場をほとんど重要視することはありませんでした。しかし、トランプ大統領になってまったく逆の外交になりました。)国内外問わず、政治の常識がない無謀な政策に見えますが、実は本質的な発言して合理的な行動をしている面白い大統領が出てきたのは間違いありません。
 本来は、日本のメディアはその本質を見て報道して、日本にとって意味のある大統領は、どちらかということを日本人に伝えるべきだと思っています。CNNをはじめ、アメリカのリベラル思想を請け負うのではなく、日本独自の国益からアメリカ大統領選を報道するべきだと思っています。

 

リベラルという名のカオス

 民主党の内部では、分裂を起こし「なぜ、バイデンが出てきたのか」 誰もが不思議に思っています。この代表は、とりあえずというレベルで民主党の代表にし、傀儡政権のような人を民主党はトップに据えてしまいました。実は、民主党で一番人気があるのは、バーニーサンダースという社会主義者です。しかし、思想は社会共産主義で資本主義を無視したところから国づくりをはじめようとして、多くのアメリカの保守や知識人が、彼には任せられないというのが本音のところであります。アメリカの国体は、自由と競争です。その自由を奪い、制約と規制の中で国家運営をされたら、多くのアメリカ人がその体制を支持することは出来ません。よって、バーニーサンダースを民主党の代表にした時点で、民主党は分裂を起こし民主党は未来永劫、結束することは出来なくなるでしょう。それもあり、知名度があり副大統領までやった、バイデンという人を立てたのが現状です。
 では、なぜバーニーサンダースが支持され圧倒的に国民が応援するのでしょうか。背景には、いまアメリカの大きな闇と開き過ぎた格差が関係しています。自由経済を認めた故にどのように埋めていくのか、誰もが答えを持っていないという現実があります。それに対して、社会共産主義という貧困を救うシステムがあると歌い始めたのがバーニーサンダースであります。面白いことに、今年のはじめごろロサンゼルスで民主党の集会をしたときに、バーニーサンダースは2万人が集まったのに対して、翌日公演に立ったバイデンは100人しか集まらないという状態が起きてしまいました。明らかに、民主党での人気はバーニーサンダースであり、民主党員の1部は彼が代表になると期待をしていました。しかし、結果はバイデンを代表に出すという不透明な決定となり、民主党支持者にも政治の不信と政治に対しての諦めにつながっている状況にまでなってしまいました。
 ある意味、アメリカの選挙システムが壊れ民主主義の定義そのものが崩壊しつつあることが判明してしまいました。そして、アメリカという自由市場が他国の資本とプロバガンダによって、簡単にアメリカという国が騙すことができることも判明してしまいました。トランプ大統領の出現によって、いままで見えなかったアメリカ政治の正体が露呈してしまい、素人がゆえにアメリカの闇のパンドラの箱を開けたのは間違いありません。
 
 その影響なのかわかりませんが、いまアメリカで騒がれているBlack lives matter(以降はBIL)も政局とプロパガンダが黒人差別という言葉にすり替えられ、アメリカの教養人を洗脳してトランプ大統領を引きずり落としにやっきになっています。BILは、黒人差別の問題として日本人の多くは捉えている人がいますが、そんな単純な問題ではありません。確かに、アメリカの黒人差別やスパニッシュ差別が多いのは事実です。それは、日本人に対しての差別もあります。日本の一部の知識人や学者は、あの運動が差別を撤廃する分岐点であると言っていますが、果たして本当にそうなのか? 私たちのように海外に住んでいると、常に思うのは性善説の運動体と称していたものが、ある日から、まったく違う集団になってしまう怖さがあります。シアトルの例で言えば、シアトル・ダウンタウンに突如BILのデモが起き、道を占拠して治安を守ろうとする警官とのぶつかり合いが起きました。そして、警察官が治安を守れないとわかると、その近辺の店の窓を壊し、中のものを集団で奪うという事態に変わってしまいました。いつしかその場は、「自治区」というカオスの空間を作り、誰が統治しているのか見えない空間を作って警察官すら入れない場にしてしまいました。理念や差別撤廃の前に、まっとうに働いている庶民の生活や治安を壊し、暴徒化した世界を作ることが目的になってしまう怖さを持っています。ある意味、人の欲望だけを煽り自由という名のカオスを作ってしまう、一面があるということを見なくてはいけないと思っています。(日本では、理解できない感覚ですが、かつての全共闘運動に似ているところがあります。)
 シアトルという街は、全米でも生活水準が高く教育レベルも高い街として有名な場所です。日本で言えば、世田谷区や芦屋市みたいな町です。それが、突如としてカオスになってしまうという怖さがアメリカにはあるということです。これは、ただ単に人種差別の撤廃という単純な話しではなく、表には見えない政局の党利党略や外国の資本によって、治安を壊すことによって政治を揺るがすという不自然な民主主義を作っていることを見なくては、本質を見ることはできません。以前、アメリカは多人種の屋台国家と書きましたが、簡単にいろんな民族が流入し、自分たちの民族の価値観で国を変えてしまうことが出来るのが、アメリカという国家であることを知らなくてはいけません。アメリカという多民族国家は、共通価値観をマネーにすることによって成り立っています。その一面、お金によって人の心が動き理念や信念がない社会をすぐに作れる土壌があります。BILの問題は、マネーの動きを見ればどこに真実があるのかが見えてきます。表では、黒人の差別を謳いながら、違うところにあの運動の正体があると見ています。机上の理念と人間の欲望が埋めく中で、どのように倫理や理念を柱に社会を作ることができるのか? この本質を突かないと、アメリカ社会を見ることはできません。日本の知識人が行っているような、単純な性善説では成り立っていません。

 

アメリカが求めている価値観

 今回の選挙で、アメリカ国民の心情や心理が見えてきました。教養レベル高い地域になればなるほど、机上の理論と理想的なことを謳い、社会民主主義という得体のしれない全体主義を求めています。そして、得体のしれない全体主義になれば、バラ色の世界が出来ると信じています。確かに、アメリカの格差社会の問題や低所得者が医療を受けらない問題があり、その中で苦しんでいる人が多いのは事実です。アメリカン・ドリームという言葉に代表されるように、自由主義であるがゆえにマネーを生み出す人こそが、タフで剛健としてアメリカでは尊敬されてきました。しかし、ITが出てきたことで働き方やマネーの動き変わり、格差が埋まらないぐらいに開きマネーだけを信じることに限界を感じてしまったのが、アメリカ人の本音の現状です。そのことによって、生き方を見失ってアメリカ国民の心の空洞化がどんどん広がってきています。
 今までは、アメリカ人と名乗れば世界では一目置かれ、それだけで他国と優越を持てた国民が、精神の貧弱さと希望が持てない国家に諦めと失望を感じ、強いものを望まないアメリカ国民が増えてきているのはまちがいありません。国民は、どこかで普通の生活をしたいという願望があります。日本も同じように、宗教という価値観や国家観が薄れていく中で、何を生きる理念の柱にしたいのか見失ってしまったのが、アメリカ本土で起きている現象であります。それは、このコロナでより明確になりつつあります。仕事も失い社会のコミュニティーとの断絶が、自分の存在を確かめる場所が無くなってしまいました。アメリカという国自体も大きな病を抱えて、心の空洞化を大統領選で埋めようとしています。
 日本から見るとアメリカという国は、力強く常に新しいものを作り華やかな世界を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、それは一部の限られた地域で、アメリカの大半は質素で勤労と家庭を守ることを主とした生活をしています。映画やドラマで出てくるようなアメリカは、一部の特定の人達であり、ほとんどの人たちは日本の庶民と変わらない生活をしています。

 いま、アメリカの問題を解決する方法は、実は日本社会にあるということをほとんどの人たちは知りません。アメリカ庶民の一番の問題は、医療の問題と格差によって普通の生活が出来ないという問題があります。日本は、低所得でも医療を受けられ、労働の格差にしてもGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)で働く人と一般の人の収入格差はアメリカほどありません。アメリカは、桁が全く違います。それは、日本の経営者の収入を見てもわかります。豊田章夫さん(トヨタ社長)の収入は、アメリカの大企業の役員の収入からしてもとても低いです。ある意味、日本の社会は「和をもってとうとしとなす」という人知が機能していることの現れです。この崇高な人知をアメリカ人が知れば、必ず彼らの中に浸透していくと思っています。アメリカ国内の日系の会社(トヨタやホンダの工場)を見ればわかるように、何千人もの仕事場を作りアメリカ人に普通の生活の場を提供して街まで作ってきました。実は、日本の思想には、勤労と生活を結ぶ人知を持っています。一般のアメリカ人が望んでいるのは、特別なことでなく、経済的に自立して人と人がつながる普通の生活を求めています。
 
 アメリカの大きな闇と病を払しょくする哲学は、キリスト教の一神教の哲学では国づくりはできません。アメリカは、250年の歴史はキリスト教文化で建国してきました。大きな柱は、聖書を主体にした国づくりからはじまりました。しかし、多民族国家と移民を毎年入ることで、国家自身がオリジナルの国体ではなくなってしまいました。そのことに気づいたのが、アメリカの保守と言われる人たちです。今回、トランプ大統領を支持し本来のアメリカの姿に戻したいというのが保守の人たちの意見です。
 しかし、ここまで多民族が入り込んでしまったら、元に戻すことは出来ません。唯一、アメリカが国体として維持していくには、「和をもってとうとしとなす」という人知をいれないと、国は崩壊し常に内戦と民族間の争いが絶えない国になると思います。
 実は、アメリカ人も日本人もあまり理解していないことが一つあります。それは、アメリカ人の信念の中に、正直・勤労という日本人に共通する価値観を持っていることです。確かに、アメリカ人は横柄で力で解決できると信じているところがあります。しかし、その反面ピュア―で、知らないことへの探求心があるのも事実です。そして、その不思議な世界が自分の価値よりも上だとわかると、180度価値観を変える合理性をもった民族であることは間違いありません。
 このコロナ後は、世界は大きく変わります。いま以上に、白人優越主義が薄れていきます。そのときに、どのように世界との関係を作っていくのか? 国内の中で、行き場や希望を失い自暴自棄になっている日本人の心に、生きる希望を見いだすものは、日本人の勤労精神と技術を持って海外に出ていくことだと思っています。日本の勤労精神と技術は、異文化の人たちの心の中にすぐに浸透していきます。その第一弾が、ノースアメリカへの日本人進出だとおもっています。アメリカ人は、勤労と正直という共通の価値観を持っているのは、日本人であることに気付きはじめています。日本文化は、アメリカ社会にとって必要な存在になるでしょう。必ず彼らは、日本人を敬意のまなざしで見ます。そして、アメリカ人が好きなのは日本人であることを気付くでしょう。宗教的な価値観で対立するわけでもなければ、勤労という正直さの中に彼らには真似できない匠の技を持っています。彼らは、そういった世界へのあこがれと、マネーだけに縛られない勤労世界への神秘性にシンパシーを抱いています。(もともとは、開拓精神とカーボーイ文化なので、日本に共通するところは幾つもあります。)今回のアメリカの大統領選は、私はトランプ氏が勝つと見ています。なぜなら、アメリカの保守層がお金の利権を易々と漢民族に渡すほど、アメリカ人は馬鹿ではありません。そして、世界への覇権とマネーだけを信じる社会に、アメリカ人は未来を見いだせない現実があり、今までの状態では限界を感じています。この大統領選の結果、どのようにアメリカ社会が変わっていくのか、日本人は注視して見ていく必要があります。私が推奨する海外進出論は、英語を学び海外で何かを勉強することではありません。そんな時代は、終焉しました。これからは、個人の能力を輸出する時代がはじまります。日本では、自分の将来に不安を感じている人が多いと聞きます。しかし、技術と勤労精神があれば海外に出て、日本精神を伝えていく大きな分岐点に、これからなっていくことは知っておくべきです。大きな時代の流れが、いま変わろうとしています。