コロナ後の日本の姿  Ⅱ
―北米社会で起きている現実―

 やっと、アメリカ大統領が決まり歪な時代の幕開けになりました。アメリカ人にとって神聖な儀式が、不正と不義によってアメリカ人の心の空洞化を作ってしまい、アメリカの正義がどこかに行ってしまった選挙でした。この選挙によって希望と自由が閉ざされ、自ら社会を閉塞社会に変えてしまいました。本来アメリカの大統領選は、開かれた民主主義を掲げアメリカの未来を語り、夢を実現させるアメリカ人にとって希望と意思を表明する儀式でした。その儀式を腐敗と不正によって自分たちの代表が選出され、その人物を国づくりの中心にするという、忌まわしい国家になってしまいました。その国家に、国民は忠誠と誇りを持てるのか? 根幹の問題を抱えています。いま、アメリカ国民の中にある心情は、何を信じて「国づくり」をすればいいのか? いままで信じてきた正義を骨抜きにされたことによって、希望も未来も語れない国家になってしまいました。アメリカ全土に空虚な雰囲気が蔓延して、アメリカ自体が国家観を見失ってしまいました。これから4年間は、混沌とした時代のはじまりであり、政治が機能しない幕開けだと見ています。トランプ政権下でも政治の不透明さと信頼にかける国づくりでありました。しかし、これほどユニークな大統領は、後に先にも出てこないと思います。(ユニークというのは、面白いという意味合いよりも、独特とか個性的という意味で。)素人が大統領になったことで、アメリカの闇の世界が浮き彫りになりました。日本では、トランプ氏の功績を称える保守がいますが、私個人は違った見方をしています。以前トランプ氏を次期の大統領に押しましたが、それはあくまでも対中政策と対朝鮮半島政策が、日本民族の国益になるからで、日本の保守層が言っているほど彼の政治理念に賛同しているわけではありません。むしろ注目するべきは、世界観もなければ歴史観もない人が大統領になり、正義心情でアメリカ政治を動かしていた人ではないからです。彼の政治手法は、彼を批判した人とは真逆の政策をして、相手と徹底的に戦うという面白い大統領でした。そこに、安倍晋三さんが「耳元でつぶやき」日本の国益に彼を誘導し、彼のハチャメチャさを上手に操ったのが安倍元首相だと見ています。この関係は、日本史に残る大きなことで、日本人がはじめてアメリカの大統領を傀儡にした4年間だったと思います。日本人は、トランプ氏に感情移入して「日本のために動いてくれた人で、いい人」という保守層が多いようですが、過度な性善説と先入観は捨てるべきです。所詮、アメリカの大統領であり彼らも日本をいいように利用して、自分たちの既得権のために動いている人たちです。
 そして、あの大統領の最大のユニークさは、アメリカの闇である「ディープステイト」を表に出し、アメリカ国民と世界中に見せてしまった大統領であることです。歴代の大統領が出来なかった偉業を、彼は簡単にパンドラの箱を開けて、表の政治と闇の統治があることを明確に国民にさらけ出しました。それは、ロシアゲートを見てもわかるように、どれだけド素人を政界に入れたくなかったのかが伺えます。彼がトップに就いたことで、ワシントン村とウォール街が一体となって、民意で選ばれた大統領を引きずり落とそうと躍起になりました。ある意味、ワシントンDC内でプロレスが行われていた4年間でした。その対戦相手は、旧態依然の連邦議会・FBI・CIA・メディアが一体となって、クーデターに近い政権降ろしを徹底的にやりました。それを、たった一人で立ち向かい周りの空気や状況を読まないで、狂気の沙汰でバタバタと相手を倒していくという、前代未聞の大統領であったことは間違いありません。トランプ氏を支持する国民は、ダーティー・ハリーの孤高の戦いを見ているような、古きアメリカの正義に邁進する姿に絶叫をしました。ただし、彼の正義はワシントン村の正義とはまったく違うものであります。その違いが、アメリカ国民によく見えてしまったというのが、彼の功績だと思います。
 いま、アメリカの大きな闇の世界は、拝金主義になびいた政治屋とメディアが外国資本の下で、政治活動をしている実態が明確に見えてしまったことです。リベラル思想を打ち出しながら、アメリカ国民の意思とは別の政治を行い、自分たちの私利私欲のために国家を利用して既得権を作ってきたのがアメリカの政治屋の正体でした。そこに蜜月した形で、連邦局(CIA・FBI・司法局)やメディアがくっつき、アメリカの民主主義を腐敗に追い込んでいきました。今回の選挙も、どれだけ海外の資金を投入し外国人の既得権を作り歪んだ国づくりしたのか、明確に見えてしまいました。
 今回、武漢熱によって閉塞社会だからこそ見えた世界があります。そして、アメリカ政治の歪みがどこにあるのか、アメリカ本土にすべて知れ渡りました。バイデン氏は、腐敗した選挙で選ばれたことで、彼は何も出来ない大統領になると見ています。政治も壊れ経済も壊れています。どこから、彼は立て直していくのか? 200兆円もの財政出動をすると言っていますが、いまアメリカの主要都市はロックダウンになっています。お金だけをバラまけば、済む問題ではありません。当然、資金調達や経済自立と国力維持が問われてきます。その方向が明確で無いまま、アメリカの「国づくり」がはじまろうとしています。国民が精神の虚無感を持った中で、不義の政治が立て直すことが出来るのか? そして、恐慌の手前の経済状況にもかかわらず、脱炭素社会を掲げた経済政策で立て直すことが出来るのか、非常に疑問に思いながらアメリカ政治を見ています。脱炭素社会は、日本で1990~2000年代に行われた経済体型で、日本の国づくりが失敗した政策でもあります。あの政策をしたことで、日本経済は低迷と他国に産業を移すことで、低炭素社会を作り産業の空洞化を作ってしまいました。いま、アメリカは景気低迷で産業がない時代に日本で失敗した政策を掲げて、産業復興が出来るのか? リベラル層が好きなポピュリズム政治をしようとして、実体経済や実体社会にはそぐわない政策をやろうとしています。バイデン氏が大統領になったことで、アメリカという国はどこに向かおうとしているのか全く読めない国になってしまいました。

 

<日本のメディアの嘘>

 日本のメディアは、「日本は、コロナで一番感染状況が軽症に済んだにも関わらず、日本経済は先進国の中で一番の打撃で復興が遅れている」と言っていましたが、北米社会に住んでいるといかに出鱈目なことを言っているかが解ります。あのような報道は、日本を間違った方に誘導して、民族の分断化を起こすきっかけにもなりかねません。正確な状況と情勢を誇張なく伝えて、日本人に正しい判断をしてもらう場にメディアはしなくてはいけないと思っています。建設的な行動も正確な判断も出来なくなり、混乱を招くだけです。(武漢熱の報道にしても、事実とは違う報道が目立ちます。日本は、非常に感染を抑えて上手に社会を回してきた国だと思っています。しかし、危機を煽る過剰報道によって、社会を間違った方向に誘導しています。無作為な政策を非難するならば理解できますが、ポピュリズムを生むような偏向報道は国益にはならないと思っています。)
 なにが嘘かは、ロックダウンが行われている国の現状を見ればすぐに理解できます。北米社会やヨーロッパ社会は、日本社会より深刻な状況になっています。なぜなら、ほとんどの主要都市はロックダウンになりまともな生活が出来ていません。日本でロックダウンと言っても、日本人の皮膚感覚では理解できない世界です。いまの日本の状況は、規制や生活の縛りがあると言っても北米社会から見れば、まだ緩和されている状況です。武漢熱前の社会が100%の自由とするならば、武漢熱後の日本は70%の自由が保障されています。しかし、北米やヨーロッパは20%の行動の自由しか認められていません。それに加えて、法的な規制が成立しているので、違反した場合には罰金刑になり、庶民は身動き取れない状況になっています。日本の通勤ラッシュの映像を見たら、ここの人たちは驚嘆します。そして、日本の公衆衛生のレベルの高さに度肝を抜かれるでしょう。

 北米社会は、コロナがはじまって大企業からレイオフがはじまりました。そもそも北米の会社は、日本のように終身雇用でなっていないので、簡単に人を切る雇用体系があります。北米経済の中間層以上である労働者からレイオフをして、人の行動を止めて経済に制約をかけました。いい例が、航空会社やホテル関係などの北米の基幹産業が、ほとんど機能しない状態になってしまいました。その人たちは高収入で街の経済を支えていきました。ほとんどの人は、定期的な収入があるので家を買い不動産投資と家族を持ち地域経済を回していきました。日本では当たり前の雇用システムですが、海外はフリーター文化なので定職に付いて何年も働く層は少ないので特殊な労働者層であります。その層が崩れたことによって、安定収入があった人から失業し、住宅ローンの滞納問題と失業者を大量に生むことになり、北米社会は、危機的な状況になっています。かつては、サブプライムローンの住宅ローン問題で話題になりましたが、今回はそれをはるかに超える住宅ローンの深刻な問題がはじまろうとしています。いまは、国から失業保険が出るので収入の半分は保証されていますが、期間限定になってしまいます。よって今まで働いていた従業員は、突如荒野に放り出された状況になっていました。
 いまANAでは、下請け会社に出向させられて空港関連の仕事が出来ないことを不服に思っている人がいますが、まだ日本は雇用の保障がされているだけいいかもしれません。他国は、関連会社の出向システムもなければ、自分で収入源を確保しなければなりません。どちらが良いかは短絡的には言えませんが、収入を確保するという点から見れば、諸外国の方がシビアだと思っています。世界各地で生きる術を必死に探し、もがいています。日本だけの問題ではありません。その中で、「日本だけが遅れを取っている」という報道をしていましたが、日本は経済政策も感染症対策も不手際があるにせよ上手くいっている方だと見ています。日本のメディアが伝えなくてはいけない真実は、世界各国はロックダウンの状況から社会復興をさせないといけないことが1つ。そして、日本社会よりさらに深刻なところからのスタートになっていることを報道するべきです。

 

<ロックダウンされた社会>

 幸いにしてVancouverは、ロックダウンの1つ前の状態で留まりましたが、トロント(カナダ1の人口大都市)や他の主要都市ではロックダウンになり経済がほとんど止まった状態になっています。それは、アメリカにしてもヨーロッパの主要都市でも同じような状況になっています。地域によって規制の幅と期間のバラツキはありますが、原則外出禁止状態がロックダウンです。カナダは、11月からスタートして、いまだにロックダウン状態が続いています。
 Vancouverの状況を例に出しますが、去年のクリスマス以前から居住者以外と会うことは禁止されました。家族であっても、実家を離れて住んでいる息子や娘たちは、親の家に立ち入ることは禁止されました。原則、友人たちと会食をすることも禁止になり、それが警察や役所の人間に見つかった場合には、罰金刑になる法律(条令)まで通りました。それに加えて、自家用車にも原則同居人以外の人を乗せることは禁止されました。業務用の車は、他人を載せることは出来ますが、タクシーやUberは同居人以外の人を乗客として乗せることは禁止になりました。(同居していない、親や子や孫でも同車することは禁止になりました。)どのように調べるのか、飲酒の検問をするように警察官が道に立ち、乗車している人間のドライバーライセンスを見てチェックをして、違反をした人には罰金の書類を渡します。
 Vancouver以外の街は、レストランは原則テイクアウトだけです。Vancouverのレストラン状況は、収容数の50%しか来店できず、原則同居人以外との会食は禁止になっています。そして、感染になったときに追跡をするために、レストランでは個人の電話番号の開示が義務付けられています。どれだけ徹底しているかというと、感染者が出て経路にそのレストランが入っていた場合、保健所からその通達を受けて従業員とお客さんにPCR検査を義務の付けをしています。仮に、そのレストランの従業員やお客さんが陽性の場合には、自宅待機2週間が義務付けられて、2週間後にPCRの再検査が義務になっています。従業員が陽性で出た場合は、無条件で2週間の休業をさせられます。それぐらいに、人の行動を制限して徹底的に感染症対策をしています。
 蛇足ながら、去年のクリスマス状況をはなしますと、同居人以外の会食が出来ない法律が通ったことで、実質パーティ―の禁止になりました。それによって、去年のクリスマスは商業的に最悪の状況にあり、外食産業もホテルも酷い年でありました。当初は、誰もが家族や気心が知れた仲間と抑圧から解放され、クリスマスで発散が出来ると思っていた人が多かったと思います。2020年のはけ口を、クリスマスで気持ちの転換ができると思い、誰しもが我慢をして自粛をしていました。11月に緊急事態が発令されたことで、誰もが淡い期待が一瞬に消えてしまい絶望感に変わってしまいました。クリスマスと言うと日本でも海外でも商業的な購買力が上がり、景気循環の重要な季節です。それがほとんど出来ずに、経済活動は終わってしまいました。そして、キリスト文化圏では1年で一番楽しみにしている時期で、家族と一緒に過ごす宗教的な儀式の日でもあります。
 家族や友人と団らんも出来なければ、プレゼント交換も出来ない状況になってしまい、多くの人たちが失望と無念のクリスマスだったと思います。その閉塞した社会は、いまだに続いています。ロックダウンの場所は、買い物以外は原則外出禁止の状態になっています。自由な空間にいながら、刑務所の中にいるような規制の生活を徹底して行われています。その状況の中で、経済復興と人の心のケアーを含めた社会復興が、春先以降から出来るとは思ってはいません。すべての人の人生が壊れてしまい、経済的な不安と見通しのない生活に我慢しながら、どうにか社会を回しています。その状況の中で、日本の都心部の駅や電車の状況を世界の人が見たら驚くという意味が解ると思います。

 

<下駄履き経済から実質経済>

 いま、カナダは徹底した財政出動で庶民の生活を担保しています。レストランなどの外食産業や店舗経営者には、人件費の75%の費用が補助されています。4人働いていたら、1人分の人件費しかかからない状態で経営をしています。言うなれば、利益を度外視した公務員的な経営と市場が社会主義状態になっています。当然、店側も人員削減もしながら、どうにか経営をしていますが、それでもバタバタと店はつぶれていっています。当初は、その助成金も去年の8月末までと言われていました。しかし、現状が厳しいのをカナダ政府は察し1ヶ月伸ばし9月末までとしていましたが、延長の延長を繰り返し今日まで続いています。
 北米の経済は、ガタガタの状態になっています。なぜなら、これから始まる確定申告と固定資産税の申告があるので、支払いをどうやってするのかが注目されています。前回報告しましたが、3~9月にかけて政府は収入が減った人に対して、1ヶ月$2000の助成金をバラ巻きました。しかし、その金額は所得として換算されるので、この確定申告で助成金が所得の対象になり所得税として支払うことになります。果たして、貯蓄する文化を持たない人種はどのようにして支払うのか? 日本人以外の民族は、貯蓄していないので支払いが出来ないと見ています。そうなると、国に借金をするかたちになり、支払いを伸ばせば伸ばすほど利息は高くなっていきます。

 この図は、どこにも共通することだと思いますが、Vancouverの事例を出しながらいまの経済状況を簡単に書きたいと思います。そもそも、Vancouverという街は自立した産業が無く外貨に依存した経済システムに成っています。図でもわかるように、大きな収入源は移民・留学生・観光客で成り立っている経済です。移民と言っても、出稼ぎで来るのではなく近年は富裕層の移民が増えています。彼らは、まず不動産投資と起業をするので、莫大なお金が落ちるシステムになっています。そして、人口が増えるということは納税にもつながり、生活品などの需要が増えるので街も潤う経済になっています。移民や留学生に付随した主要産業と言えば、語学学校や不動産や保険や弁護士や税理士などの額が大きいサービスが、街の基幹産業になっています。車を購入となれば、ディーラーや整備士にもつながり社会インフラに付随する産業にも繋がっていきます。
 ちょっと、話しは変わりますが、「日本の町おこし」と比較しながら経済循環ついて考えてみました。日本で、過疎の町や人の出入り(移住)が少ない町は、住民完結の経済循環になっているので、小さなお金しか回らない構造になっています。次の世代が移住するなどして、大きな買い物がないと資本(不動産や仕事量)の金額が動かない停滞した経済循環になってしまいます。それが、いま日本の経済低迷の構造になっているのかもしれません。
 その点から見ると、Vancouverという街は留学生と移民の出入りによって、街が努力をしなくても自然に資本の流動化が起こる経済構造になっています。
 その経済構造を車で例えると、非常に簡単な構造になっています。前輪が、お金を落とす消費者だとすると。後輪は、街の経済を回す機動力である産業(供給者)になります。毎年、留学生や移民が移住して黙っていてもお金が動く地域経済の循環になっています。需要元(消費者)がその街で、お金を作らなくてもいいので、常に外貨が入ってくる特殊な経済構造になっています。それによって、付加価値の高い仕事が出来る社会インフラになっています。今回、国境封鎖になり移民や留学生や観光客が来なくなったことで、後輪である動力の産業が動かなくなってしまいました。これによって、Vancouver経済はタイヤがパンクしている状態になり、前に進むことができなくなってしまいました。これが、経済低迷の大きな原因です。

 機能しなくなった経済循環を、国や地方自治体がお金をバラ巻き街の経済活動を止めないようにしています。次の図は、前輪が庶民(消費者)の生活で、後輪は経済循環の動力である産業(仕事)です。前輪は、補助金や失業保険などで庶民の生活を支え、後輪は雇用調整金と企業の助成金で車を走らせています。いま一番の問題は、国や地方自治体からの支えで回っている状況になっていることです。そして、助成金や補助金が無くなったときに、実質経済はどのようになるのか? いまは、どこの国も地域経済も身の丈にあった経済ではなく、下駄を履いた実態(財政出動によって)で社会を回しています。財政出動を前輪から止めるのか、後輪から止めるのか、同時にとめるのか? どのように止めるかによって経済復興が上手く進むのか、時間をかけることになるのか、各国の首脳は悩み苦しんでいるところだと思います。
 どこから実質経済に戻していくのか? そのプロセスだと思っています。各国の都市は、人口数や地場産業が在るか無いかで、各々が違うプロセスで産業復興がはじまろうとしています。少なくても地場産業のない街は、前輪から駆動して街づくりになると思います。地元経済の動力が活性化して経済を立て直すのではなく、外部からの資本を入れて、潤うことによって動力(産業)に流れる不思議な経済循環を作っていきます。この復興プロセスは、観光産業や外貨流入を経済動力にしている観光地や避暑地型やタックス・ヘブンの街の経済復興の形になります。それらの街は、国境が開いたと同時に経済復興が進むと見ています。その代表である、ハワイやモナコやVancouverなどの街から実質経済に戻ると見ています。当然、人口比もあればワクチン接種者の数にも関係しますが、どの街が一番早く実質経済に戻すのかで、民族生存競争にもつながる話しになると思っています。

 

<2021~2022年は、世界経済に一瞬の空白が出来る>

 いま、世界のどの地域も経済が壊れてしまいました。それをどのように修復をしていくのか? これまでも書きましたが、日本も深刻ですが他の国はさらに深刻な状況です。多くの事業が、倒産し仕事を失う人たちが大量に出ています。ある意味、世界の都市はすべてゼロベースになりリセットの状態になっています。その状況を、マイナスとするのかプラスとするのかで、その人の人生観とモチベーションが大きく変わってきます。どの街も人が住んでいる以上、必ず事業や産業が立ち上がり社会は復興していくという将来の図はあります。そのとき、何の事業を立ち上げ、どの産業が復興をしていくのか、日本人はグローバルの観点から注視する必要があると思っています。
 私は、海外に居て他人種と生活をして感じることは、このような苦境なときこそ街を設計して、立て直すことが得意なのは日本人だと思っています。それは、災害や震災などで街が崩壊し幾度となく街を立て直して、そのプロセスを持っているのが日本民族だからです。そのDNAを自分たちが認識すれば、自ずと今回の状況はプラスに捉えて考えることができます。
 Vancouverをひとつの例として話しますが、この街は外貨が入ってくる経済構造になっています。国境が開いたら、必ず景気が回復する構造になっています。そして、日常の社会インフラと経済インフラ(日常品消耗・外食・美容・理容などのサービス業)の動力に伝わり景気が回復していきます。日本の中でも類似している町で言えば、田園調布や芦屋のような富裕層の町に近いのかもしれません。これらの町は、世の中が不況になってもキャッシュが回る経済構造になっています。
 いまは、倒産する企業は多く町は冷え込んでいます。しかし、街の復興は他の街に比べて早く、いま倒産している事業が必ず元にもどります。そのときに、現金を持っている民族がその空白の経済空間に、入り込み起業をしてきます。私の見立ては、<日本人が何もしなかった場合>中国系・韓国系が日本の事業コンテンツを使って、起業して地域に根付いた経済基盤を作っていくでしょう。いままでの経緯を見ても、Vancouverの外食産業や美容産業はすべて日本のモデルを使って、外国人が起業して利益を出しています。前回にも書きましたが、Vancouver市のすし屋はほとんどが他人種で、日本のすし屋の経営者がいないという現実にあります。最近、得た一例で韓国人経営のすし屋の話しをします。コロナ前の状況ですが、ショッピングモールでテイクアウトの寿司と弁当だけを売っていたセルフサービスの店ですが、1日の売り上げが1万カナダドル(単純な為替から見ると80万円ですが、物価からすると100万円に相当します。)を売るビジネスをしていました。その彼は、移民で韓国から来て起業しました。以前は、韓国で歯医者をしていたそうです。そのようにして、幾つも日本人のコンテンツビジネスが他人種によって、彼らが稼ぐ状況になっています。
 ここに、多くの日本人は気づくべきです。日本国内は、コロナ後日常生活が戻ったとしてもデフレ構造の脱却にはいかないと思います。なぜなら、庶民の収入が減ることで、さらにデフレ構造が進み給料が上がらない社会構造が続くからです。日本社会は、コロナからの脱却とデフレ構造の脱却を同時に2つなしとげることはありません。それは日本の産業構造の大きな問題で、飽和した飲食産業や理容美容の世界の収入を見ていれば、その意味がわかります。その状況が続けば、若い世代はさらに貧困と希望のない日本社会に、不信を抱き民族意識も持てなくなります。それを変える機会は、国外に出て外貨を稼ぐという発想に変えるしかないと思っています。
 今回注目することは。必ず2021~22年の間に、一瞬だけ北米の主要都市に隙間が空きます。そのときに、日本人がその隙間に入り込まなければ、韓国系・中国系の人たちが日本のコンテンツで事業を展開して、また日本人は機会を逃し民族としての貧困格差がさらに広がっていくでしょう。
 いま一番の日本の問題は、給料のデフレがなぜ起きているのかを日本人は明確にわかっていないことです。経済評論家などは、諸説の経済政策や日銀や国を批判していますが、庶民の生活においてはどうでもいいことです。それよりも、世界の賃金と日本の賃金を見て、その格差を感じることが大切だと思っています。「同じ技術と同じ労働時間で、なぜここまで収入が違うのか?」その現実を見るべきです。国の政策や日本の景気復興を待っていたら、たった一度しかない人生を棒にふることになります。技術さえあれば、その技術をどこで活かそうか個人の意思で決められます。これからの日本人の生き方は、国の構造改革を待つのではなく、庶民一人一人の意識と技術で世界に出て、日本社会を変えていくことだと思います。国に責任をぶつけても、何も解決をしません。他人や国に委ねるのではなく、真の自立した民族観を持つことです。それが、次世代に残す大道だと思っています。