コロナ後の日本の姿  Ⅰ
―世界秩序の再編―

 2020年は、一瞬にして世界を変えてしまった年でした。武器を持った殺し合いではなく、新しい戦争状態になってしまいました。国境を封鎖し人の移動制限をして、鎖国状態を作り自国の経済保護と相互不干渉が世界同時におこりました。
 これによって、いままで提唱していたグローバル経済からローカル経済に一変してしまい、ブロック経済に似た世界を一瞬にして作り上げてしまいました。グローバル社会によって経済が成立していたものが、すべて壊れてしまい景気低迷と大量の失業者も作ってしまいました。それに加えて、感染症による多くの死亡者を出し、恐怖と不安が閉塞社会にもつながっていきました。ある意味で、新しい戦争の幕開けと言っても過言ではない時代に入ってしまいました。
 2021年からワクチン接種がはじまったことで、武漢ウィルスは収束に向かっていますが、収束後の世界はどのような体制になっていくのか世界は注視し、誰がはじめに旗振りをするのかをジッと凝視しています。
 まる1年まともな経済活動をしていない状況において、各国の経済は昏迷状態になり、失業問題と社会不安は、さらに深刻になり世界は崖っぷちに立っています。経済不安による国民感情は、いつ爆発してもおかしくない状態になっています。いまは、武漢熱の恐怖から身動きが取れず鎮静化に躍起になっていますが、国民感情がどの時点で爆発しどこに向けられるのか、いまは水面下で探りを入れながら状況を伺っています。
 私が見ている限り、北米やヨーロッパの沈黙は2021年のある時期から豹変すると見ています。各国は、財政出動などで国民感情の矛先を煙に巻いていますが、自国経済を壊された憎しみと恨みは、国内の内政で解決できる状況ではなくなっています。どこかの国が、問題の矛先を中国に向けたときに、中国への責任追及と報復する方向に動いていくと見ています。さすがに、いまの状況では巨大化した中国にそれを言える国はどこもありません。一国では対峙できないので、世界の雰囲気が変わったとたんに、国際情勢は感染戦争からマネー戦争に変わっていきます。いまは、すべての状況が断片的で全容がつかめないので、どの国も大人しく様子を伺っています。2021年から世界は、感染症責任とマネーによる賠償のマネー戦争の争奪戦がはじまると見ています。
 ほとんどの国は、景気低迷や失業者問題は山積して財政出動だけでは、解決できない状態になっています。少なくても夏までに、半分ぐらいの景気回復や情勢復帰が出来なければ、国民感情のコントロールができず経済破綻と治安崩壊がはじまり、国家崩壊するところがいくつも出てきます。この半年は、国家の存亡にかけた民族の生存競争がはじまります。

 

<段階的な再編>

 日本だけではなく世界各地で、経済や人間関係を壊し平穏な社会を奪ってしまいました。その社会の崩壊が、個人の精神を壊し人間関係をも壊していきました。この壊れた世界をどのように修復していくのか? 壊れてしまった人間関係や家庭環境の崩壊を、国家の力で治癒することはできません。武漢熱によって良心や平常な精神が崩れ、怨念と憎しみに変わった負のエネルギーは、各地域で同時多発的に起こっています。この不安定な世界情勢を、誰が解決の道を作り次の時代につなげていくのか、現代人の英知が問われています。いままでは、各国が財政出動という形で自国民の生活を扶助してきました。しかし、2021年は各国の国民に自助を突き付けて経済復興をしていきます。(具体的に言えば、去年までは国民感情を政府が吸収をしてきましたが、今年は国民に自立と解決を個人に求める時代に変わります。)
 そのときに、一人一人の生き方が問われていきます。どこまで過去に引きずられない生き方をしていくのか。各国のトップは、次の方向と未来の図をいまだに示していません。この鬱積した状況を打破する新しい世界を打ち出さない限り、この現状は克服できないと思っています。その時代を読めない人から倒れていき、自立出来ない地域や国から壊れていくでしょう。
 先進国だからと言って、いままでと同じ生活が出来る時代ではありません。西側諸国でも沈んでいく国は、幾つもあると思います。今回、社会復興ができる国は、国家観を持っている国と基礎経済と社会インフラの基盤を持っている数カ国しか、闇から抜け出せないと見ています。内政をコントロールできない国から、チャイナ・マネーの餌食になり国家が崩壊していきます。2021年は、西側諸国にその大きな流れが対中政策とマネー戦争という形で、以下のシナリオになって世界の再編がはじまると見ています。

 私は、これからの世界は、2つの大きな編成から世界地図が大きく変わると見ています。それは、段階的に2つの大きな再編から、次世代に移行していくはずです。

1.民主主義     対 一党独裁主義 
 自由主義経済   対 共産主義経済
 欧州・北米・日本 対 中国 
2.同盟(経済圏)の経済対立 (ブロック経済or 地域内経済保護政策)
 ヨーロッパ経済圏  対  北米経済圏  対  日本

 武漢熱後にはじまる対立軸は、中国の国際ルールのカオス化と世界秩序を壊した責任を西側諸国が、必ず追及をしていきます。どのような形でするか解りませんが、「賠償責任の追及」なのか「中国自身で共産党解体」をさせるのか、いずれの方法で中国の覇権勢力を弱小化の方向に世界は動いていきます。あまりにも不透明なチャイナ・マネーと軍事力は、世界にとって脅威と平和秩序の破滅に繋がり、この武漢熱でも証明されました。民主主義陣営は、ルールと法に基づいた世界秩序の回復に全力を尽くし自由経済の復興をすすめていきます。
 そのときに、日本はどの陣営で自分たちの国益を守っていくのかが問われていきます。日本は、アジアの民主主義陣営の代表であり、自由主義経済をけん引してきた大国です。中国の覇権によって、苦しめられているアジアの小国やオセアニアの各国は日本の姿勢を見ています。仮に、間違って中国の独裁政権について世界の構築をしたときには、かつての第二次大戦中のドイツと同盟を結んだ時と同じ結果になり、最悪なシナリオになっていきます。そのときには、2段階目の再編まで行かず、日本は分断化され他民族の属国になっていくでしょう。過去にドイツが2分されたように、日本の国の中に幾つもの自治区が出来て、民族の分断化と他民族の分割統治がはじまるでしょう。
 いま政治屋や財界人は、中国に歩み寄った政策ばかりを出していますが、日本の国益になっているのか検証する時期にきています。経団連をはじめ、中国に依存する経済体質は本当に日本人に利益が出る体制になっているのか、国家機関と研究機関は政治面と経済面からデータに基づいたレポートを出すべきです。平成に入り日本の製造業は、中国へ生産拠点を移し、国内に大きな空洞化を作ってきました。
 中国に生産拠点を移したことで、国家としての経済力が弱くなり産業の弱体化は、日本人の低賃金体制を作ってデフレ構造を作ってしまいました。日本の政治は、経世会から受け継ぐ親中派が幅を利かし、日本の内政からその現実に取り組むことを避けてきました。経団連と親中派の議員が、いまの日本の形を作ったと言っても過言ではありません。日本人自身が、自分の体にメスを入れていかないとチャイナ・マネーの汚染から脱することは出来ません。

 

<北米の中国マネーの不透明さ>

 4年前に北米は、トランプ政権になり大きく舵を切りました。多くの人は、トランプ氏の真意を理解していませんが、アメリカ国家が大きな指針を出し、チャイナ・マネーの断絶と法と秩序による国際ルールを中国に突き付けました。いま、北米社会の景気の実態は、中国人とチャイナ・マネーの流入で外貨が増えて好景気になりましたが、西海岸の高級不動産は中国人によって買われ、中国依存の地元経済になってしまいました。それにより、不動産価格の高騰とバブル経済を作ってしまい、外貨を持ち込んだ人が潤う経済体質を作り、地元住民の生活は壊れ地域経済の循環(地元の子が、地価高騰によって地元に住めない状況になっている)もこわしてしまいました。中国人の投資は、白人や日本人が考えている投資とはまったく違います。民族大移動と合法的な侵略になっています。
 中国の金融システムの不透明さは、10年前から懸念されてカナダ政府も注視していました。市中(Vancouver)には、中国人が増え高級住宅地の買い占め、投資目的での不動産売買が横行し住宅が足りない状況になってしまいました。(住まない住宅を買い。半年や1年で転売をしてキャピタル・ゲインで利益を産む土地転がしのビジネスがはじまりました。それに連ねて、白人も不動産投資をはじめましたが、本土から来る中国人の額はけた違いでVancouverの住民の投資額では敵いませんでした。彼らは合法的な形で、現地の資金調達をして、不動産のマネーゲームをはじめました。売った側には、所得税の税金がかからないので無職の人間が、半年で5000万や1億を手にして税金を納めない事態にもなってしまいました。普通に労働者として所得税を払った場合には、40~50%の税金を納めることになりますが、中国人が来たことによって無職で無税という社会構造をつくり変えてしまいました。) 外国人の流入によって、外貨の出所が不透明であり中国マネーの異常さが目に見えるようになり、白人社会も懸念するようになりました。ある事案は、高級リゾート地の買収が明るみに出て、後ろに中国共産党の出先法人が発覚し、カナダ政府は買収差し止めに入りました。
 いま、中国人による不動産買収は日本国内だけの問題でなく、世界の各地域で起こっています。さらに深刻なのは、マネーと人が現地に入り地元経済を壊し中国人にしか回らない経済循環にして、他人種にはお金が流れない仕組みを作っていることです。トランプ政権が出てこなければ、西海海岸のほとんどの主要都市は、中国人の属国の街になりチャイナ・マネーでないと機能しない都市になっていたでしょう。(次回に、華僑の街づくりについて書きます。)
 トランプ大統領の出現によって、中国マネーを北米に流入させない政策を打ちだし、北米社会は大きく変わりました。カナダでも、外国人による不動産投資の規制と外国人の固定資産税の増税を法として施行し、チャイナ・マネーの仕組みを壊す方向に動き始めました。さらに、Huawei(ファーウェイ)の副会長の孟 晩舟氏の逮捕で、北米社会の方向を明確に示しました。5G の技術的な利権の問題も大きいですが、中国人に対しての「アンダー・マネーの規制をする」という大きなメッセージになりました。あの逮捕劇で、北米の裸官(共産党幹部が、家族や愛人を海外に住ませ資本を海外に飛ばす人たち)のマネーで生活している人たちに、激震が走ったのは間違いありません。それ以降、以前のような不動産の爆買いはしなくなりました。
 さらに中国の国際ビジネスの不透明さは、お金の流入だけではありません。外国人が中国に投資して、中国国内で利益を得たお金を海外に出すことが出来ません。海外に出すときには、中国人のバイヤーを介しアンダー・マネーとして現金化するしかない現実があります。私の知人も中国に投資でレストランを出しましたが、自分のお金を中国から持ち出すことも出来ずに、ほとんど闇に消えてしまいました。カナダ人が起きていることは、日本企業でも同じことをされていると見ています。中国経済の大きな闇は、正当な経済活動をして利益を出しても、海外に送金出来ないという大きな問題があります。(蛇足ですが数年前に、日本の某ユンボメーカーで働いていた中国人から聞いた話しですが。中国に進出した某メーカーは、はじめは直営の支社として開業しました。しかし、送金がまともに出来ないことが解り、数年経って企業としては撤退して、中国人バイヤーに委任委託して中国法人から販売とメンテナンスをする方向に変えました。その彼は、いまは現地の社長としてユンボを販売しているとのことです。)
 さすがに、アメリカをはじめ英連邦国(カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)はその事実に気づき、数年から不当なチャイナ・マネーの没収と摘発を強化しています。
 これらの経緯を見てもコロナ後は、各地域でチャイナ・マネーをターゲットにしたマネー戦争がはじまります。その対立構造は、中国人対白人陣営(白人社会は、複雑で単体で見ることができません。幾つもの民族対立と利権でなりたっているので、一筋縄では括れません。ただし、今回は総称として白人陣営として使います。)の戦いが白人社会の法と秩序によって、マネーロンダリングや不透明なお金を炙り出し、白人社会の法によって中国マネーを没収していくことを西側陣営はしていきます。
 この半年以内に、海外に所有している中国共産党の幹部連中の資産や不動産を公開して、中国共産党の内部から分断と中国本土で人民が分断するように、西側陣営の工作活動をはじめていくでしょう。裸官の実態を中国本土に流し、地方の経済格差や不満を煽り中国の分断化をさせて、中国国内の混乱と暴動を意図的にさせていくことで、いまアメリカ本土で起きている内部分裂を、中国にも同じような手で国家の分断につなげ、中国の弱体化と共産党の破滅に追い込んでいくでしょう。

 その状況の中で、日本はどのような立ち位置で世界と向き合っていくのか? 2021年は、国家として国内産業を活性化する方針と中国依存体質から脱する必要があると見ています。経済界・政治から親中派の人間を炙り出し、中国外交に対しての意見と将来性を明確にしてもらう必要があると思います。その上で、国家として冷静かつ客観的に現状を捉え、日本の将来に向けた指針を示すべきです。中国依存型の経済体質を脱すれば、政治的な局面で対中国網を明確に出すことができます。中国との距離を取り、経済的な自立と新しい産業を日本独自に作ることで、日本の未来につながる国づくりがはじまると思います。

 2段階目の国際情勢は、自由経済圏での経済競争にどのように立ち振る舞いをしていくのか? 日本の国策が問われていると思います。2020年までの日本は、大企業を中心とした産業が外貨を獲得して日本経済を引っ張ってきました。しかし、平成の後半から電気製品の低迷や自動車産業の先細りは、日本経済を弱体化させて、国力の低下と民族の貧弱化にも繋がっていきました。その状況の中で、日本人が誇りをもって労働と「もの作りの国」を作ることが出来るのかが、2段階目の大きな課題になっていきます。実は、日本人が気づいていない自由経済圏での日本の産業について、幾つもの隙間があり日本人がそこに参入していない実態があります。バブル経済以降の日本は、内向きになり海外の進出を辞めてしまいました。それによって、海外で仕事をする若い人たちが減っていき、いま海外で日本人の労働を必要とする人が増えている現状があります。ここに、大きな市場が転がっています。中国市場を捨てても、他国に技術と人材の分散化をすることで、中国に依存をしなくてもいい経済循環を作ることができます。北米も日本人にとっては、大きな隙間が空いている労働市場です。そこに向けて、世界と立ち向かう人材を育てるプログラムを作るべきです。

 「中国の弱体化」か「共産党の崩壊」が始まれば、次に来る再編は、西側諸国の三つ巴になっていきます。そのときに、必ず市場の拠点を抑えておく必要があります。それは、ヨーロッパ諸国ではありません。以前にも話しましたが、ノースアメリカは「屋台国家」です。民族という縄張りと民族の既得権で、経済と社会が錯綜する空間になっていて、(民族)屋台の集合体がアメリカという国家です。その国家で、民族の主張と国際政治・経済をしているのがアメリカです。バブル後の日本は、この大陸と距離を取って国づくりをしていきました。属国として忠実に従い民族の主張を封印してきました。それによって、日系社会は小さな灯になってしまいました。日本人の減少と経済力の低迷は、民族生存競争でも力の弱い民族になってしまいました。
 いまこそ、日本国内で飽和している日本人の労働力や技術を海外に進出させて、勤労文化を開花させる時期に来ていると思います。いま必要なのは、日本人が持っている「勤労文化」「勤勉文化」の精神を育む場所を復活させることです。
 このコロナが収束しても、日本国内で大きな産業構造改革は出来ないと思っています。昭和・平成に作り上げてきた価値観をゼロにして、作り変えることは難しいからです。いま、ネット世界や一般の評論家は、IT化やテレワークなどのことばかりを言っていますが、果たしてそれが日本の本当の労働改革に繋がっていくのでしょうか。学歴社会とサラリーマン社会の根深い社会構造を、否定することは現実的に不可能だからです。時間をお金に変える仕組みが、個人対現場(仕事)に変わったことで多くの産業が行き詰っています。(今までは、個人対帰属(会社・組織)することが仕事だった。日本の産業構造の問題は、次の回に教育問題と一緒に書きます。)
 私が長年言ってきた「日本のこれからの姿」は、世界に日本の「労働価値観(誇りをもって仕事をする精神)」を広げることだと思っています。この数年のうちに、北米に移住をして日本人の人口を増やすことと同時に、日本人の産業を作ることが急務だと思っています。日本国内で、切磋琢磨して作り上げた庶民の仕事を北米に進出して勤労という文化で戦う時代に入りました。
 1つの例ですが、外食産業の日本のレベルは世界トップクラスです。美味しさとサービスと洗練されたビジネスモデルは、どの民族も真似が出来ないレベルです。日本国内で、お互いがつぶし合いをするのではなく、海外に出て洗練されたビジネスモデルを日本人の手で、海外に輸出するべきです。いままでは、大手の外食産業がフランチャイルズという形で、外国人にノウハウとシステムを売って利鞘を手にしてきました。一部の企業は利益が出ても、基本は外国人に利益を渡してきたのがその仕組みです。直接日本の若い世代に投資して、日本人の手で世界に進出して国益にもつなげていくべきです。
 それは、外食産業だけでなく建築業界の現場で働く職人にも言えることです。ありとあらゆる産業が、日本から世界に進出する時代がはじまったと思います。(クリーニング屋1つ取っても、日本ほど丁寧で安くやっているところはありません。)いまの日本の産業構造では、人件費の削減をするためにIT社会と機械化をさらに進めて人員削減を進めていきます。日本という国は世界のどこよりも、サービス業の人口が多い国です。サービス業が一番進めているのは、IT化と人件費削減です。そのサービス業が、基幹産業になっている以上若い人たちが、その仕事で一生食べていくのは厳しいと思います。
 次世代につなげる世界は、若い人たちに経済的な自立と独立して生きる意思を持たせることだと思っています。いまの日本社会の問題は、仕事に誇りが持てず勤労文化を否定され、人の希望を育てる土壌が無いことです。自分たちの民族の価値を知るためには、世界に出て働くことによって理解できます。そして、苦しみながら身に付けた技術は、環境を変えて他民族と労働をすることで、その意味が解り生きる希望にも繋がってきます。
 2021年は、日本にとっても面白い時代がはじまります。そして、日本の勤労精神を背負っていけば、世界の三つ巴の再編でも日本人の存在は圧倒的なものになり、世界の中心に日本民族が出る時代になるでしょう。