壊れかけのモニター

「パソコン上で確認するからデータを見せてみて。」

「実は、モニターに電源が入らなくなってしまって、今、このパソコン、使えないのです。モニターを買い直しますから、こちらのパソコンで確認していただけますか。」

仕事で使っているパソコンの1台には、ワイド画面モニターが主流になる前のかなり古いモニターをつないでいるのだが、イコンシールとはじめて出会った時に、ワクワクしながら古いモニターが繋がっている古いパソコンの方に中型のライトシールを貼ってみた。パソコンの起動が早くなったのにも驚いたが、前面にあるスイッチが効かなくなっていたため、裏面の主電源で電源のオンオフをしていたモニターが、前面スイッチでオンオフができるようになったのにも、かなり驚いた。

それから、数か月経って、とうとうモニターの電源が入らなくなってしまったのだ。
少し新しい方のパソコンに付け替えたりしてみたものの、電源は入らない。
仕事にならないので、その日は諦めて帰った。

次の日の朝、ふと、モニターにシール貼ってないかも・・・と気付いた。
出社して直ぐに確認すると、モニターにはシールを貼っていなかったのだ。パソコンに貼っていたので、てっきり貼ったものと思い込んでいた。モニターは小さいからこれでいいかと、小型のライトシールを貼って、コマンドを入力してトントンと指先で振動を与えてみた。
そして、パチンと主電源を入れてみると・・・

ブ~ン

「ギャー、奇跡や!」

線が抜けてないかと指し直したり、スイッチをパチパチ入れてみたり、モニター自体をたたいたり、と思いつく限りのことをしたのに、うんともすんとも言わなかったモニターが、ついたのだ。

その場には、私ひとり。
あ~誰か居てくれたら、証人になってもらえたのに・・・。イコンシールの威力の・・・。
とは思ったが、つかなかったモニターがついたのだから、後で見せればいいかと得心して、証人が来るのを待った。

「ちょっと見てみて。モニターがついたよ!」

モニターがつくまでの顛末を話してみたものの、実際に目の前で見ていないので、『へぇーすごいなぁ』という緩い反応しか得られなかった。
まあ、仕方ないかと、その日は、快適に仕事を熟して帰った。

翌日、早くに出社した証人から、またモニターが付かないという連絡を受けた。
出社して、パチパチやってみたが、つかなくなってしまっていた。
やっぱり、古いから、シールを貼っても1日しかもたなかったか、と思いながら、もう一度、コマンドを入れて、シールの上をコツコツたたいて、スイッチオンしてみた。

・・・

ブ・・・~・・・ン

「ギャー、ついた!」

昨日は、スイッチオンと同時に、パッとついたモニターが、今日は、二人の目の前で、3秒くらい間があいて、じわじわと点灯していった。

「なー!ついたやろ!」

証人にも昨日の私の感動が伝わったようだ。

「ということで、一度壊れたモニターが、復活したのです。ちょっと性能が良くなるくらいだと思っていたので、まさか、壊れたものまで直るなんて思いもしませんでした。そんな効果があるなら、300円なんて安いものですね。」

「君ねぇ。」