節分を前に

ずっと前、何気に図書館へ行くと、図書館の古書の放出があった。一人20冊までで、児童書を中心にちゃっかりタダいただいて、「なるほど、書庫の本はこうして淘汰されるんだ」と納得した。
なかなか読めなかったが、そのうちの何冊かは面白く、最後の二冊に、「床下の古い時計」洋物と和物「屋根裏部屋の秘密」があった。
「床下の古い時計」は、古い時計だから、母親の少女時代にタイムトラベルして、母の気もちがわかり、仲良しになる物語。
「屋根裏部屋の秘密」は、児童文学なのに、いや児童文学だからなのか、実は、孫娘がリスペクトしていた爺ちゃんが731部隊の張本人で、別荘などの富は、そのおかげだと知る話だった。遺言で、「段ボールの資料は燃やすな」とある。
テレビで一度見たことはあるけど、実のところ、私が知り得た一番詳しい情報だった。
その人体実験のデータを、アメリカに差しだして、罪は免れて(A級戦犯とはならずに.つまり、戦犯の基準が、歪んでいるのですが)富を得たらしい、かかわった人は、棺桶まで秘密を持って行く。少し明るみに出たのが、帝銀事件かなと少し思う。
ところが、その運転手をしていた人と松谷さんと出会ったのだ。
その本によると、それがベトナムとかのナパーム弾につながったらしい。
しかも、ナパーム弾によって、生まれた写真を私は20代に、写真雑誌で見たことがあって、鏡餅のような顔の赤ちゃんが脳裏に焼き付いている。
もしも、データを隠しおおせて罪に服したら、未来はどうなっていたかと想像してみる。

静岡の島田に、多くの科学者や、物理学者が、集まって地上からB29を打ち落とそうと『殺人光線』を開発していた。そのデータは、あちらには渡らなかったと記憶している。道路を作る時に、その建物跡がでてきたというので、テレビでやっていた。
どんなに残酷な話でも、知ってよかったと思っている。

著者は、松谷みよ子さんで、挿絵は司修さん。実はご両人ともお見かけしたことがある。
松谷さんは、講演をなさっていて、遠くの方から「あの人が、そうか」と思っただけ…。
司さんは、私の持っていた大江光さんのCDが、たまたま司さんの絵だったので、サインをお頼みした。とんだミーハーだった。女性向けの講演もやられていて、ホテルでカンヅメになって、原稿を書かれるということで、寝る時は、睡眠薬でしっかり寝る。食事の時間が来ても起きて来ないということで、仲居さんがあわてていた。

今回のジャーナリストの後藤さんのことは、無情の刃が向けられて、善人だから助かるという相手ではないことを改めて知らされた。
何かの予言でヨーロッパを覆う、怖ろしい悪の正体は、金融がらみの『EUか?』と想像していたが、『イス○ム国』のことだったのかと一人思った。
奇しくも20年前、何の罪もない自国民を痛めつける理不尽なテロが、日本で起こった。
居場所のない若者たちの心を操って、捻じれた正義を叫ぶ。ポアも聖戦も似ている。

本当の正義とは、故やなせたかし氏のいう「飢えた人には、食べものを与える」心根だ。
そして、永遠の命とは、「後藤健二、あなたの名前は忘れません」とされた人に与えられるのだと、しみじみ思うのです。

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