自分実体 2

ここのうちの北側隣接には
おおきな白い
巨大客船が停泊しているようなイメージで集合住宅が建っている
何十年も前
父は近隣住民としてここの建設反対運動を率先した
建設反対運動の経緯として分厚いファイルが一冊できた
7階が建築予定だったが5階になった
和解した
父はすごいなーとおもった

この春から内的に事実関係がおおきく変化の兆しをみせてきたときの
その渦中とは

その北側隣接の住宅の人が
ピンポーンとやってきたことで
目に見える形で始まった

「あのー お宅 猫飼ってみえますか
常識をそなえ自分の名前を名乗ってからその人は語り始めた
「あのー ふん がくさくて ハエがきて とても困っているんですけど

北側隣接の一階住民のお庭で野良ちゃんが子どもを生んだ事実を知ったあと 母猫ちゃんが こちらへちょくちょく休息にやってきているのを
ごくごく自然な流れで受け入れていた

ここのうちには猫ちゃんにとって十分な地面がある
草がある
石がある
おいしい雨水がある

おいでおいで
いつでもおいで

という気持ちと

北側の巨大客船のような建物住民から威圧感を日に日に増大されていく中だったので

覚悟

のことだった

その人の言葉に耳を傾ける姿勢に誠意をこめた

「ボランティアのひとに引き取ってもらうか
こちらとしてもマンションの自治会に問題提起してもいいんですが
保健所にも電話しようかとも
・・・

どんどん どんどん 最終的な追い詰めの文言が加わっていった

裁かれているぞ自分

・・・

その人は
父の名前の表札を見
「おじいちゃん亡くなりましたよね おばーちゃんは?
あなた娘さんですか
おおきなおうちじゃないですか
・・・
たしかに子猫ちゃん かわいくて
「心なごむねー」と近所の人と言っているんですけどね

わたしはその場で聞く耳を誠実に保ちながら感じた
文言が変だなー

おおきなおうちに住んでいたらノラ猫ちゃんごときに心動かすことないのに

というニュアンスが頭の中を駆け回ったのだ

その人は帰り際「・・・たすけてください」と言い残した
解決策は
唯一の解決策は
誠心誠意さいごまでその人の言葉に耳を傾けたことだった

それから
前にもまして自分の心臓はパクパクパクパク震えっぱなしになった

裁かれた

北側建物から逃れられない場所でわたしは猫ちゃんたちのしあわせを願った

立派な母猫で 子どもに十分の栄養と気配りと安全を配慮していた

母猫 あめちゃんを見ると 「えらいねー」と声をかけた
そして
ここで排便してくれるよう頼んだ

そんなころの
in大阪SBMのときインストラクターさんから言われた
「お疲れですか
「はいショックなことがありまして、、、


わたしは猫ちゃんの「ネ」の字も口に出すのがこわかった

ワタシハ 裁カレタ

罪人の思いだった

SBMが始まりあと少しというとき
身体が震えた
上の歯と下の歯がガチガチした
両手両足バタバタしてきた
アドバイスどおり浄化と上昇の言葉は口からハッキリ出すことができた
ガチガチ
バタバタ
させながら

このときおもった
あれ?
インストラクターさんは
暴れる手足を押さえていないぞー
わたしの手足はこんなに暴れているのに

ドームで覆うように温かく暴れる手足をちゃんと知っていてくれているという空間の中 
「いつもわたし一人耐え忍んできた」という
こみ上げてくる思いに手足が連動してふるえるままになった

まもなくして
インストラクターさんが
「どうですか」と声を掛けてくれたときは
「うん もー だいじょーぶ」
と子供のような返答をした

「憑かれていたんですね
自分の心のありように呼応して
やってきたんだとおもいますよ

疲れていました
自分の身体なのに
サバカレタ
という言葉の意識体に
身体の一部を「賃貸」させてしまった

:びっくりした
いまヤフーニュースを見たら
河村市長と解体をめぐり平行線が続いていた
老舗元料理店が 火事に 建物全焼 未明のこと

めったにない古き良さをふんだんに持っていた建物が
紛争に決着をつけるかのように
消えてしまった

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