ダ・ビンチ展

その女性は、入って自己紹介をするなり、ダ・ビンチ展の話をされた。
ヌードのモナリザの絵画があることや、赤い衣のあっけらかんとしたマグダラのマリアの話。
「かわいい~」と言いながら、 店の棚にあるストラップを購入して、しばらく絵画談義に花が咲いた。
「伊東では、こんな話ができるとは、珍しい」
私も同感だった。
「静岡市の美術館なのか、遠いな~」
「でも、飛行機に乗ってあっちへ行くことを思えば…」
と鮮やかに去って行った。

ここには、なぜかキリスト系の人が目的を持ったように入って来るような気がする。
「ダビンチコードとかが大好きで。ダン・ブラウンの本、好きで読んでるんですよ」
「あれ、面白かったですね」
変な事件を抜けば、リアリティーのある小説だ。
「イエスの横の人物が女性のように見えるし、バチカンのピエタのマリアも十六歳の少女のようで」
「クリスチャンですか?」
「いいえ」
「私はクリスチャン系の学校へ行っていたから、分かるけど。どうしてそんなに詳しいの?」
「画家のライフワークが聖書の挿絵のようなもので、私はイラストがかわいいから、絵を見て行くうちに、文字もついでに目に入っちゃって」
と説明すると、納得してくれる。
その女性は、たまたまここを発見して入ってくれたのだ。
ショップを見つけては、紹介する仕事をしている県の職員だった。

登録制度があり、私もプッシュしますからと何度も言ってくれた。
「お宅のホームページも見せて貰いました。でも、県の頑張っている個店の登録には、残念ながら外れてしまいました」
と後日、男性の職員から電話があった。

まあ、がっかりしたけど、地震の観測計のように上がったり下がったりする私の心。夕方には浮き上がった。
「やっぱり、行って見ようかな」
私は、その展覧会のあることをそれまで知らなかった情報をわざわざ運んでくれたとしか思えなかった。それに十二月一日は私の誕生日でもあるから、自分へのプレゼントだ。

金曜に、知人と一緒にパンフを駅前で配る予定だったのを天気予報で、大雨なので中止にして行った。土日は、美術館は人が混むからだ。
一人で電車に飛び乗り、一時間四十五分移動して西へ、ちょうど東京の池袋のような感じでちょうどいい大きさの都会だった。
「東京に行かなくても済むぐらい、揃ってるんだって」
と伊東じゃあ、もっぱらの噂だ。
三階建ての本屋に、少し興奮気味の私。
昔、バルチェス展を観たが、彼の言葉を綴った本があった。最初、バスキアの絵を浮かべてたが、彼は短命だったと途中で気がついた。バルチェスは、純粋なまま長生きをして幸せに老いたのだった。その言葉が美しくてつい買ってしまった。絵とは祈りだと言う。
電車の中で読もうと一冊を入れたが、結局手に取って手放せなくなった本を購入して重くてはちきれそうなリュックを背負った。
ああ、私はこんな刺激が欲しかったのだなとわかった。

そして美術展へ。
ダ・ビンチの作品は少ないが、1400年代の昔なのに、彼の一流の弟子の色の鮮やかなこと。重厚だが、十分見応えがあった。微妙に違う数々のモナリザ。私のマグダラのマリアのイメージは、ドナッテロの木像だったのが、あどけなさの残るかわいい女性に変わった。

その時に限って、サロンに訪れた人からパンフの問い合わせの電話があった。その時、店主が楽しくしてれば、お客さんも来てくれるのではないかと思えた。本人が楽しければ、自然とコミュニケーションも楽しい。
静岡には、徳川家康という誇りが感じられる。話題のセノバも見学がてら訪れた。それほど大きくはないけど、最新のものがちゃんと揃えてある。情報の最新の発信源となれば、田舎だって訪れてくれると確信した。
そして、雨は一滴も降らないままに帰った。
ちょうど、帰る頃に旦那と合流できた。

☆☆☆

最近知り合ったカウンセラーの女性に、義姉のことを三回だけお頼みすることにした。
私もその後で、SBMをやるつもりで、オイルやセキオイルを持って行った。

義姉は、現在再婚している。幸せだが、前の死別した夫が忘れられないのだと言う。
一番気がかりなことから、色々喋って貰ったが。私よりも辛い思いをしていたし、先の見えない不安にさらされていた。幼い頃の悲しみで心がいっぱいいっぱいで、他人のことを思いやる余裕などないから、問題が多かったのだとわかった。

「まだまだ、混乱しているから、これから要る物と要らない物とちゃんと整理整頓しないとね」
去った家族を感じていられるからと、部屋には、昔の写真が四方に全面貼られている。
「見たら悲しいことを思い出すのなら、しまったらいいのに」と言ったら。
「今は、必要なのよ」
私もカウンセリングに興味津々、あと二回も同席させて貰うことにした。

結局、暗い思いの人間は、身体の中も光が差さない状態で冷たく、そこには、ゴミがたまり易いので身体が弱るのだ。実は最近、ふと読み直した本が、とってもタイムリーに意味がよく分かったのだ。
中国人女性の整体師の徐桂琴 著の「病気の正体」は、SBMの理論を裏付けしてくれる。
内臓の連携プレーの隙間には、エネルギーが通る。そこにゴミでつまるから排毒作用が重要だと指摘した、
私も暗い考え方をしていて、身体にずいぶん負担をかけて済まなかったなあと思う。
雑貨屋さんもそうだが、自分の面倒をセルフでなんとかしようとする風潮か、本屋に行くとそんなのが多くある。

本屋で、その本を手に取ると身体が温かくなる。これは買うべきと思えた。
天使のイラスト付き万年カレンダー。
贅沢したけど、店用のカレンダーにも使える。
目に栄養をもらって、 今度こそ、描けそうな気がする。!(^^)!

1 thought on “ダ・ビンチ展

  1. pekapeka 投稿作成者

    岩窟の聖母、ダビンチよりも美人なモナリザ、マグダラのマリア、
    上のは、もちろん展示されていないが、ポストカードは売っていた最後の晩餐。

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