アメリカ一強時代の終焉
―世界の秩序が変わる瞬間-

 今回のアメリカ大統領選は、いままでに見たことのない酷い選挙でした。北米も日本でも、バイデンが優位という報道を、大手メディアが流してきました。トランプ大統領を諸悪の権化として連日トランプ批判を流し、アメリカの民主主義を壊してしまいました。日本にとっては、他国のトップで自分たちに直接関係ないことと思っている人たちが多いと思います。しかし、今回の大統領選は、ある意味アメリカ社会の崩壊がはじまり、民主主義をけん引してきた大国が空中分解しようとしている状況になっていることには注視するべきです。
 今回の大統領選は、言論空間が封じ込められ、何が正当で真実なのかが見えなくなってしまった大統領選でした。この選挙でわかったことは、アメリカ自身が何を理念で国を作ってきたのか見失ってしまい、これから何を柱にして国づくりをしていくのか土台が無くなってしまいました。
 その1番大事なものを失ったのは、アメリカ文化の「正義のために堂々と戦う」というカーボーイ文化を自ら壊してしまいました。日本人からすると、「アメリカは工作活動や裏で何かをしている」イメージが強いのですが、大統領選という儀式は、正義のためなら正直に真正面から堂々と戦うというアメリカの精神があります。西部劇(一対一で、真正面から決闘)にでてくるような、カーボーイ精神社会がアメリカには残っています。その精神がない選挙に、「何の意味があるのか?」 アメリカの精神を否定した選挙に、自暴自棄になったアメリカ人が多く増え心の空洞化がはじまっています。この選挙は、どちらに転んでもアメリカの国民が分断されて、精神的に1つの国家単位でまとまることは出来ないと思います。日本では、「トランプかバイデンか?」どちらに成るかに注目されて、「評論家は、誰が当てるか?」など、宝くじレベルでしか捉えていませんが、アメリカ本土では、深刻な問題と建国精神が途絶えてしまいました。この選挙で見えてきたことは、アメリカ国民が信じてきた「アメリカの正義が終わってしまった。」という重大なことが隠れていることです。そして、注目するべきは多民族国家の「国づくり」の危うさが、ここにきて噴出したことです。今回の大統領選の背景には、大きなアメリカの闇が潜んでいます。
 その闇は、オバマ大統領が当選した時からはじまっていました。その当時のアメリカ国民は、黒人大統領になれば新しいアメリカになると信じていました。しかし、結果は何も変わらず期待と現実は、さらに溝を作ってしまいました。その間を埋めることが出来ない国づくりは、8年にも及びアメリカの闇がさらに深刻になっていきました。
 そんな状況の中で、何も変わらず国が動かないのであれば、「素人の俺がやる」といって出てきたのがトランプ氏でした。まったくの素人を国づくりの中心において、4年近く運営してきたのが、いまのアメリカという国でした。
その事実が、隣国のカナダからアメリカを見ると隠されていた実態がよく見えます。

 11月6日に、三徳オフィスの古いお客さんが久々に来店して、アメリカの実態について、面白いエピソードが聞けたので、そのときの話しをします。「一体アメリカで何がおきているのか?」と、「今後のカナダはどうなっていくのか?」という話題が中心になりました。
 その方は、ディベロッパーを生業にしてカナダのエネルギー資源の会社を持っている傍ら、世界各地を飛び回りヨーロッパと北米を比較しながらビジネスをしている方です。出身はオーストリアという背景を持ち、白人社会ではアウトサイダーに位置していので、メインの白人社会でない人だからこそ、非常に面白い話しになりました。(日本にいると、白人社会を1括りにしますが、白人社会にもいろいろな序列があり民族の対立があるので、日本人には微妙なニュアンスは伝わらないとおもいます。ただ、アングロサクソンの立場でないので、メインの白人社会とは違う立場で見ているので、アメリカという社会を客観的に見ている人です。)
 今回、その方は特別にUBCによばれて客員顧問として、「コロナの影響によって、カナダ経済がどのように成っていくのか」という意見交換をしてきたようです。UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学<日本で言うと京都大学的な大学です>)表には出ないアメリカ社会の真実の話しがでたので、その1部お話をします。

私:「いま、アメリカでは一体なにが起きているのですか? UBCのミーティングのときに、何がはなされたのですか?」
 「今回の大統領選は、コロナ問題が無かったら100%トランプ大統領がなっていた。コロナ問題を大統領のせいにしているけど、誰が大統領になっても防ぐことができなかった。」
私:「なんで共和党と民主党の立場が逆転してしまったのか? それと、なぜここまでアメリカは感染を止めることは出来なかったのか?」
 「その大きな問題は、不法滞在者の問題でアメリカ本土に、3000万人いると推定されている。今年の3~4月に、不法移民に検査を受けるように勧めたが、住所と電話を記入しなくてはいけないので、誰も受ける人が出てこなかった。水面下に潜ってしまって、行政ではコントロールできない状況になってしまった。ここから、感染が広がっていった。メディアやバイデンは、トランプのミスだと言っているけど、誰がやっても拡散は止めることは出来ない状況になっていた。それだけ、不法滞在者の問題は深刻で、カナダもコロナと不法滞在者をどうするのか課題になっている。」
私:「もう少し、具体的に教えてほしい。CNNなどは、大手のメディアは不法滞在者の感染のことは、ほとんどニュースに上がっていないのは、どうしてですか?」
 「今回の大統領選は、トランプ大統領に責任をかぶせてスタートをしてしまった。メディアから民主党までが、自分たちの党利達成のために、でたらめな情報を流していった。彼が、当選当時から不法移民を問題にしていたのは、アメリカ国民が職を奪われる問題と有事になったときに、どこまで国としてケアーをしなくてはいけないのか。人権という大きな壁に切り込み、アメリカ社会のグレーになっている世界に切り込んだ大統領だった。今回、その実態が大統領選で明らかになってしまった。しかし、メディアをはじめ不法滞在者の問題とコロナの問題が、深刻だということを一切報道しなかった。もし、バイデンがやっていても防ぐことは、絶対にできなかった。」
私:「今回の選挙でどっちが勝つとカナダにとっても日本にとって、メリットがありますか? これからのアメリカは、どうなっていきますか?」
 「今回の選挙で、どっちが勝っても世界は大きくは変わることはない。経済も影響はないと思う。ただし、今回の選挙でアメリカは分断される方向に向かっていく。この感情の分断化は、収拾することはできない。どのように分断されるかは解らないが、東海岸・内陸部・西海岸地区で3分割になるか、西海岸だけで独立をするのか。あまりにも、経済格差と生活水準と価値観が違い過ぎる。それに、内陸部は海岸部とは違うアメリカになってしまった。」
 最後に、「これからの世界経済はどうなるか?と、なんで株が下落していないか? 中国が北米に進出することについて、白人社会はどう見ているのか?」について聞いてみた。 
 「株の世界では、どっちが勝っても大きな問題はないと思う。来年は、景気は落ちるにしても、エネルギーの世界はむしろ投資が増える。中国に対しては、個人的な意見では北米進出は困るかな。」
 30分ぐらいの対話でしたが、メディアには出てこない面白い話しになりました。

 今回の大統領選は、アメリカ大統領利権の争奪戦の戦いだと見ています。この3年間を見たときに、トランプ大統領の政策と行動は、「ワシントンDCの既得権益」と「政治とメディアの既得権益」の解体からスタートをして、古き良きアメリカの再構築が彼の根っこにありました。それは、アメリカ国民の雇用拡大とアメリカをモンロー主義に戻す政策にして、国益を第一にする国づくりの3年間でした。自国の会社を、中国から本土にもどすことに全力を尽くしました。比較生産説の多国籍企業を否定して、人件費の安い中国で生産させるのではなく、自国に戻して雇用とアメリカの国富を増やすことに舵を切りました。多国籍企業になってしまった、アップルをはじめ大企業を国内に引き戻し、日本企業や外国企業をアメリカに誘致し、アメリカ人の仕事場を作ることに徹しました。これによって、アメリカの失業者は減り、景気拡大にもつながりました。
 それに加えて、世界に拡散した軍を縮小させ、米兵を撤退させるなどしてアメリカ人の血を流さない政策を取ってきました。これによって、アメリカの若い人たちの命を無駄に落とすことなく、トランプ政権時代に新たな戦争をすることはありませんでした。海外にお金を流すことをやめ、国内を潤す政策を徹底しました。
 これだけ優秀な政策にも関わらず、トランプ大統領は「なぜ、人気がないのか?」 過去の大統領で、ほとんど動かすことができなかったことを、この大統領はたった3年間でしてしまった。私は、こんなに優秀な大統領を批判することの意味が解りませんでした。しかし、カナダ人をはじめアメリカ人と話すことで理解をしたのは、あまりにも個人の品格(理性的なモノ)が大統領の品性にふさわしくないので、認めたくないという人が多い現実があるということ。(Vancouverは、シアトル近いこともあり、リベラル思想が強いことも影響しているのかもしれません。)政策をまっとうにしたことよりも、品性で選んでいる節があります。嫌いな人たちの理由を深く聞くと、「嘘つきだ」とか「品がない」とか「ワンマン」という、彼のパーソナリティの批判ばかりで、政策的な批判をする人は少なかったように思います。逆に、私の方から「軍の縮小をしている」「景気を拡大して失業者を減らしている。」ことについて、どう思うかを聞くと。ほとんどの人たちは、「仕事はしているみたいだけどね。」という答えしか返ってきませんでした。政策の良し悪しではなく、個人の好き嫌いという生理的なところで選んでいる節が強く出ていました。

 それとは対照的だったのは、オバマ大統領でした。彼はまったく政策はせずに、初の黒人大統領ということで「品性」と「品格」だけは貫き通しました。大手メディアも、そこを中心にして彼の政策や国家観を映し出すことはなく、クリーンなイメージで大統領の虚像を作ってきました。彼のやった政策は、卑劣で残虐なことばかりでした。そして、メディアは一切そこを報じず、品格のいい大統領として、彼を神輿に担いで国づくりをしてきました。
 しかし、トランプ政権になると報道のあり方は、まったく逆で、ちょっとでもミスや失言をしたときには、徹底的に大手メディアが叩き、裏ですることや水面下で出来る状況ではありませんでした。トランプ氏の人気のなさは、メディアによる情報操作によるものなのかしれません。CNNは、当選以来やじ罵倒をして、大統領批判しかしませんでした。
 そして、トランプ政策を面白くないと思った人たちが多くいたのも事実です。プロでないにもかからず、政治慣例や常識をぶち壊し、ワシントンDC内の官庁関係の慣習を破り、いままで自分たちが作ってきたモノを目の前で壊すわけですから、相当に根に持った人はいたと思います。根に持つことを通り越し、憎しみに変わった人の方が多かったのかもしれません。トランプ大統領は、就任直後から政治とメディアの既得権にメスを入れて、ワシントンDCの秩序を変えてしまいました。その敵が、政治屋と大手メディアに多かったことが、この選挙でよく解りました。
 ここでも、誰も出来なかったことを数年で、しかも1人でしてしまったという強靭さがうかがえます。ワンマンとう言葉よりも、病的な喧嘩屋と言った方がいいかもしれません。傍から見ていて思うのは、プロレスをしている大統領にしか見えませんでした。この4年弱に、いろんなところと喧嘩をして、既得権を壊し予測不能なことをして、政策だけブレないでやってきたのが、この政権の面白いところです。

 では、国民はというと、このことに、アメリカの闇に気づきはじめたのが、政治に興味を示さなかったカントリーサイドの人やブルーカラーの人たちでした。トップが変わることで、こんなに「国が変わる」と気づかせたのがトランプ大統領の出現によってでした。その多くの人たちは、大手メディアの嘘や今までの中央政府の見えない政策を、違和感と不信の中でずっと我慢してきました。しかし、素人の政治屋が大手メディアとワシントンDCのパンドラの箱を開けて国民に開示してしまいました。大胆を通り越し無謀な行動と、何も感じないメンタルの持ち主は、誰も止めることのできない喧嘩屋になってしまいました。大統領としての品性は無く、自分を誹謗中傷する人間に対して、ツィッターで朝4:00~5:00に起きて反撃するという、過去にない面白い大統領であることは間違いありません。そのツィッターが、報道機関になって大統領の意向や方針が、そこからわかるという、ワシントンDCの仕組みを変えてしまいました。ある意味、単純で隠すことの出来ない人柄で、想ったことをすぐに口にしてしまう性格であることは間違いありません。その品性が、嫌われる原因になっているのかもしれません。

 

政策論争にはなっていなかった
―オバマ政権からアメリカの崩壊は、はじまっていた―

 この大統領選の大きな問題は、政策的な論点は何一つなかったことです。特に民主党は、コロナの問題とトランプ氏の個性的な部分を否定することで、大衆扇動を煽り選挙したことです。芸能人とメディアとガーファが、一体となって既得権益を守る選挙でした。そこには、政治屋と大手メディアの既得権益を守る闇の世界が動いていました。いままでは、曲がりながらにも「アメリカの正義」を貫き通してきた選挙でもあり、神聖なる催しでした。しかし、4年前から露骨な利権争いの道具になってしまい、目に見えるかたちで外国資本と外国権益が関わる選挙になってしまいました。
 オバマ氏の無政策さを書きましたが、オバマ時代は中国の覇権を野放しにして、北の核保有を容認して何もしない大統領でした。さらに無能さは、アメリカの内部の研究機関・政治機関・国家機密機関・軍事機関に多くのパンダハガーが入り込み、中国の属国になる1歩手前までいきました。
 それに対して、大きな歯止めをかけてアメリカの舵を180度切ったのはトランプ大統領でした。それまでのアメリカは、民主党政権によって拝金主義(中国マネー)と覇権主義(中国とアメリカの世界2分割論)を1つにして、進もうとういうのがアメリカの政策でした。中国のお金は、ワシントンDCと大手メディアとアメリカ主要機関とアカデミック(教育機関・研究機関)にバラまかれ、多くの人がチャイナマネーに毒され「政ごと」をしていました。政治屋とメディアの権益にチャイナマネーが入り込み、歪んだアメリカの価値観にしてしまいました。(オバマ政権下は、ロビー活動を中心に、反日を掲げ中国による極東アジア侵略が着々と進んでいました。)
 オバマ大統領当選以降は、2つの信念が壊れてしまいました。民主主義(アメリカン・デモクラティック)とアメリカの正義(クリント・イーストウッド監督が、アメリカ人の良心や正義を映像にしていますが、アメリカ人の正義はあそこに潜んでいます。)が壊れたことで、アメリカの国家観とアメリカ精神を弱体化してしまいました。
 初の黒人大統領は、国民の期待とは裏腹にメディアを中心に言論空間の支配(全体主義)と拝金主義(外国マネー)にまみれた国づくりになってしまいました。その影響を強く受けたのが、東海岸や西海岸線に住むリベラル思想と革新社会理念を抱いている人たちでした。外国勢力は、外国資本によって情報操作とイデオロギー操作をすることで、アメリカ人は簡単になびくと実感したと思います。これは、敗戦後の日本の洗脳プログラムに類似した、知識人をターゲットにしたプログラムが、いまアメリカ分断プログラムに変わりアメリカ人の中ではじまってしまったということです。
 その正体は、全体主義や社会主義というべきもので、得体のしれない思想と拝金主義思想が潜んでいます。これは、すごく恐ろしいことで、いまの共産主義の中国を見てもわかるように、特定の人にしかキャッシュが回らない世界(1部の人達しか裕福になれない生活)を作ろうとしています。低所得層や頭で生きている人たちに、「みんな仲良く」というエセ全体主義と社会主義思想を植込み、政府が社会の歪みを解消してくれるという洗脳がはじまっています。この理論は、学識や知識を持っている人たちの中に共鳴をしています。西海岸で、バーニー・サンダースという社会主義者が出てきた背景は、そことリンクします。
 アメリカの国家観は、自由主義と独立を柱にして「国づくり」をしてきました。社会主義思想に国を変えるということは、統制と管理という「国づくり」にしていくということです。いままで、自由と独立を誇りにしてきた国民が、果たしてそれを受け入れることができるのでしょうか? アメリカの一部は、建国以来の理念を捨てようとしています。アメリカの内陸部やブルーカラーを含めた勤労者は、それとは反する建国理念を大事にして、アメリカを建て直そうとしています。私は、アメリカの風土には、全体主義思想は浸透しないと思っています。
 今回の分断というのは、西海岸や東海岸の1部のリベラル思想からはじまり、多くの人は言語空間で真実が見えないところからスタートをしています。アメリカの闇は、知識層が作った机上の理論で、アメリカが築き上げた文化を否定して、イデオロギー(「バラ色の世界が待っている」という空気)を拡散して、言語空間によってアメリカを支配しようとしていることです。
 今回の大統領選は、共和党と民主党という枠の戦いではありません。古き共和党は、企業優位政策で自由競争と小さな政府という理念で戦ってきました。古き民主党は、労働者を守る党として「弱者と格差をなくす」という党利で、明確に共和党との違いを出していました。しかし、年月が経ち資本家と労働者という仕組みが変わり、その対立では解決できない時代になってしまいました。長年続いていた民主党と労働組合のつながりは、いつしか大きな既得権益(リベラル利権)になり、巨大なブルジョア世界を作り労働者や庶民の政治をしなくなってしまいました。それが、トランプ大統領の出現によって、アメリカ政治の仕組みが壊れてリベラル利権が表に出てしまいました。本来は民主党が理念として掲げた、労働者人口の拡大をトランプ大統領が簡単に実現してしまいました。そのいい例が、ラストベルトの復活(地方の工場を動かす)です。そして、彼は、共和党においても内部の既得権益をぶち壊れてしまいました。

 

アメリカの精神の空洞化

 まだ多くの人が、イデオロギーによって、社会を変え幸せを手に掴むという幻想を抱いていますが、これはすごく恐ろしいことだと思っています。他民族が、同じ場所で一致する価値観(民族観や宗教観)を持って生きるということは、非常に難しいことです。何をもって平等や公平という基準を設け、平らな人間社会を作ろうとしているのか? 社会主義や全体主義のようにイデオロギーによって、すべて平等に均一に分けるということは、異文化・他民族社会においてはありえません。そもそも、アメリカの移民のルーツであるヨーロッパ大陸やアジア大陸思想や歴史をみてもわかるように、ユーラシア大陸思想は、侵略と略奪から社会を作ってきた歴史があります。他民族同士が、平らな社会を作ることは、決して出来ませんでした。
 大航海時代を見てもわかるように、白人社会は奴隷貿易で栄えてきた歴史を持っています。奴隷を下に置くことによって、社会を作ってきた人種が、平らな異文化社会を作れるとは思いません。黒人を奴隷にして、アメリカ大陸に渡り開拓してきた歴史は、支配と蔑視の精神が強く潜んでいます。
 日本の文化にはない思想が、そこにはあります。日本には、「民のかまど」という思想と共通の民族の価値観で、国が成り立っています。移民国家においては、他民族との共通倫理(宗教観も含む)と道徳のガイドラインを引くことはイデオロギーではできません。いまの多民族国家においては、法の秩序とマネーという縛りの中で、社会をどうにか回している現実があります。日本のように、宗教観(八百万の神)や日本語脳による同一の共通認識があれば、社会倫理のガイドラインを引くことができます。一神教の文化を背景に持っている、多文化の融合は極めて難しいです。
 アメリカの大きな問題は、大量の移民流入によって、建国以来の開拓精神と自由と独立の精神では通用しない世界を作ってしまったことです。秩序のガイドラインが無くなり、何をもって公平にしていくのか、この選挙によって壊してしまったのが、いまのアメリカです。かつては、アメリカン・ドリームのように一生懸命働けば、移民でも豊かな生活ができ、アメリカ社会に入ることを許されました。しかし、いまのアメリカは、アメリカで生まれ、アメリカで育っていながら、働くところもなく、職に就いても先が見えない現実があります。そして、失望感しか持てない若者が年々増えています。
 移民を大量にいれることにより、街の地域社会が壊れ外貨を持ってきた外国人が、地元の人たちよりもいい生活をしていたら、希望の持てる人生にはつながってはいきません。いま、Vancouverも含めて、地元の子が地元に住みたくても出ていかなくてはいけないという現実が、移民国家の中ではじまっています。キャッシュさえ持っていれば、地元の人間を追い出し他民族の居住地になってしまう、多民族国家の根の深い闇になっています。地元に愛着を持った人間が、余儀なく土地を捨てなくてはいけないという深刻な問題がはじまり、格差社会が移民流入によってはじまっています。差別のない世界と言いながら、「地元の子は夢を失い」「明るい社会を抱くことが出来ない」状況の中で、外貨を持ってきた外国人が裕福な生活をしていたら、民族の溝は深まっていきます。北米社会の深刻な問題になっているのは、外国人(移民も含む)による新しい秩序をマネーによって変えられてしまうという現実があることです。さらにアメリカが深刻なのは、国や地方自治体でコントロールができない不法滞在者が年々に増えていることです。この選挙を見るときに、不法滞在者が根底の問題になっていることを見なくてはいけません。武漢ウィルスと不法滞在者が見えないところでつながり、大統領選を介して、精神の空洞化がさらに進んでいるアメリカの現状は見ておくべきです。

 

多民族国家の大きな闇から、日本は何を見るか

 今回の大統領選で、日本人が注目しなくてはいけないのは、どちらが勝つかという表面的なことでなく、多民族国家の弱点が露骨に出たことに目を向けるべきです。そして、他民族との共存は、国家存続の危機につながることを知っておくべきです。他民族を入れることは、外国から家族や知人を呼び寄せ、その国に不法滞在をして地下に潜ってしまう可能性が高いということです。アメリカは、年々増えています。今回のコロナの問題は、突如出た問題でなく前から抱えていたアメリカの闇の世界(不法滞在・不法移民)が表面化しただけです。移民であれば、国の医療や扶助を受けて、行政のコントロールの中に入れることができました。不法滞在者になると、すべては地下に潜り表面には出てきません。冒頭の話しではないですが、行政側が呼びかけたとしても、水面下に入り誰がやっても解決できません。そして、低所得者の中に不法滞在者が紛れ込んでいれば、武漢ウィルスの拡散は止めることは出来ません。今回の感染者を止めることのできなかった要因は、一番そこにあると思っています。(労働環境も劣悪で、3Kといわれる仕事の多くは、不法滞在者にさせている現実があります。)

 日本が見なくてはいけないことは、いまアメリカで起きている現実が日本にも内在していることです。選挙と感染症がつながることで、世論を幾らでも変えられることができ、国の存亡にもつながるということ。3000万人と言えば、東京と大阪と名古屋の人口に匹敵する数です。その数が、水面下に潜り不法労働をしながら、病原菌をバラまいていることを想像してください。
 安倍政権は、移民を受け入れる政策を推進していました。昔の話しですが、日本の民主党政権下では、外国人にも参政権を与えることを謳い、「差別のない世界」と言った政党でした。外国人に参政権を与えることで、「平等で明るい世界がある」ことをプロの政治屋が言っていましたが、いまのアメリカを見て本当にその言葉を信じることができるでしょうか? 外国の人たちに、日本人と同等の権利(国民保険から生活保護なそ)を与えるということは何を意味するのか、現場を見なくてはいけないと思っています。 
 今回のアメリカを見て学ぶことは、公衆衛生から社会が簡単に壊れるという現実があることです。他民族と共存するということは、いいことばかりではなく、マイナスの要素も含んでいることに注視しなくてはいけません。今回のアメリカの大統領選で見えてくる実体は、他民族が入り過ぎたことによって、国の分断にもつながるということを、日本の人たちは見なくてはいけないと思っています。

 PS 前回のコラムでは、トランプ大統領の続投は間違いないと書きましたが。ここまで、不正投票とアメリカの分断がはじまっているとは、一ヶ月前には想像ができませんでした。11月上旬の開票結果を見るまでは、アメリカの良心と正義はあると信じていました。いまの流れで言うと、バイデン氏の当選の方が強くなってきました。正式な発表は、12月と言われています。真実を伝えないメディアと神聖なる儀式(アメリカ人においては、建国理念の儀式)を不正にしてしまったことで、民主党が勝っても民主党の崩壊がはじまり、アメリカの中央ガバナンスは効かないと思っています。
 ちょうど思い出すのは、昭和天皇の崩御のときの世界情勢に似ているような気がします。ソ連が崩壊し東欧社会の国家と民族の再編がはじまりました。ドイツでは、ベルリンの壁が壊れ東西統一がはじまり国の形がかわりました。今回は、アメリカで新たな国の枠が出来るかもしれません。それぐらいに、今回の選挙は意味を呈していない儀式だったと思います。