Vol.501

英語世界の終わり

国民投票でEUからの離脱を決定したことで、イギリスというイングランド、ウェールズ、スコットランド、そして北アイルランドという連合王国がきしみはじめました。大英帝国の時代に、世界中で成功させた植民地の支配システムだった、分断し統治する、というアングロ・サクソンの行動原理のしっぺ返しがこれからはじまると考えることもできますが、これは英語の時代の終わりを象徴するものだともいえます。2016年は、くり返しお伝えしているように、ミロク元年ということになっています。日本の覚醒の時なのです。それに合わせて、先の大戦でこの国を戦いに引きずり込み敗北させた、アングロ・サクソンの支配力が決定的に衰えたことが、ここに示されています。
イギリスはポンドという独自通貨を持ちながら、EUの一員として、事実上ドイツの指導力の下にヨーロッパの一員として生きる道を選びましたが、その国民は、この体制にノーという意志を示したわけです。ただ、イギリスはモノづくりを放棄し、金融で生き残るという選択をすでにしてしまいました。第二次大戦でドイツと戦ったイギリスの技術力はすでに失われ、中国の原子力発電所を受け入れるような国になってしまいました。これから、第二次世界大戦とは何だったのかを、もういちど考えてみるべき時代がはじまったのかもしれません。それは、もしかするとこれまで考えられてきたような、国民国家同士の戦いではなかったかもしれないということです。
国民国家としてのイギリスは、第二次大戦の勝利以来、一貫して国民を貧しくしてきました。同じく勝者だったアメリカも黄金の50年代を過ぎると、ドイツや日本との貿易によって、どんどん国内の雇用が失われ、中産階級が没落し、21世紀に入ると1パーセントの持つ者と99パーセントの持たざる者の国になりはてました。この貧しき白人たちの不満が、大きな政治的なうねりとなり、アメリカという国は世界から退場する方向に動きはじめています。これでわかることは、これまでの歴史において、最も先行した民主主義国家であったはずのイギリスもアメリカも、どうやら、ほんとうの意味での国民が主人の国ではなかったらしい、ということです。
いま、世界で起きていることは、マネーを支配し、情報を支配する人間グループが目指すグローバル化と、それによる自分たちの国民性、または、文化の喪失を阻止しようとする人間グループの対立です。面白いことに、民族や地域の伝統を守ろうとするさまざまな党派の存在があるにもかかわらず、世界のマスメディアは、ほぼ共通して、彼らの活動に極右というレッテルを貼っています。それを観察していると、どうも、言論の自由という原則も、ある許された者たちのものであるらしいということがわかるはずです。ひるがえって、この日本のマスメディアは、戦前、このクニの国民に米英との開戦を煽りたてました。昭和天皇は、この英米に関して、同じ民主主義国なのだから戦ってはならないという意見をお持ちだったと伝えられています。
一部の勢力と結んで、当時の朝日新聞や毎日新聞が、戦争への世論を形成していったことは歴史的事実です。
敗戦後の日本のメディアは、その結ぶ相手を変えて、このクニを誰も望まない方向に誘導し続けてきました。
アメリカでも、イギリスでも、その他の先進国でも、たぶん、同じことが進行してきたのです。ここへ来て、そうした歴史をつくってきたものたちの正体がおぼろげながら、見えてきました。それは、インターネットという知ることを万人に解放する技術によって、いままで、操作されてきた情報の本質に、多くの人間がアクセスできるようになった結果にほかなりません。
これまでの人間の歴史は、マネーと情報を制する者が、地上の支配権を確立できるというシステムのもとに置かれていたのですが、すでに、その時代は終わったのです。このマネーと情報の独占をする支配体制をつくり出したのが、英語文明でした。英語が世界の共通語となり、自由なマーケットというものが世界経済のルールとなった時に完成するはずだったこの世界文明のシステムは、世界の各地に生きている多様な民族の歴史に対する破壊を行なうことで、無知な羊たちを羊飼いから解放してしまうことになりました。イギリスの女王が、中国の指導者の非礼にあえてコメントしたのは、いまあるマネーの誘惑の前に、自分たちが失うであろうものが何なのかを示したかったのでしょう。これからの時代、英語は世界を統一し、また、破壊への道をつけたものとして記憶されることになるはずです。

2016年6月30日 積哲夫 記

この光文書に合わせて通信が届いているようですので、掲出しておきます。

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2016.6.28(火)14:24~

やえのことふみ しることもなくに
かけてはあらね こひしかるらむ
ゆめのかよひぢ むすこともなく
とはのつきねと しることもなし
あらはれてはちる やえのむすひに
かわらぬものを もとめたるにや
かれのしじょうは てんをつきたりて
やがてくる ひの かけひとなれり
むすひたるものものの かけがえのなき
つくしたるものを しりたるは
かくれたる おほんみ
つらぬきて そのみをなせりとや
かけたるみちの つきせぬことをも しる
かれらならで むすひたる ものや
あるらむを
まことなりては ひとはなされる
まことをしらぬ いまぞかなしき