歴史から抹消してしまった国防と国益 60
-戦後レジュームの終焉―
2024年は、民主主義陣営の国が政治の低迷をする年でもありました。イギリス・日本・アメリカは、トップが代わり政治は迷走をして、いまだに方向が定まらないまま来ています。加えて、フランスやドイツは決められない政治になり、国家運営ができない状態に陥っています。隣国の韓国は、戒厳令が失敗し政治が空白状態になっています。2025年は、低迷した政治をどのようにして前に進めていくのかが、各国の深刻な課題になっています。
その反対に独裁政権側は、中国は台湾有事を起こそうとして、いつ侵略がはじまるか解らない状況になっています。ロシアとウクライナの紛争は、3年が経とうとしていますが、おさまる気配すらありません。さらに、イスラエルは隣国に武力を使い戦禍を広げています。かつての国連機関は機能せず、解決に向けて動く国すら出てこなくなりました。
この世界の流れは、日本も同様で政治が機能せず、国家戦略もなければ民のための政治をしなくなりました。この政治と民の溝は広がる一方で、民の声は民族主義に戻そうという力が動いています。各国の動きを見ていると、保守政権にかわりリベラル政治は終焉に向かっています。
そして、国際秩序を安泰ではなく、各国は国際情勢を静観して、どこが国家として没落するか伺っています。一瞬でも、その姿を見せたときには世界の餌食になり、弱肉強食の世界に引きずり込まれていきます。パワーバランスは、ウクライナ侵攻がはじまってから壊れてしまい、世界のフェイズが大きく変わりつつあります。
その中で日本政治は、その状況も理解しないままウクライナに巨額の支援をして、外国に金をバラ巻く政治をしています。このバラ巻き政治は、国際秩序の安泰と世界調和の意味はなさず、アメリカの民主党の太鼓持ちをしているだけの姿になってしまいました。その姿は、誇りを失った国家になり「虎の威を借る狐」のように、日本国民には権威を振りかざし、アメリカにはシッポを振り、どこの国の政治をしているか解らない状態になっています。その馬鹿げた構造は、岸田政権になってからすごく顕著になりました。
さらに石破政権は、今度は中国に媚びる政治をして、この国をどこに向けて動かしているのか、まったく解らなくなりました。この2人に共通しているのは、自分の保身のための政治をして、日本民族の生存の政治はしないことです。日本人には高い税金をかけて弱体化させて、世界にはバラまくという構造は世界のATMになっています。この姿を遠目で嘲笑しているのは、中国とロシアと北朝鮮です。日本が弱体すればするほど、自分たちの餌になってくれるからです。
いま世界は
「独裁者の覇権で世界秩序を作るのか?」
それとも
「民主主義という名の下で、国家運営ができるのか?」
独裁者側は、民主主義陣営をどのように壊そうかと考えています。そして、民主主義陣営はアメリカの覇権体制の傘下が、どこまで自国が安泰できるかを精査しています。トランプ大統領の再登板によって、世界のパワーゲームが大きく変わろうとしています。世界の関心事は、アメリカの意向と没落する国に注目をしています。
世界はなぜ、アメリカ政治にこれまで以上に注目するのか? それは、歴代の大統領とは異質で、誰も彼の政治を理解していないからです。いま北米から見るトランプ政治は、いままでのアメリカの覇権政治と既得権に真っ向から対立姿勢を明確に、政治の‟Regime Change“に向かっています。世界の覇権には興味はなく、アメリカ中心の世界が終ろうとしています。彼は、本気で民主党の利権と産業構造をぶち壊して、新しいアメリカの形に変えようとしています。日本の政治とオールド・メディアは、この大きな政治のフェイズが代わったことに気づいてはいません。いまだに日本の政治は、アメリカの古い体制(アメリカ民主党)の親衛隊を続け、1~2年後のアメリカの姿を見ていません。いまアメリカ政治は、歴代の大統領が出来なかった政治理念と国家体制をすべて変えようとしています。その1つは、イデオロギーの刷新です。いままでのアメリカ政治は、自由主義と民主主義が中心でした。しかし、その自由民主主義は限界があり、行き過ぎた自由民主主義には国を亡国にしていると政治理念を掲げて、アメリカン・デモクラシーを変える方向に舵を切りました。この刷新は、黒人大統領を選出したオバマ政権時よりも斬新で、アメリカの命運を賭けた大博打にでました。そこにアメリカ人は、アメリカの希望と光をトランプ氏に託しました。日本のメディアや政治家は、その意味も解らずにトランプ氏を無法者のように報道をして、誤報を伝えてきましたが実態はまったく違うものです。これからはじまるアメリカ政治は、明治維新に匹敵するぐらいのイデオロギーの大改革がはじまります。そして、それは国の存亡の大博打でもあります。
今回、アメリカ政治の1番の争点は
「リベラル政治が国民生活を豊かにしてきたのか?」
この疑問がバイデン政権になって、より露呈するようになりました。民主党の民主主義は、嘘にまみれた偽りの政治をしていたことに、国民生活は豊かにならず貧困層が広がっていきました。黒人大統領になっても黒人差別な無くならず、勤労者は豊かになるどころか所得格差と不平等社会が広がっていることに、政治不信はどんどん募っていきました。2020年の大統領選は、民主党のペテン政治がより明確になりました。
実は、この大きな波は日本にも流れてきて、LGBT推進法や夫婦別姓という法は、アメリカのリベラリズムが深く関与しています。そして、そのイデオロギーは文化と伝統を破壊し 社会を潰す装置になっていることをアメリカ人は気づきはじめました。いま日本の政治は、アメリカン・デモクラシーの姿も見ずに、1~2年前の過去のアメリカ政治と日米関係を作ろうとしています。これは、大きな間違いです。これからのアメリカは、1940年以前から続いているモンロー主義的政治に戻ろうとしています。
日本の姿を見ていると、いつも周回遅れの国際政治をしていて、理解できないことをしています。さらに、日本の首相は、国家観も民族観もない人がトップに立ち国の命運を決めています。その国の姿は、民族生存ゲームで国民の命を盾にしながら、自分の保身のために民族弱体の政治をしています。さらに最悪なのは、権力のチェック機関が機能していないことです。オールド・メディアと有識者は浅い知識をこねくり回し言論空間で、正論風情で遊んでいるのが日本のエスタブリッシュメントです。その結果、多くの日本人は事実を誤認して、正しい価値判断が出来ない状況になっています。
-2025年は世界維新がはじまる―
これまでのアメリカ政治は、クリントン政権からバイデン政権までは、共和党になろうが民主党になろうが差ほど大きく変わる政治をしてきませんでした。表面的なスタッフが代わっても、イデオロギーや政治利権までほとんど変わらず、ワシントンDCとウォール街で政治をしてきました。しかし、今回のトランプ政権は腐った政治利権を本気でぶち壊しに来て、ディープ・ステートの闇を可視化しようとしています。これからはじまる内戦は、外国のマネーで政治をしてきた政治家や高級官僚の売国行為と汚職を暴いて、庶民の生活を壊し国の分断化してきた正体をさらけ出していくでしょう。さらに、イデオロギーの観点から行き過ぎた自由民主主義の価値基準に、大きなメスを入れていきます。別の言葉で書くと「ポストリベラリズム」であり、これまでの自由放任主義がアメリカ社会の価値判断を壊し、特定の人に富が集中する仕組みには限界があるという考えに、アメリカ政治は動いていきます。
今回、アメリカ政治の注目するところは、アメリカン・イデオロギーの‟Regime Change”が起ころうとしていることです。これは、アメリカの政治史に残る分岐点でもあり、第二次世界大戦後のアメリカ政治の80年続いた政治体制の終焉だと見ています。大戦後のアメリカン・デモクラシーは、「個人の自由」と「個人欲求」を最大に追及することが幸せな人生と幸福な社会になると信じてきました。リベラリズムの実現こそが、人間を豊かにして人類の幸福になると信じて、全世界に広げようとしてきました。しかし、そのイデオロギーには本来アメリカ人が持っていた精神とは違うことに気づき、アメリカの政治維新がはじまっています。
その代表の例は、地球の裏側まで戦争に行かされて、何のために闘っているのか解らず、多くのアメリカの若い米兵が人柱になることに、多くの人は政治に不信と疑問を抱くようになりました。加えて、勤労しても幸福にはならず、どんどん貧困になっていく社会に、国民の不満は募っていきました。本来、民主党は庶民や貧困者の側の政治をする党でした。しかし、民主党はいつからか富裕者の既得権を守る政治をするようになり、外国のブラックマネーを収賄する拝金政治をする姿にまで腐敗をしてしまいました。
多くのアメリカ人は、政治に対して絶望と暗澹が交差して政治に対して諦めていました。そこにトランプの出現によって、政治の欺瞞と虚構が浮き彫りになり、巨大な権力にたった一人で挑む姿に、アメリカ国民の魂は揺さぶられました。その結果として、リベラリズムの政治の上には、自分たちは幸せになれないことに気が付いてしまいました。
2020年の大統領選は、民主党を自滅に追い込む選挙でありました。神聖な大統領選を、堂々と不正をして政権を変えてしまう体制に、アメリカ人の良心が蘇るきっかけになったことは間違いありません。さらにメディアは、「報道しない自由」を使い真実を隠して世論誘導をして、まともな価値基準で決められない社会にしてしまいました。そこには、民主主義の習律も精神もない特定の人だけが得をする政治になっていました。この「リベラルな寡頭制」の政治に、いち早く疑問を抱いていたのがトランプ氏でした。
これからアメリカ政治は、トランプ氏が掲げる‟Regime Change”の政治維新がはじまります。当然、過去の闇を暴露して、クリントン政権から続いてきたディープ・ステート(リベラルな寡頭制)を壊すことから始めていきます。その中には、エプスタインの性犯罪(アメリカの富裕層に人身売買をしていた事実)やコロナ・ワクチンの闇の解明もあるでしょう。いま、アメリカ国内で起きているトランプ氏の暗殺未遂やテロ事件は、古い仕組みを守る側と新興勢力の攻防戦が、命がけの内戦をしています。アメリカ政治の面白いことは、喧嘩屋のトランプ氏はまったく動じずアメリカのエスタブリッシュメントと堂々と喧嘩をしていることです。
この喧嘩は、トランプ氏に軍配が上がりアメリカ政治は刷新されます。そのときに、日本は国益を確保する絶好のチャンスが到来します。日本は、トランプ氏と何をDeal (取引)をするか、日本の分岐点でもあります。今回、アメリカの‟Regime Change“は、日本が独立出来る最大の機会が来ます。「憲法9条の改訂」や「東京の空域の返還」や「自前資源の確立」など、いくつも日本がアメリカによって縛られている制約を無効に出来るチャンスが到来します。そのときに、何を1番はじめのカードを出し、どこまで国益を主張するのか。日本の運命を采配する日が近づいています。この意味をどれだけの国会議員や官僚がわかっているのか。
ソビエト崩壊の時は、国際情勢を分析出来ていなかったのか政治力がなかったのか解りませんが、北方領土の返還のチャンスを、指をくわえて逃してしまいました。
アメリカのレジューム・チェンジは、日本の戦後レジュームを脱することと同じことを意味します。この機会を逃せば、またアメリカの属国か他国の属国として生きていかなくてはいけなくなります。日本の首相は、日本人の質に比例します。いまの石破政権は、日本人の姿です。本来の日本の姿に戻すには、「魂」と「民族の誇り」を塊にすることで、堂々としている胆力を持った人が必要です。日本人が、1人1人品性と胆力を上げることで、必ず世界と渡り合える人が生れます。日本は不思議な国で、世界と渡り合える人が突然に出てくる場所でもあります。神話のような話しですが、どのジャンルにも不思議と世界に通じる人材が現れます。アメリカのメジャーをみても、神話のような2刀流の大谷翔平氏というスターが出てきました。ボクシング界では、井上尚弥氏という胆力を持った人が出てきました。政治の世界にも必ず、安倍晋三氏を上回る政治家が出てきます。まずは、日本の中にある毒を出すことと、1人1人の胆力を上げることで知性と胆力を備えた民族に変貌します。まずは、日本人の精神を他力本願(他人の委託)でなく自力本願(自分本位)にすることからなのかもしれません。