#8 教育という名の下にあった洗脳のようななにか。

GHQの政策WGIP(War Guilt Information Program/ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)により、日本人の中に今なお根深く残る自虐史観。

戦後の教育分野は国語、歴史、地理、道徳(修身)をはじめとして、多大なる規制を受け、なおかつ教職者公職につく者の要職にある人材が入れ替えられ、メディアも使われて、さまざま不合理な管制が敷かれ・・・
計画的になされた教育改革によって、その内容も、ゆがんだものとなってしまっています。

教科書を見ると、何だか変だな、と今になって思います。
当時から、よくよく考えれば変だったのかもしれません。
しかし、長いこと、何が、どこが、変なのかの正体がつかめませんでした。

戦後すでに七十年がたち、公正さを重んじるフェアなアメリカでは、あの戦争に関する重要な公文書が、次々と公表されています。
そして、二〇一五年には関野通夫さんが、WGIPのことを冊子にまとめ、誰もが手軽に読めるものとして、世に出されました。

『日本のいまのメディア、テレビや新聞などが全体的にどう見ても「左翼」にしか思えないのは何故なのか?』を、不思議に思っていた頃、この冊子を拝読して「なるほど!」と合点がいきました。
メディアの世界は、まだ、戦後が続いているんだ、と思いました。

アメリカが、WGIPを実施した理由は、日本に対し、原爆という史上最低最悪の武器を使ったがためともいえます。
仕返しが絶対に行われないように、さらに、補償を求められないように、ということでもあるでしょう。
日本という国が、二度と戦勝国に立ち向かってこないよう、徹底的に叩いておこうという施策です。

敗戦から一カ月と経たない昭和二十年九月十日、GHQは「新聞報道取締り方針」を発し、九月十九日には「日本出版法」(Press Code for Japan)を制定しました。建前は「言論の自由を確立するため」と謳いながら、三十項目もの「事前検閲」という表面に出ない厳重な言論統制によって、日本人の洗脳工作が行われていた、ということです。
関野さんの冊子から、報道規制(プレスコード)の三十項目の部分を引用し、記します。

 (一) SCAP(連合軍最高司令官もしくは総司令部)に対する批判
 (二) 極東国際軍事裁判批判
 (三) GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判
 (四) 検閲制度への言及
 (五) アメリカ合衆国への批判
 (六) ロシア( ソ連邦)への批判
 (七) 英国への批判
 (八) 朝鮮人への批判 
 (九) 中国への批判
 (十)その他連合国への批判
 (十一) 連合国一般への批判(国を特定しなくても)
 (十二) 満州における日本人の取り扱いについての批判
 (十三) 連合国の戦前の政策に対する批判
 (十四) 第三次世界大戦への言及
 (十五) 冷戦に関する言及
 (十六) 戦争擁護の宣伝
 (十七) 神国日本の宣伝
 (十八) 軍国主義の宣伝
 (十九) ナショナリズムの宣伝
 (二十) 大東亜共栄圏の宣伝
 (二十一) その他の宣伝
 (二十二) 戦争犯罪人の正当化および擁護
 (二十三) 占領軍兵士と日本女性との交渉
 (二十四) 闇市の状況
 (二十五) 占領軍軍隊に対する批判
 (二十六) 飢餓の誇張
 (二十七) 暴力と不穏の行動の扇動
 (二十八) 虚偽の報道
 (二十九) GHQまたは地方軍政部に対する不適切な言及
 (三十) 解禁されていない報道の公表

GHQが設置したCIE(民間情報教育局)に与えられた役割や、四大教育指令、東京裁判、日本国憲法についても言及されています。

手に取りやすい、薄い冊子ですので、機会があればぜひ、読んでみてください。

  「日本を狂わせた洗脳工作 いまなお続く占領軍の心理作戦」
  関野通夫著 自由社 自由社ブックレット一 五百円+税

  「続・日本を狂わせた洗脳工作 いまなお蔓延るWGIPの嘘」
  関野通夫著 自由社 自由社ブックレット六 五百円+税

それにしても、上記のプレスコードだけを見ても、歴史教科書が正しい歴史を伝えられるはずがない、と思います。
だから、何だか筋の通らない近現代史になっていたのか、と思いました。

戦勝国アメリカ、英国をはじめ、連合国への批判は書けません。
玉音放送で日本中が敗戦に泣いた直後から、北方領土に進撃してきたロシアに対しての批判も禁止です。
世界には、東京裁判自体が違法だと認識するパール判事のような立派な方もいらっしゃいましたが、(二)では、いわゆる東京裁判に対する批判は禁止されています。
事実であっても、(九)によって、通州事件などの公開はできませんでした。
「南京大虐殺」という話がいかに事実ありえないほどおかしい内容であっても、批判しなかったのは、プレスコードにも根底として原因がありそうです。
(十二)では、満洲で日本人を殺害したり収奪したりしたことへの批判もしてはいけないことになっています。

戦勝国と、それにつらなる朝鮮、中国への批判は一切禁止という、この報道規制。
闇市のことも、さまざまな占領軍による不当な扱いも一切報道禁止です。
それゆえに、たくさんの不条理が、ないことにされてきました。
在日特権の元も、この辺にあるのだろうと思います。

どの戦争も当事者には悲劇ですが、第二次世界大戦(大東亜戦争)は、日本にとっては本当に悲惨な現実をもたらしました。
なかでも、敗戦後の日本人の精神をズタズタにしようとした占領政策WGIPに、現在に到る危機の本質があります。

もし、洗脳され眠りこけた状態でただただ善良さを発揮するとしたら、悪魔の餌食になるばかりでなく、悪魔たちの手先になるも同然の行動を、知らずにとるかもしれないのです。

日本人の善良さは、健全な判断力の上でこそ、発揮されねばなりません。

ここから、日本人は精神を立て直さなければならないのです。
強欲に走りつくす世界ではなく、調和の世界であるために。

先の大戦で大都市はそのほとんどが空襲を受け、民間人の暮らす町が焼かれました。
広島、長崎に落とされた原子爆弾は、民間の暮らしを完全に破壊するものでした。
これは、今の時代でも、戦争犯罪と指摘できる事象です。

この先、大切な同盟国として日米が真の協力関係を育んでいくには、できる限り、実際に起きたことを正しく知り、過ちを繰り返さないために、検証していく姿勢が欠かせません。

大の苦手で、大嫌いだった歴史を、こんなにも必死に学ぶようになろうとは自分自身が想像もしなかったことでした。
しかし、歴史を知らないことは、結果的に罪となるかもしれないな、と最近は痛感しています。

一人でも多くの私たちが早く気づき、正しい歴史を学び、正しい判断と実践を積み上げていけば、どんどん社会はあるべきカタチになっていくはずです。
楽しみな時代に入ったことを実感しつつ、皆さんと一緒によく学びよく遊び、しっかり励んで生きていきたいと思っています。

平成二十九年三月二十四日
阿部 幸子
協力 ツチダクミコ