一体、何の呪いが解けたのかわからない。
ただ明確に『何か』から解放された、と感じた。
涙が止まらなかった。
幼子のように声を上げてひとしきり泣いて、落ち着いたら「さあ、次のステージだ」と完全に切り替わっていた。
昔、先生に「呪い」と言われた。
多くの呪いが身体に入り込んでいると。
今までまともに生きてこれたのが不思議だとも、言われたこともあった。
誰かが言った、たった一つの「何気ないおもいやりの言葉」=「小さな祈り」で、救われるのだと知った。
それは、TV番組の中でMCが言ったささやかな一言だった。
私に対して言われた言葉ではない。
でもその言葉は、それを見た私にも確実に伝わった。
たぶん『幸せになってはいけない』という呪いが、解けたのだと思う。
ここ暫くそれに関わる言葉ばかりが響いていたから。
「あなたが幸せになるように生きて」と、今まで一体何人の人に言われただろう。
私自身が幸せになれるように生きる、それは罪深いことだと、求めてはいけないことだと、ずっと心の底に澱みのように残っていた。
些細なきっかけで、川に何気なく置いたボートが流れに押し出されるように、あれよあれよとここ2か月で激変した。
それでも、塊として澱んでいたのは『幸せへの恐怖』。
本当にいいのか。
このまま委ねていいのか。
自分は何のために産まれたのか?働くためでしょう?幸せになったら働いてなんかいられないでしょう?
そう、いつも自分の心をじくじくと何かが刺し続けていた。
そうじゃない、私が生きるのは私自身が選択して納得して経験していけばいい。
全ては自分の責任なんだから。
いまさらになって気づいた。
一体何年かかったんだろう。
こんな些細なことにすら、引っかかり続けていた。
単純なものほど、根深くしぶとい。
だけど、それを断ち切るものも、ごくシンプルなのだ。
それに気づけば、次のステージは近い。