Vol.575

トランプの役割

不動産王から、大統領への道を進んだ、トランプというドイツ系アメリカ人は、これまでの民主党系の反日大統領とは、まったく違う方向に、日本という国を押し出すことになるかも知れないという予感があります。
残念ながら、アメリカのエスタブリッシュメントは、日本を永遠の属州として、位置づけることを暗黙の合意として国務省や国防省の内外で、対日政策を戦後七十二年間続けてきました。ところが、共和党の内部にも、反トランプ陣営が存在するという、この不思議な大統領のこれまでのワシントン内部での評価は、軍人政権というもののようです。
オバマの八年間は、アメリカ軍の弱体化を招き、その間に強大化した人民解放軍をバックにした習近平に、太平洋の分割統治までを提案されるまでになりました。
それは、大日本帝国から、アメリカ合衆国が奪い取った太平洋の絶対的な覇権を失うことにつながります。そのオバマの前のブッシュ共和党政権は、ニューヨーク等で起きた九.一一のテロと称するものに対応する戦争にアメリカを引きずり込みました。アメリカは永遠に勝利しない戦争を、もしかすると、意識的にはじめた可能性があるのですが、その前の二十世紀最後の民主党のクリントン政権時代には、米中の密月時代が続き、バブル崩壊後の日本は、さまざまな反日戦略を仕掛けられます。
つまり、二十世紀の最終段階で日本は戦後何度目かの第二の敗戦を経験したともいえるのです。そのまま、米中間の太平洋に日本列島は沈むかに思えたのですが、このタイミングで、日本に隠された最後の一厘の仕組みが発動したのです。
いまになってはっきりしたことですが、クリントン大統領とその妻であった女性の手で、クリントン財団という財団とは名ばかりの集金マシンには国内外から莫大な献金が集められました。
日本にとって重大なのは、その中に、中国共産党の息のかかっている資金が大量に含まれていた事実があるということです。この二十世紀の末期につくられた、対日戦略が、この二十一世紀に入って、彼の国の日本に対する姿勢の背後にあります。
アメリカ合衆国の側において、日本国を無力化する側の勢力が中国共産党のマネーの影響もあって増大し、このままでは危険という状況があった大統領選挙で当選したのがトランプでした。
そのトランプ大統領が、日本の安倍晋三首相との間にあるある種の同志的感情を持っていることの背後に、大きな天の意志があると想定してみてください。
第一次安倍内閣の無残な退陣の後に、二千十三年の第二次安倍内閣の誕生までの間に、精神界において何があったのかは、これまでも、許される範囲でお伝えしてきましたが、これもまた、日本の仕組みの発動にほかならないといえます。
これらのことを前提として、今回のトランプ大統領のアジア歴訪において、日本の安倍首相の存在感は、太平洋、インド洋地域で決定的なものになったといえます。可能性として、安倍晋三首相在任中は、中国共産党のこれまでの対日戦略も再検討されることになるのかも知れません。
たぶん、これが天の配剤なのです。
これまで、アメリカ合衆国を事実上支配してきた人間グループにとって、トランプ大統領は、追い落とすべき敵となっています。ここではっきりしたのは、明治以降の歴史のなかで、日本を敵とし、無力化して、征服したアメリカを支配していた人間グループの正体が、どうやら、そこに見えているという現実です。そして、この手先となっていることすら自覚していない人間グループが、日本国内のあらゆる階層にいて、反日、反アベの活動をしています。それが、私がいうところの死んだら終わり文明に洗脳された祖国を放棄したたましいの姿です。
天の役割を担った政治家が、権力の座にあるという歴史を、私たちはいま見ようとしているのです。その先にあるのは、世界の大変動であるのは、間違いのないところでしょう。

二千十七年十一月十六日 積哲夫 記