vol.536

半島の危機

北朝鮮の金正男が、暗殺されたという報道が、世界をかけ巡っています。これで、半島の危機は、一般の日本人の意識上にも、確実にのぼることになります。これが、半島の悪魔というテーマで紹介した、事象と深くリンクしているのは、精神学を学んだ人間なら理解できるはずです。
半島の南側で、慰安婦像設置という反日活動をしている人間グループが、北の影響下にあることは、ほとんどの日本人の常識となりつつありますが、半島の国家群と、共産党が支配する大陸の現状を見るときに、この国が古事記と日本書紀を完成させた時点で、大陸と半島とは、天を同じくしないという意志決定をしたことの重さを、深く知るべきタイミングが来ています。
明治維新の日本は、半島の人々にも、大陸の人々にも、ある種の幻想を抱き、アジアの連帯を求めましたが、結局、裏切られ千九百四十五年の敗戦に到ります。
大陸と半島にいた日本人が、その敗戦後の帰国の過程で、どれだけ悲惨な目にあったかを、現在の人間のほとんどは忘れていますが、旧ソ連軍の暴虐だけでなく、それまで大日本帝国の臣民であった半島の人間が、何をしたかを思い起こせば、どんな国際関係をこれからつくればいいかがわかるはずなのです。
安倍首相とトランプ大統領の間で、この半島情勢に関して、どのような情報共有がなされているかどうかは別にして、明治時代の日本とほぼ同じ立場で、現在の半島と大陸に向き合っているアメリカ合衆国の軍事専門家は、大日本帝国の苦しみを理解しているはずです。
さらに、この半島の危機は、在日と呼ばれる人々や、この国にすでに帰化した半島出身者にも、大きな影響を与えはじめています。
敗戦後の日本社会で、彼らはGHQの意向もあり、マネーの分野や学術の分野、さらには法曹の分野などで、ある種の存在感を示してきました。その背後には、旧社会党に代表される労働界や教育界、さらにマスメディアにはり巡らされた社会主義や共産主義にシンパシーを感じる、大きな社会勢力が存在していたのですが、いま、この戦後の図式を一般の日本人が理解しはじめています。
日本列島は、古くから、日本人になりたい人間には優しい場所であり続けてきました。けれども、白村江の敗北で、この国に流れ込んだ、百済出身の半島人が、日本文化に同化するために、平安時代の約三百年が必要だったという説があるように、異民族の集団的移民には対応する文化を持っているわけではありません。
建国から二百数十年のアメリカ合衆国は、その国内に移民してきた各民族のコミュニティが次々と生まれ、国内に豊かな先進国の地域と貧しい後進国の地域があるという、世界の縮図となりつつあります。結局のところ、最大の人口的な勢力であったはずの働く白人層が、マイノリティの権利を優先するリベラル派、グローバル派の目指すアメリカの未来を否定して、トランプ大統領が生まれたのですが、この動きは、すでに日本ではじまっているのです。
精神界の伝達によれば、わが国の安倍首相の出現が、それまでのグローバル化に賛成するマスメディアの世論誘導を失敗させる大きな役割をはたしているのです。その意味では、はじめての安倍、トランプ対談で、安倍首相がいったとされる、我々には共通点がある、それは、大手のマスメディアに勝利したことだ、私は朝日新聞に、あなたはニューヨークタイムズに、という言葉が、これからの世界の方向性を示しているといってもいいのでしょう。この流れの先にあるのは、アメリカファーストは、アメリカの忠誠心を求める方向に動くし、日本ファーストも日本への忠誠心を求める方向に動くということです。
日本という歴史を持つ国家に暮らす人間が、その歴史と文化を自ら再発見する過程で、国内にいる反日的な人々を再認識し、それをどうするかを問いはじめるわけです。この国は、日本人なりたい異邦人には寛容ですが、原則は、鎖国であることを忘れてはなりません。これから、ほんとうに戦後の終りがはじまるのです。

二千十七年二月十六日 積哲夫 記