#50 児童書がサヨク化していたことに今更気づき考える。

私から見える世界では、「日本における文化破壊は着々と進行し、仕上げに向けてシゴト中」という危機感がますます強くなっています。
露見する速度が上がるにつれて、破壊工作も雑になっている感じがいたします。
相撲の不祥事も、マスコミの安倍総理叩きも、みな、一定の方向性を示し、連動しているように思います。

文科省の進み方を見ていると、日本を守るのとは反対の方向に走っているのではないか、と感じることが多く、ときには「ここはどこの国ですか?」と感じるほどです。
歴史教科書の検定に関することなどは最たるところですが、結果、国民から日本精神の健全性を失わせ続けています。

私にとっては、文科省だけでなく、財務省も、外務省もかなり納得しがたいことが多いのですが、なぜなのかの理由はわかりません。
やはり明治以来の長い時間をかけて、誰も責任を取らなくてよいシステムをつくり、代々つないでいく道を作っているのでしょうか。
国力を削ごうとする勢力に圧されて負け続けているのか、自主的に積極的に個人的損得勘定で逆走しているのか、何なのだろうと思います。

この国の不思議なところは、官僚や政治家が「どこの国のために働いているのかがよくわからない」というところにもありそうです。
本来は日本の官僚や政治家は、「国益を優先するがゆえに」近隣国と対等で穏便な外交を心がけたり、先々困らない経済活動を考え行動したり、法規制を行ったりすべきところなのに、あらゆるところで、何か、逆転しているように感じます。

それらに関して、代表して質疑してくださっている、たとえば山田宏参議院議員のような方が、もっとたくさん国会の場に出て欲しいです。

最近は、インターネットなどで調べることが容易になっていますので、昔だったら私たちが知らずにいたようなことも情報共有が進んでいますが、光が進めば闇が追い、インターネットも玉石混交です。

知れば知るほど全体が歪んでいるのではないかと感じられますが、つきつめれば、最終的には個々人が精神性を向上させるしかないこの世界。
現場を大事に丁寧に生きていれば、クリアすべき課題は、必ず目の前にやってくるものですから、知力、技能、持てる才能を伸ばすための、たゆまぬ努力と両輪です。
そのうえで、どの情報を選ぶかによって、新たな洗脳が待ち受ける昨今となっています。

私たちが置かれているのは、情報に流されて右往左往しやすい魂にとっては、見極めが肝心な、非常に厳しい時代。
少なくとも、その自覚だけはしておきたいところです。

いま、売れている児童向けの本に関して、ひとつ、なつかしい思い出があります。

中学受験のときに、国語の出題に『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著)の文章から出題されたらしく、合格後入学前のPTA懇親会で知らされた母が「春休みのうちに読んでおくようにと学校で薦められた」と、ところどころに傍線を引き、最後の空白ページに、母からの一言を入れて、贈ってくれました。

その本は、もちろんすぐに読み、大変感銘を受け、以来、ずっと私の中で生き続け、「子供たちに勧めたい一冊」となっていました。
最近、復刻に加え漫画化もされて、書店での売り上げがかなり伸びているようです。

書店で平積みされている本を見てなつかしく思い、昔の本を再び取り出してみました。

少なからず驚いたのは、戦前の児童文学にもかなり左傾化していたものがあったのだ、と今になって気づいたことでした。

もちろん、普通に読んで、それとわかるような書き方はされていません。
そして、実際、なかなか道徳的に善い話が書かれている本なのです。

しかし、根底にあるのはルサンチマンを感じさせる清貧の思想であったり、「日本は世界に遅れていた国である」という自虐史観がきっちり織り込まれた観点であったりしています。
世界中はみんな仲良く手をつないでいかなくてはいけないから人の嫌がることはしてはいけないということも、強調されすぎれば、政治家の靖國神社参拝の是非にも繋がったりします。

そしてこの本に登場するもうひとりの主人公である「叔父さん」が紹介する偉人は、もれなく日本人以外でした。
ニュートンも、ナポレオンも、リンカーンも、すばらしいですが、ナポレオン憲法などより、憲法十七条のほうがずっと素晴らしいではないかと思います。

「叔父さん」の話の中で、フランス国歌を歌い始めるシーンも出てくるのですが、フランス国歌の日本語訳は非常に闘争的なもので、下記のようなものなのです。

  フランス国歌 ラ・マルセイエーズ
  (「世界の国歌 WORLD ANTHEM」より 1番のみ引用 7番まであります)

  いざ祖国の子らよ!
  栄光の日は来たれり
  暴君の血染めの旗が翻る
  戦場に響き渡る獰猛な兵等の怒号
  我等が妻子らの命を奪わんと迫り来たれり

  <リフレイン>
  武器を取るのだ、我が市民よ!
  隊列を整えよ!
  進め!進め!
  敵の不浄なる血で耕地を染めあげよ!

これと知って、登場させているのかどうかはわかりませんが、今改めて読んでみると、本全体の傾向には突っ込みどころが満載でした。

いくつかの点を改善したら、とても良い本になるだろうと思います。

たとえば、モノひとつとってみても様々な人のチカラがあって成り立っている、という話では、本来の日本で言えばおそらくは天恵、「すべては天からいただいたものでもある」という日本の感性はきっちり入れ込んでおきたいところです。

ナポレオン憲法の話も、日本には憲法十七条があったという話題を入れたらより重層的になります。

世界の歴史、日本の歴史、偉人たちの様々な逸話から、どういったことを選んで出していくのか次第で、ストーリーはまったく変わってしまいます。

小学校時代にこういった形で少しずつ刷り込まれていったのか、ということを、今になって発見でき、新しいヒントになりました。

子供向けの本、読み物を、健全な形で出していくことは、とても大事なことです。

主人公コペルくんのさまざまなお話は、それ自体は決して悪いことではなく人道的に共感できるものです。
ただ、どう読んでも、それぞれの資料背景が偏って思えるのが残念です。

ベストセラーになっている『君たちはどう生きるか』を読んだ大人たちに、オススメしたい本があります。
先日、靖國神社の売店で目に留まり、購入した本でした。

   『ナポレオンと東條英機  理系博士が整理する真・近現代史』
   武田邦彦著  KKベストセラーズ刊 ベスト新書  八百十五円+税

日本は庶民の果てまで、つくづく「シラスクニ」なのだと再認識しました。
高等教育まで日本語だけで受けられるにいたる理由が見えてきます。

戦後七十年を超え、すでにあらたな時代を迎えています。
日本の子供たちが、心楽しく学び、正しく知り考えるべきことを、ガイドラインとしてまとめていきたいものです。

古より育まれてきた日本の豊かな精神性を取り戻し、継承していきたいと思います。

平成三十年一月十二日

阿部 幸子

協力 ツチダクミコ

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