#4 見つけた宝物。

まだ父が元気だった数年前、会社で古い書類の整理をしていて、見つけたものがありました。
コピーではあるけれど、内容が本物なのかどうか、どこからどうしたのか、矢継ぎ早に質問をして、ほかにも資料がなかったのかとか、まぁ、いろいろ・・・
ですが、「これだけでも、あってよかったと思うことにしよう」と思い、それ以来大事にしまっていました。

見つけたそのときに思ったのは、「いつか、積さんに見ていただこう」ということでした。

普段は忘れているということもあるけれど、親しい友人たちにも話したり、見せようと思えなかったのは、今思うと不思議です。
そのモノに対して、普段とは違って、きちんと敬意をもって扱いたい、という私の姿勢の表れだったと思います。

いろいろな経緯のすえに、なぜか私の手に置かれたものだったので、正しい価値観をもって判断していただけそうな、信頼できるかたに最初に見てもらいたいと思ったのです。

事務所を移すときも、しっかりと持ってきたのだけれど、それがどこに入ってしまったのか、大事にしすぎて見つけられなくて、一年近く、うろうろと探していました。

やっと見つけて、「今日こそは!」と持ち出したのが、日曜日のこと。
積さんにお見せして、本物をコピーしたものだと思うとおっしゃっていただきました。
事務所に戻られて、スキャンデータにして送ってくださったので、せっかくですから皆さまに公開いたします。

この大日本帝国海軍の電文画像の端的な説明を、積さんからいただきました。

  ①連合艦隊旗艦、戦艦「長門」から、
  「新高山登レ」が発信され、
  ②真珠湾攻撃隊の旗艦だった、空母「赤城」から、
  「トラトラトラ」の返信があった。
  これは、その証拠です。

大東亜戦争は、日本にとって、あまりにも酷く悲惨な戦争でした。

戦争を回避するためには、しっかりすべきときがあります。
それは、いつでも「いま」ですけれど、ここ数年は特に重要な時期に思えます。

しっかりと、よく見て、よく考えて、行動したいものです。
似通った状況で躓く、という愚かなことを繰り返さないために、過去を検証して学んでいくことは、とても大切です。

情報を多方面からしっかり収集し、相手の言いなりになるばかりでなく、言うべきときには反論もし、しかも挑発に迂闊に乗らない知恵を身につけ、工夫したいところです。

検証のひとつの視点として、参考となりそうな本を最近手にしました。

「日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状・フーバー大統領回顧録を論ず」
 序・加瀬英明  著・藤井厳喜 稲村公望 茂木弘道
 勉誠出版  千五百円

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さて、話題をかえて、私が子供の頃から大好きだったうたのお話です。

昔兵隊だった私の大叔父と、お留守番をしながら、よく二人で歌っていました。
いろんなうたを教わりましたが、中でも大好きだった美しいうたです。
なつかしい音、きれいなやまとことばで綴られています。

♪ 「 海ゆかば 伊藤久男(ステレオ)」 題名クリックで音源に飛びます。

 海行かば  水漬(みづ)く屍(かばね)
 山行かば  草生(くさむ)す屍(かばね)
 大君の 辺(へ)にこそ死なめ
 かへりみはせじ
 (長閑には死なじ)

Wikipedia には、大伴家持(おおとものやかもち)の、もとうたも記されていました。

大伴家持は養老二年(七百十八年)生まれ、延暦四年(七百八十五年)に亡くなっています。
このうたは、万葉集の第十八巻 四〇九四番の長歌で、短歌に続く前段ですが、すばらしいうたです。

「賀陸奥国出金詔書歌(みちのくのくにに金 (くがね) をいだすしょうしょを賀(ほ)ぐうた)」(大伴家持)

葦原の 瑞穂の国を 天下り 知らし召しける 皇祖(すめろき)の 神の命の 御代重ね 天の日嗣と 知らし来る 君の御代御代 敷きませる 四方の国には 山川を 広み厚みと 奉る みつき宝は 数へえず 尽くしもかねつ しかれども 我が大君の 諸人を 誘ひたまひ よきことを 始めたまひて 金(くがね)かも たしけくあらむと 思ほして 下悩ますに 鶏が鳴く 東の国の 陸奥(みちのく)の 小田なる山に 黄金ありと 申したまへれ 御心を 明らめたまひ 天地の 神相うづなひ 皇祖の 御霊助けて 遠き代に かかりしことを 我が御代に 顕はしてあれば 食(を)す国は 栄えむものと 神ながら 思ほしめして 武士(もののふ)の 八十伴(やそとも)の緒を まつろへの 向けのまにまに 老人(おいひと)も 女童(めのわらは)も しが願ふ 心足らひに 撫でたまひ 治めたまへば ここをしも あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて 大伴の 遠つ神祖(かむおや)の その名をば 大久米主と 負ひ持ちて 仕へし官(つかさ) 海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大君の 辺にこそ死なめ かへり見は せじと言立て 丈夫(ますらを)の 清きその名を 古よ 今の現に 流さへる 祖の子どもぞ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖の 立つる言立て 人の子は 祖の名絶たず 大君に まつろふものと 言ひ継げる 言の官ぞ 梓弓 手に取り持ちて 剣大刀 腰に取り佩(は)き 朝守り 夕の守りに 大君の 御門(みかど)の守り 我れをおきて 人はあらじと いや立て 思ひし増さる 大君の 御言(みこと)のさきの聞けば貴み

平成二十九年二月二十四日

阿部 幸子