#17 種子法廃止? 日本はどこへ行こうとしているのだろう。

日本はどこへ行こうとしているのだろう?
このギモンは、特に国政に関する少なからぬ疑問とともに、長く私の中にあります。

環境関連の仕事をしていたり、興味の方向性によって、環境話題には以前から親しんできました。 
友人知人との会話のなかで、もたらされる情報もたくさんあります。

私が環境に興味を持ち始めた一九九〇年代のはじめ、地球における人類の持続可能性を探る人々の間では、多国籍大企業モンサント社の種子ビジネスに関して大いなる危惧があり、問題視していました。
古くはベトナム戦争で使われた枯葉剤のこともありますが、ラウンドアップという強力な除草剤と組み合わせで売られる種は、私から見れば危険満載です。
モンサント社の主力である「遺伝子組み換え作物」を売り込もうとしても、日本では参入がなかなか厳しかったのです。
農家からの反対はもちろん、さまざまな法律もあり、また、米国式の大規模農業というものが国民性にそぐわないところもあり、幸いなことに全面的に門戸を開放されることはならないまま今に到ってきました。

   種子法廃止 食料主権に逆行の危険  <日本農業新聞>
   https://www.agrinews.co.jp/p40056.html

日曜日の大阪セミナー会場で、積さんから「種子法廃止が成立しましたね」とお声がけいただくまで、まさかそのような法案が日本の国会で可決されてしまったとは・・・北朝鮮有事や森友学園、憲法改正、沖縄サヨク、築地豊洲問題などに意識が向いて、すっかり見逃していました。
種子法の廃止を決める、しかも、外国籍企業による種子販売に関して規制はつけない、ということは、多国籍企業に寄与する法案の通過でもあります。

  映画「モンサントの不自然な食べもの」
  http://www.uplink.co.jp/monsanto/

  映画「モンサントの不自然な食べもの」への見解  <日本モンサント社>
 http://www.monsanto.com/global/jp/newsviews/pages/the-world-according-to-monsanto.aspx

 
このところ世間を騒がせてきた森友学園や加計学園のゴタゴタの影で、北朝鮮有事の問題、憲法改正に関する意識は、確実に変わってきていると思います。
しかし、もともと問題のないものに対して、どれだけの時間を国会という公共の場で費やしてきたのか、議員たちは襟を正す必要があります。

農業に関しては、もちろん、問題もあります。
国の補助金の出し方が変だ、というのも事実で、耕作放棄地の問題や後継者不足の問題そのほか、多くの解決していくべき課題があります。
国土の外国籍の方々への売却に関する土地の問題にも絡んで、農業や農地について、あらためてきちんと考えなければ、この国の根幹は崩れます。

小泉進次郎衆議院議員は自民党の農業部会の部会長ですが、最近、JAが「韓国製肥料の輸入」を取り扱うようになったと報道されました。
それをもって農家の固定経費を下げ、海外との農産物価格競争に十分勝てるようにしたいという方向性で選択をしたのだろうとは思います。
そして今度は、「種子法の廃止」です。

  主要農作物種子法廃止(モンサント法)に反対する
  https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12260070319.html  

  【種子法廃止】種子の自給は農民の自立
  http://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2017/170330-32373.php  

「肥料が安くなれば、農産物の値段が下がって国民生活に寄与する」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
「TPPで海外との関税障壁を取り除き、日本製品を売りやすくして、海外から農産物を安く買うグローバル化(もはや死語ですが)は当然だ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

北海道では広大な土地が海外資本や外国籍の企業や人々に売却されています。
計画的に買われているように思われるところもあります。(参考図書下記)

   『中国の「日本買収」計画』 (WAC BUNKO)  二〇一一年刊
   有本香 著  ワック株式会社   八八六円+税

これらの一連の動きは、それぞれ個別の問題というだけのことではありません。
日本がこの先、どのような国として生きていきたいかの問題なのです。

この豊かな大地、必ずしもだだっ広いわけではないけれど肥沃で恵まれた国土において、大規模農業を行うことにどのような意味・将来的利点があるのか?
日本は海外とどのような関係性を結んでいきたいのか?
モンサント社のような、多国籍大企業が進もうとしている方向性と、私たちが描く日本の未来がはたして合致するのか否か、いま、きちんと見極めるべき時代に入っていると実感します。

それにしても、日本の代議士たちは、なぜ、こうも結果的に、売国的なのでしょうか・・・

日本はもともと、海洋大国でもあり、水と森に支えられる農業国でもありました。
今は、農林水産の第一次産業から、工業や技術への二次産業へと主流が移り、三次産業であるサービス業、IT関連、商業、金融や観光などが多くなっています。
しかし、どの時代にも、人々の生命を支えるのは水を守る国土と、農林水産が基本です。
問題はバランスの悪さと創造力・想像力の欠如から来ているようにも感じます。

それぞれの法案、その先に何かあるのか、想像力をもって、深く時代を読み取り、創造力をもって、この先の日本を造っていくのがいま生かされている私たちの務めです。

そのためにも、国民がよく考えて選択すべきときは常に今、なのでしょう。
気を落とすことなく、前を向いてしっかり歩きたいと思います。

平成二十九年五月二十六日
阿部 幸子
協力 ツチダクミコ