最終知識

第一章【日本のしくみ】

[ 一 ]

  加賀の白山神社の三本杉が倒れた年。このクニの神界に隠された神のしくみが、最終的に発動した。
  その年の夏の終わり、私に待っていた神示が訪れた。深い眠りについていた私は、光の衝撃波とでも形容すべきものにたたき起こされた。発光するたまが、全身をつらぬき、その肉体的衝撃で飛び起きた私の頭のなかで、『白山にこい』という言葉が鳴り響いていた。
  私は、いと小さきものだった。ほんとうの神秘体験では、圧倒的なエネルギーのなかに極小となった自己の全存在が置かれる。そこにYESもNOもない。しかし我に返れば、人間ごころの懐疑も生じる。白山神社に向かって車の運転をしている私の首や肩、そして腰に、どんどん邪悪な気がたまっていく。それがたまるほど懐疑も深まる。そのしくみを実感しながら、私は、これからはじまる道の険しさを考え続けた。
  夕暮れの白山に向かって、祈りを捧げると、白き光が私の頭のなかを満たした。こんどの光は優しかった。言葉はなかったが、その光のなかに、必要な情報がすべて収められていることを私は知っていた。私の頭のなかで、光のデータは徐々に意識化され、これから何をなさなければならないかも知ることになるだろう。
  帰路、私の全身に激しい怒りが満ちた。私は、私のすべきことを妨害する力が、どこからくるのかを知った。それは、もしかすると、すべての人間を発信源としているかも知れない。私を封殺する明確な意志の存在を感知した。失敗したら死か発狂。その日から、夜も昼もなく私は考えはじめた。地図なしに、その世界に踏み込むことが、自殺行為であることを私はよく心得ていた。神のしくみを発動させるには、何かが欠けていた。

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